清楚系彼女は溺愛警察官を乱して狂わせる

日下 凛

文字の大きさ
1 / 14

プロローグ 前編

しおりを挟む
 引っ越し初日の夜、私はコンビニの袋を提げて、街灯もまばらな路地を一人で歩いていた。
 前に住んでいた場所と違って、この辺りは人通りも少ない。

 角を曲がってから、ずっと誰かにつけられてるような気がした。
 気のせい……よね……?
 そう思って歩く速さを変えても、足音は確かに付いてくる。

 恐怖で指先が冷たくなって、ドクドク鳴り出す心臓。
 震えそうになる脚に力を入れ、勇気を出して走りだそうとした。
 その途端、肩を掴まれ羽交い締めにされる。

「……騒ぐな……大人しくしてろよ」

 手で口を塞がれ、声も出せない。
 耳元にハァハァと荒い息がかかって、ざらついた男の声がした。

「んんーっ!」

 身体のあちこちを弄られて、嫌なのに恐怖で動けない。
 このまま犯されて殺される――
 そんなことが頭によぎった瞬間、ガシャンと何かが倒れる音がした。

「おい! 何してるんだ!」

 鋭い声と同時に、私を拘束していた腕が引き剥がされた。

「……何もしてねえだろ」
「女性を襲っておいて、何を言ってる!」

 震えながら振り向くと、若い男が情けない声を出して警察官に取り押さえられていた。
 犯人に素早く手錠をかけた警察官に訊かれる。

「あなた、大丈夫ですか? 怪我はないですか?」
「……あ、はい。……だ、大丈夫……です……」

 身体を力任せに弄ばれた嫌な感触は残っていた。
 いきなり襲われたせい?
 自分が犯罪に巻き込まれた現実感がなかった。

「応援を呼びます。少し待っててもらえますか?」
「……はい」

 警察官はそう言うと、無線でやり取りし始める。
 私は座り込んで、その様子をぼんやり見ていた。
 男はパトカーで来た屈強な警察官二人に、車内に押し込められ連行されていった。

「怖かったでしょう? ……本当に怪我はないですか?」
「……身体を触られたけど……多分怪我は、ないと思います」
「今は気が張っているから、気が付かないだけかもしれないです」

 急いで駆け寄ってきた警察官が、座り込んだままの私に尋ねる。
 優しい声をかけられて、一気に全身から力が抜けた。

「この辺りで最近、女性が暴行される事件が頻発していたんです」
「……あの人……犯人だったんですか?」
「それは、詳しく聴取してみないと分かりませんが……間に合って良かった」

 この人が助けてくれなかったら、今頃私は……。
 自覚した途端に身体がぶるぶる震えだす。
 冷たいアスファルトの上に、ぺたんと座り込んでしまった。

「大丈夫ですか?」
「……ごめんなさい。襲われたのがショックで……急に……」
「あんな目に遭えば当然ですよ。こんなに震えて……」

 警察官は着ていたジャンパーを脱ぐと、私の肩に掛けてくれた。
 温もりが残っていて、優しい匂いのするジャンパーに包まれて、少し気持ちが落ち着く。
 向かいに屈み込んだ警察官は、心配そうに私の顔をのぞき込んできた。

「……すみません……ありがとうございます」
「いいんですよ。落ち着くまで一緒にいますから。もしできそうなら深呼吸しましょう」

 座り込んでいる私と一緒に、深呼吸をしてくれる警察官。
 暗がりではっきり顔は見えないけれど、身体つきはがっしりしていて大柄なのに威圧感がない。
 側にいてくれると、守られているみたいで安心できた。

「……少し、落ち着いてきました」
「じゃあ、立ってみましょうか。支えるからゆっくりでいいですよ」

 差し出された警察官の大きな手につかまって、なんとか立ち上がれた。
 けど脚に力が入らない。塀に手をついて、子鹿みたいにプルプル震えていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中

桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。 やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。 「助けなんていらないわよ?」 は? しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。 「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。 彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end**

大事な人

ちえ
恋愛
大人向け恋愛小説

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

一夜の過ちで懐妊したら、溺愛が始まりました。

青花美来
恋愛
あの日、バーで出会ったのは勤務先の会社の副社長だった。 その肩書きに恐れをなして逃げた朝。 もう関わらない。そう決めたのに。 それから一ヶ月後。 「鮎原さん、ですよね?」 「……鮎原さん。お腹の赤ちゃん、産んでくれませんか」 「僕と、結婚してくれませんか」 あの一夜から、溺愛が始まりました。

婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜

紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。 連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

処理中です...