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新婚編
冥き竜王は華燭の典を挙げる
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ハデスはペルセポネの手を引いて大広間に案内する。神殿の回廊の奥にある大きな扉の前まで来ると左右に控えていた衛兵らしき獣人が押し開く。そこに用意されていたのは巨大な食卓に色とりどりの花が飾られ、おいしそうな香りを放つ料理であった。
「わぁ」
「オリュンポスで開かれる宴ほどではないかもしれぬが、華燭の典だけは盛大にと思ってな」
「嬉しいです!」
その様にペルセポネは感激していた。ハデスは内心ホッと胸をなで下ろした。そして、上座へと導き、二人並んで席に着く。
「今宵は私とペルセポネの華燭の典である。皆も大いに飲み、大いに食べ、楽しんでほしい」
ハデスの言葉にその場に招かれた部下たちは歓喜に沸く。それを制するようにタナトスが杯を掲げるように促し、乾杯の音頭を取る。
「それでは我が君とお妃様の婚礼を祝して・・・。乾杯!!!」
タナトスが杯を掲げると、皆もそれに倣い杯を掲げた。そこからは無礼講といった感の宴が始まった。銘々好きな物を飲んで食べる。
そんな様子を驚きながら見つめるペルセポネ。その姿は周りから見れば戸惑って見える。それにいち早く気づいたのはヘカーテだった。
「お妃様」
「え?私のこと?」
「はい。我が君の妻となられたのですからペルセポネ様は冥府のお妃様にあられます」
「そうね。今日からはそうなるのよね」
「ですが、気負いなさることはありません。わからないことがありましたら、このヘカーテに何なりとお申し付けください」
「あなたに?」
「私はこの冥王神殿で執事を務めております」
「ということは、あなたが『月の魔女』?」
ヘカーテは柔らかな笑みを浮かべうなずく。
「このエリュシオンは今までお住まいになられてたニューサとは勝手が違います。何より、これからは『冥府の女王』であらせられます」
その言葉にペルセポネは頷く。
「そうね。今までのように好きなことばかりしているわけにはいかないでしょうね」
「ですが、無理をなさる必要はありません」
「え?」
「そのために私どもがお仕えしているのです。わからないことがあればお訊ねください。私も含め皆、喜んでお答えいたしますので」
「そうですか。それはありがたいわ」
ペルセポネの安堵したように胸を撫で下ろす様を見て、ヘカーテは恭しく頭を垂れる。それと同時に苦笑するのだった。
(しばらくの間はそんなこともさせないでしょうけど)
顔を上げると不思議そうに小首をかしげるペルセポネと目が合い、ヘカーテは何でもないような風に笑顔で誤魔化す。
「執事殿はもうご挨拶を済まされたのですか?」
「ヒュプノス・・・」
「えっと」
「ご挨拶が遅くなり申し訳ありません。私は冥府の宰相、眠りの神・ヒュプノス。以後、お見知りおきを」
「ペルセポネです」
「早くこの地に慣れて下さるとよいのですが。たった三ヶ月ではそれもままなりませぬか」
思いがけないヒュプノスの言葉に一瞬たじろいだペルセポネだったが、すぐに背筋を伸ばし毅然とした声で答える。
「確かに私は三ヶ月、冬の間だけの妃かもしれません。ですが、それはあくまでも『一年の内』のこと。月日を重ねて覚えていくつもりですのでその心配は無用です」
その言葉にヒュプノスは目を見開く。次の言葉が出ないといった感じである。それに気づいたのは双子の弟・タナトスだった。
「ヒュプノス、一本取られたな」
「ええ、そのようです」
「さすがは我が君が見初められた姫君。宰相殿も形無しだな」
ポンポンと肩をたたくタナトスは陽気に笑う。その顔は少し赤い。そうやら、相当飲んでいるようだ。
「っと。ご挨拶が遅れて申し訳ない。俺は冥府の軍勢を預かる死神・タナトス。ヒュプノスとは双子の兄弟だ」
「そうなんですね。よろしくお願いします」
「そういえば、ミノタウロスと知り合いなんだって?」
「はい。畑を耕すのや収穫を手伝ってもらってました」
「そうか。あんな形をしているが、良いヤツなんでこれからも仲良くしてやってくれ」
「勿論です。彼は・・・。色々抱えてる人だし」
「ここにはアイツ以外にもそういう連中が多い。我が君はそういった連中を集めては『仕事』を与えてる」
「さすがハデス様です」
「我が君自身、色々あるお方ですからねぇ」
