清楚系彼女は溺愛警察官を乱して狂わせる

日下 凛

文字の大きさ
21 / 60
第二章 触れ合うたび深くなる

十話 芽生え始めた本能 ※

 私は田島さんの逞しい腰にまたがったまま、しばらく固まっていた。
 ここからどうすればいいか分からない。
 ただ、私とは違う身体に見惚れてしまう。分厚くて広い胸板、程よく割れた腹筋、逞しい腕、跨った太腿に触れる筋肉の硬さ。

「梓さん……?」

 上半身を起こそうとしていた、田島さんの肩をそっと押してベッドに沈める。

「……まだ見ていたいの、田島さんの身体」

 私は身体を倒して、彼の首筋に手を添えた。
 ゴツゴツして熱い喉から胸板へ、羽で触れるように指先を滑らせて、途中で止める。彼の喉が鳴って、喉仏が上下した。

 落ちてきた髪を耳にかけながら、指で触れた場所にぎこちなく口づけを落とす。そのたびに私の下にある彼の身体がびくんと跳ね、乱れた呼吸が漏れた。

 恥ずかしくてたまらない。死ぬほど恥ずかしい。
 でも、止めたくなかった。

 田島さんの肩に手をかけて、彼の顔や首筋、あちこちへ丁寧に口づけを落とし、最後に私から不器用に唇をふさいだ。
 キスを交わしながら、彼の大きな手で腰や太腿を執拗に撫でられるだけで、一度彼を受け入れた私の身体は、容易たやすく疼きだす。

 指先で田島さんの胸板から腹筋、脇腹をなぞっていく。
 苦しげに顔を歪める彼。私がそうさせているのだと思うと胸が熱くなる。
 心の奥底に芽生えた「ふしだらな女の本能」が、もっとこの男を追い詰めろとささやく。

「……田島さんが、そんな顔するなんて……知らなかった」

 私は彼の胸に手を付いて、わざと自分の体重を彼に預けるようにゆっくり腰を動かした。

「……梓さっ、……それ……反則……」

 反則、なんて言うくせに――。
 大きな手が私の腰をつかんで、ぎこちなかった動きが滑らかになる。
 触れ合った場所から、小さく卑猥ひわいな音が生まれた。
 指先が食い込むほどの強さは、私を組み伏せたい衝動を抑え込んでいるのかもしれない。

「ねえ、どうしたい……? 言ってよ……」
「……このまま……梓さんを見ていたい」

 私を止めたいのか、もっとさせたいのか、彼の意図は分からない。
 揺らす腰の奥に、じわじわ痺れるような感覚が膨らみ始めた。激しい鼓動と荒い呼吸が、のけ反った喉の奥から一緒にせり上がってくる。

「あっ……、だめっ……」

 限界まで膨らんだ快感が、溢れ出すように小さく弾けた。
 乱れた呼吸のまま脱力した身体で、田島さんの胸に指先を立てながら、微かに潤んだ目で彼を覗き込む。

 彼が保っていたぎりぎりの理性が、音を立てて切れ、どうしようもなく甘い情欲の色にあっという間に塗り潰されていく。
 彼が何かを整えているわずかな間、私は逞しい胸板に顔を伏せて、その熱い鼓動を全身で受け止めていた。

「梓さん……いいよ……」

 田島さんの手が再び私の腰を捉えて、逃げられないように自分の方へと引き寄せる。
 私は邪魔な髪をかき上げながら、上半身を起こした。

「……どうしたら……いい?」

 戸惑っていると、あまり余裕のなさそうな彼が微笑んで言った。

「……少しだけ腰……浮かせて、……ゆっくり下ろして」

 言われた通りに膝を立てて、私の腰をつかんだ田島さんの手に促されるように、覚悟を決めてゆっくり腰を下ろしていく。
 唇を噛みしめながら、自分の重みで彼の熱を飲み込んでいく。柔らかな粘膜を押し広げられる感覚は、想像以上に強くて、身体の芯がミシミシと音を立てて軋むようだった。