「ラダマンティス、遅かったじゃないか」
「折角の慶事ですので、一気に片付けてきました。これで1~2日は休日を取っても支障は出ないでしょう」
「さすがは『地獄の裁判長』だな」
どこからともなく現れていたラダマンティスは胸を張り誇らしげである。
(ハデス様は皆に慕われておいでなのですね)
ペルセポネは広間を見渡す。目に入るのは笑顔でハデスに祝いの言葉を述べては酒を注いでいる皆の姿だ。その様子からもハデスが冥府でいかに人望を集めているかがわかる。
それ故にあの『地獄』の様子が腑に落ちない。それを思い出すとペルセポネの顔には暗い影が落ちるのだった。
「ペルセポネ?」
「あ・・・」
「どうした? 気分が優れないのか?」
「いえ、そういうわけでは・・・」
「長旅でお疲れになったのかもしれませんね」
「それはいかんな。皆へのお披露目も済んだことだし部屋で休もう。ヘカーテ、後のことは任せる」
「御意」
そういうとハデスは横抱きにペルセポネを抱き上げ広間を出て行こうとする。その姿に皆が冷やかしの言葉をかける。が、ハデスは気にした様子もなく、ただペルセポネに気遣わしげな視線を向けている。
「我が君、あまり無理を強いると嫌がれますよぉ」
「黙れ! 私はそんなことはせぬ」
「褥で野獣になるのだけはやめて下さいよ」
「貴様ら・・・」
ハデスは部下の冷やかしの声を躱しながらその場を後にする。その顔は耳まで赤くなっていた。その姿にペルセポネは可笑しくなってしまう。
「ペルセポネ?」
「ハデスさまでもそんな顔をなされるんですね」
「悪いか?」
「いいえ」
ペルセポネは首に回した腕に力を込める。一瞬、ピクリと反応したハデスだったが、すぐに何事もなかったように歩き続けた。ハデスは回廊の突き当たりにある扉を開ける。その部屋は勿論ハデスの寝室であり、今夜からはペルセポネとの二人の寝室である。
「ここが寝室だ」
「ここが?」
「そうだ。今日からはここで過ごすことになる」
不意にペルセポネの体が強ばる。それは部屋の奥に天蓋付きの大きな寝台を見つけたからだ。夫婦の寝室と言うことはここで愛を交わすということである。
母・デメテールのことがあり、あまりそういうことに触れてこなかった。ニンフたちが教えてくれたので全く知らないわけではないが、それでも不安は残る。
「ペルセポネ?」
「えっと・・・」
「どうした?」
返答に困ったペルセポネは視線を忙しなく彷徨わせる。いつになく落ち着かない様子にハデスは漸く思い至る。
「心配することはない」
「で、ですが・・・」
「今宵はこのまま眠ると良い」
「え?」
「長い旅路で疲れているのだろう?」
「そう、ですが」
「ペルセポネ、私は君に無理強いをする気はない。私たちは私たちのやり方で『夫婦』になろう」
「ハデス様・・・」
ハデスはゆっくりと寝台の上にペルセポネを下ろすと優しく微笑んだ。その瞳は澄んでいて彼の心を映したように綺麗だった。故にペルセポネには『地獄』をあのような物と定めた理由がわからない。
「私に聞きたいことでもあるのかな?」
「ハデス様・・・」
「ラダマンティスから聞いた」
「!!」
「何故あのような惨い世界を作り上げたのか。それが聞きたいのであろう?」
ペルセポネはコクリと頷く。それに対してハデスは大きく深呼吸をするとゆっくりと話し始める。
「あれは人々が安易に『死』を選ばないようにするためのものだ」
「どうして・・・」
「人々の潜在意識の中に『死は恐ろしいもの』『自ら望んではならないもの』だと認識させるために作ってある。そうすれば、冥府にやってくる死者も減る」
「確かに」
「実際、あれに放り込まれるものなど小指の爪の先ほどもいない」
「そうなんですか?」
「ああ。それこそ1000人殺したという大罪人くらいだ」
「そうだったんですね」
「うむ。これについては追々詳しく説明をしよう」
「わかりました」
ペルセポネは一つ心のつかえが取れてホッとした。そのせいで疲れが一気に押し寄せてくる。急に瞼が重くなり始め、体は寝台へと沈んでいく。
「ペルセポネ?」
「わ、たし・・・。つか、れて、しまって・・・。ごめん、な、さい・・・」
すると、可愛らしい寝息が漏れてくる。ハデスは少し驚いたが、地上でのことやニューサからの旅路のことを考えればこのまま寝かせてやるべきだろうと思った。
「今は休むと良い。おまえがあちらへ戻るまで三ヶ月はある。その間にゆっくりと教えてやろう」
ハデスは額にかかる髪を掬い、口づけを落とした。そして、着ていた服を脱ぎ捨て寝台に上がると後ろから抱きしめる。
「とはいえ、折角の初夜だ。せめて、抱きしめてともに寝ることだけは許して貰おう」
そうして抱きしめる腕に少し力を込めると自らも眠りに落ちていったのであった。
「わぁ」
「オリュンポスで開かれる宴ほどではないかもしれぬが、華燭の典だけは盛大にと思ってな」
「嬉しいです!」
その様にペルセポネは感激していた。ハデスは内心ホッと胸をなで下ろした。そして、上座へと導き、二人並んで席に着く。
「今宵は私とペルセポネの華燭の典である。皆も大いに飲み、大いに食べ、楽しんでほしい」
ハデスの言葉にその場に招かれた部下たちは歓喜に沸く。それを制するようにタナトスが杯を掲げるように促し、乾杯の音頭を取る。
「それでは我が君とお妃様の婚礼を祝して・・・。乾杯!!!」
タナトスが杯を掲げると、皆もそれに倣い杯を掲げた。そこからは無礼講といった感の宴が始まった。銘々好きな物を飲んで食べる。
そんな様子を驚きながら見つめるペルセポネ。その姿は周りから見れば戸惑って見える。それにいち早く気づいたのはヘカーテだった。
「お妃様」
「え?私のこと?」
「はい。我が君の妻となられたのですからペルセポネ様は冥府のお妃様にあられます」
「そうね。今日からはそうなるのよね」
「ですが、気負いなさることはありません。わからないことがありましたら、このヘカーテに何なりとお申し付けください」
「あなたに?」
「私はこの冥王神殿で執事を務めております」
「ということは、あなたが『月の魔女』?」
ヘカーテは柔らかな笑みを浮かべうなずく。
「このエリュシオンは今までお住まいになられてたニューサとは勝手が違います。何より、これからは『冥府の女王』であらせられます」
その言葉にペルセポネは頷く。
「そうね。今までのように好きなことばかりしているわけにはいかないでしょうね」
「ですが、無理をなさる必要はありません」
「え?」
「そのために私どもがお仕えしているのです。わからないことがあればお訊ねください。私も含め皆、喜んでお答えいたしますので」
「そうですか。それはありがたいわ」
ペルセポネの安堵したように胸を撫で下ろす様を見て、ヘカーテは恭しく頭を垂れる。それと同時に苦笑するのだった。
(しばらくの間はそんなこともさせないでしょうけど)
顔を上げると不思議そうに小首をかしげるペルセポネと目が合い、ヘカーテは何でもないような風に笑顔で誤魔化す。
「執事殿はもうご挨拶を済まされたのですか?」
「ヒュプノス・・・」
「えっと」
「ご挨拶が遅くなり申し訳ありません。私は冥府の宰相、眠りの神・ヒュプノス。以後、お見知りおきを」
「ペルセポネです」
「早くこの地に慣れて下さるとよいのですが。たった三ヶ月ではそれもままなりませぬか」
思いがけないヒュプノスの言葉に一瞬たじろいだペルセポネだったが、すぐに背筋を伸ばし毅然とした声で答える。
「確かに私は三ヶ月、冬の間だけの妃かもしれません。ですが、それはあくまでも『一年の内』のこと。月日を重ねて覚えていくつもりですのでその心配は無用です」
その言葉にヒュプノスは目を見開く。次の言葉が出ないといった感じである。それに気づいたのは双子の弟・タナトスだった。
「ヒュプノス、一本取られたな」
「ええ、そのようです」
「さすがは我が君が見初められた姫君。宰相殿も形無しだな」
ポンポンと肩をたたくタナトスは陽気に笑う。その顔は少し赤い。そうやら、相当飲んでいるようだ。
「っと。ご挨拶が遅れて申し訳ない。俺は冥府の軍勢を預かる死神・タナトス。ヒュプノスとは双子の兄弟だ」
「そうなんですね。よろしくお願いします」
「そういえば、ミノタウロスと知り合いなんだって?」
「はい。畑を耕すのや収穫を手伝ってもらってました」
「そうか。あんな形をしているが、良いヤツなんでこれからも仲良くしてやってくれ」
「勿論です。彼は・・・。色々抱えてる人だし」
「ここにはアイツ以外にもそういう連中が多い。我が君はそういった連中を集めては『仕事』を与えてる」
「さすがハデス様です」
「我が君自身、色々あるお方ですからねぇ」
「ラダマンティス、遅かったじゃないか」
「折角の慶事ですので、一気に片付けてきました。これで1~2日は休日を取っても支障は出ないでしょう」
「さすがは『地獄の裁判長』だな」