「んっ、……くっ……」

 繋がった場所から、身体の芯を痺れさせるような激しい拍動が伝わってきた。私を貫いている彼の一番熱い場所に、内側の粘膜がぴったりと吸い付いて離れない。こんなに自分が彼を求めていたことを、残酷なほどに思い知らされる。
 田島さんの熱を身体に覚え込ませるように、内壁を容赦なく擦られ、私は思わず口元をぎゅっと引き結んだ。

「……梓、息して。……ゆっくりでいい。力を抜いて……」

 田島さんの低い声が、繋がった場所から背筋を走って脳を揺らす。
 彼は私の腰を大きな手のひらで包み込み、壊れ物を扱うような慎重さと、決して離さないという執着を込めるように、私をゆっくりと上下させた。

「……あっ、……ああっ……」

 抑えようとしていた声が、熱を伴って溢れ出す。
 恥ずかしさに耐えきれなくて、私は上体を倒して彼の首筋に顔を埋めて、しがみついた。田島さんの指が私の肌に食い込むたび、微かな違和感がじりじりと甘い痺れに変わっていく。

「……梓、そんなに一人で頑張らなくていいから……俺に預けて」

 その言葉が、快感でバラバラになりそうな私を繋ぎとめてくれる。
 私を支える彼の動きには容赦ない熱さと同時に、まるで壊れ物を扱うような、狂おしいほどの自制心が混ざり合っていた。

 気づけば、自分から彼を求めて動いていた。
 脳裏に白い光が散る瞬間、私は「ふしだらな自分」を許せた気がする。
 彼という圧倒的な存在に押し流され、私の内側は彼を迎え入れるための形に、ゆっくり溶けていく。
 伏せていた目から知らずに涙がこぼれ落ちて、彼の胸板を濡らしていた。
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end** ◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です! https://estar.jp/novels/26513389

義姉と押し入れに隠れたら、止まれなくなった

くろがねや
恋愛
父の再婚で、義姉ができた。 血は繋がっていない。でも——家族だ。そう言い聞かせながら、涼介はずっと沙耶から距離を取ってきた。 夏休み。田舎への帰省。甥っ子にせがまれて始まったかくれんぼ。急いで飛び込んだ押し入れの中に、先客がいた。 「……涼介くん」 薄い水色の浴衣。下ろした髪。橙色の光に染まった、沙耶の顔。 逃げ場のない暗闇の中で、二人分の体温が混ざり合う。 夜、来て。 その一言が——涼介の、全部を壊した。 甘くて、苦しくて、止まれない。 これは、ある夏の、秘密の話。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

元彼にハメ婚させられちゃいました

鳴宮鶉子
恋愛
元彼にハメ婚させられちゃいました

大事な人

ちえ
恋愛
大人向け恋愛小説

謎多きお見合い相手は、秘めた愛を彼女に注ぐ

玖羽 望月
恋愛
老舗医療機器メーカーのマーケティング・企画部で働く石田琴葉【いしだことは】(28)は、仕事一筋で生きてきた。 学生時代に恋愛で痛手を負った琴葉は、それから勉強と仕事を最優先に生きてきた。 ある日琴葉は、祖母にお見合いを勧められ、「会うだけなら」と渋々お見合いに臨んだ。 そこに現れたのは眉目秀麗という言葉が似合う榛名智臣【はるなともおみ】(33)だった。 智臣は琴葉の仕事や業界に精通していて、思いの外話しは弾む。ただ自身のことは多くを語らず、会話の端々に謎を残してお見合いは終わった。 その後何も連絡はなく、気になりながらも目の前の仕事に全力を尽くす琴葉。 やがて迎えた、上層部の集う重要会議。 緊張感の中、突如発表されたのはマーケティング・企画部長の異動と、新たな部長の着任だった。 そこに現れた新部長は―― 第19回恋愛小説大賞にて奨励賞をいただきました。ありがとうございます。 今後は不定期更新の予定です。