どこからともなく現れていたラダマンティスは胸を張り誇らしげである。
(ハデス様は皆に慕われておいでなのですね)
ペルセポネは広間を見渡す。目に入るのは笑顔でハデスに祝いの言葉を述べては酒を注いでいる皆の姿だ。その様子からもハデスが冥府でいかに人望を集めているかがわかる。
それ故にあの『地獄』の様子が腑に落ちない。それを思い出すとペルセポネの顔には暗い影が落ちるのだった。
「ペルセポネ?」
「あ・・・」
「どうした? 気分が優れないのか?」
「いえ、そういうわけでは・・・」
「長旅でお疲れになったのかもしれませんね」
「それはいかんな。皆へのお披露目も済んだことだし部屋で休もう。ヘカーテ、後のことは任せる」
「御意」
そういうとハデスは横抱きにペルセポネを抱き上げ広間を出て行こうとする。その姿に皆が冷やかしの言葉をかける。が、ハデスは気にした様子もなく、ただペルセポネに気遣わしげな視線を向けている。
「我が君、あまり無理を強いると嫌がれますよぉ」
「黙れ! 私はそんなことはせぬ」
「褥で野獣になるのだけはやめて下さいよ」
「貴様ら・・・」
ハデスは部下の冷やかしの声を躱しながらその場を後にする。その顔は耳まで赤くなっていた。その姿にペルセポネは可笑しくなってしまう。
「ペルセポネ?」
「ハデスさまでもそんな顔をなされるんですね」
「悪いか?」
「いいえ」
ペルセポネは首に回した腕に力を込める。一瞬、ピクリと反応したハデスだったが、すぐに何事もなかったように歩き続けた。ハデスは回廊の突き当たりにある扉を開ける。その部屋は勿論ハデスの寝室であり、今夜からはペルセポネとの二人の寝室である。
「ここが寝室だ」
「ここが?」
「そうだ。今日からはここで過ごすことになる」
不意にペルセポネの体が強ばる。それは部屋の奥に天蓋付きの大きな寝台を見つけたからだ。夫婦の寝室と言うことはここで愛を交わすということである。
母・デメテールのことがあり、あまりそういうことに触れてこなかった。ニンフたちが教えてくれたので全く知らないわけではないが、それでも不安は残る。
「ペルセポネ?」
「えっと・・・」
「どうした?」
返答に困ったペルセポネは視線を忙しなく彷徨わせる。いつになく落ち着かない様子にハデスは漸く思い至る。
「心配することはない」
「で、ですが・・・」
「今宵はこのまま眠ると良い」
「え?」
「長い旅路で疲れているのだろう?」
「そう、ですが」
「ペルセポネ、私は君に無理強いをする気はない。私たちは私たちのやり方で『夫婦』になろう」
「ハデス様・・・」
ハデスはゆっくりと寝台の上にペルセポネを下ろすと優しく微笑んだ。その瞳は澄んでいて彼の心を映したように綺麗だった。故にペルセポネには『地獄』をあのような物と定めた理由がわからない。
「私に聞きたいことでもあるのかな?」
「ハデス様・・・」
「ラダマンティスから聞いた」
「!!」
「何故あのような惨い世界を作り上げたのか。それが聞きたいのであろう?」
ペルセポネはコクリと頷く。それに対してハデスは大きく深呼吸をするとゆっくりと話し始める。
「あれは人々が安易に『死』を選ばないようにするためのものだ」
「どうして・・・」
「人々の潜在意識の中に『死は恐ろしいもの』『自ら望んではならないもの』だと認識させるために作ってある。そうすれば、冥府にやってくる死者も減る」
「確かに」
「実際、あれに放り込まれるものなど小指の爪の先ほどもいない」
「そうなんですか?」
「ああ。それこそ1000人殺したという大罪人くらいだ」
「そうだったんですね」
「うむ。これについては追々詳しく説明をしよう」
「わかりました」
ペルセポネは一つ心のつかえが取れてホッとした。そのせいで疲れが一気に押し寄せてくる。急に瞼が重くなり始め、体は寝台へと沈んでいく。
「ペルセポネ?」
「わ、たし・・・。つか、れて、しまって・・・。ごめん、な、さい・・・」
すると、可愛らしい寝息が漏れてくる。ハデスは少し驚いたが、地上でのことやニューサからの旅路のことを考えればこのまま寝かせてやるべきだろうと思った。
「今は休むと良い。おまえがあちらへ戻るまで三ヶ月はある。その間にゆっくりと教えてやろう」
ハデスは額にかかる髪を掬い、口づけを落とした。そして、着ていた服を脱ぎ捨て寝台に上がると後ろから抱きしめる。
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