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7日後
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我は古代竜である。名前はグラナトム。
既に数えることすらやめてしまったほど長い時を過ごしてきた。
そんな我にとって、百年や千年などほんの一瞬。まして七日など、一瞬にも満たぬ僅かな時でしかない。
しかし、エルがいなくなってからの七日間はこれまでに過ごしてきたどの時間よりも長く、退屈だった。
目が覚めても、腹の辺りの小さな温もりが感じられない。精霊達と話す楽しげな声が聞こえない。風呂で我の尾の先を洗う手の感触がない。
風の音を聞いては帰ってきたのではないかと洞窟の外をのぞき、空気の揺れを感じては目を覚ます。そんな日々が続いた。
食事をすれば気が紛れるかと思って辺りの獣を狩り、エルの真似をして肉を焼いて食してみたがどうにもうまくなかった。
我の周囲を飛び回る精霊達の光も心なしか、普段よりも暗く感じられる。
コレクションを眺めても、美しいとは思うが心は晴れなかった。
洞窟の外にいる精霊達の話を伝え聞いた限り、エルは無事にエーデルシュタインへ着いたらしい。
おそらく、今頃は久々の同族とのふれあいを楽しんでおるのだろう。
あの海のように蒼い瞳がきらきらと輝いている姿を見られぬのが口惜しい。
いっそ、迎えに行ってしまおうか。
何度もそう思いかけては途中でやめた。
我が姿を見せれば人間達が混乱することは分かっている。そして、混乱した人間が時に愚かな行動を選択することも。
エルや以前ここを訪れた女王は我のお陰で帝国の支配から解放されたといっていたが、全ての人間が同じ思考を抱いているとは限らぬ。
我に対する恐怖から、我のコレクションたるエルを攻撃することもあり得るだろう。
手元におればエルに傷一つ負わせぬ自信があるが、あの大勢の人間達の中からエルをすぐに見つけ出して保護するのは難しい。
精霊達からエルの身に危険が迫っていると知らされるまでは、この洞窟で待っていた方が却って安全だろう。
分かってはいたが、一日経ち、二日経ち……七日が経った今、どうにもその誘惑を振り払えなくなっていた。
胸に穴が空いてしまったような空虚さが日に日に大きくなっている。
「エル」
名前を呼べばいつも「どうした?」と返される声はしかし、この時ばかりは返されなかった。
本人がいないのだから当然だが、その度に息苦しさが増すのは何故だろう。
このような感覚は初めてだ。何かの病なのか。否、古代竜が病にかかることなどあり得ぬ。では……。
その時、微かに空気が揺れた。
風の音でも雨の音でもない、聞き慣れた足音が耳に届く。
「エル!」
丸めていた身体を起こして洞窟の外へ顔を出すと、やや離れたところにいたエルが驚いた様子でこちらを見つめているのが分かった。
畳んでいた翼を広げ、すぐさまエルの側へと飛び立つ。
人間の足なら相応の時間が掛かる距離も、我が翼であればただ一度羽ばたくだけで済む。
我を見上げるエルを吹き飛ばさぬようゆっくりとその近くに降り立つと、エルが笑いながら駆け寄ってきた。
「びっくりした……。ここから洞窟までまだあと一時間は掛かるっていうのに、よく分かったな」
「我は古代竜であるからな」
そう言って額に鼻先を触れさせると、エルの匂いや体温がよりはっきりとしたものになった。
ああ、これだ。確かに、エルだ。
そう感じると共に胸に空いていた穴が瞬く間に埋まり、満たされていく。
その時、聞き覚えのある甲高い嘶きが空気を振るわせた。
何事かと思ってそちらを見れば、いつの間にかエルの後ろに立っていた馬の黒い瞳と目が合った。
背には山のような荷物がくくりつけられている。
まさしく荷運びの馬以外何物でもない扱いをされているというのに、我はそれが羨ましくて仕方なかった。
「それは何者だ?」
「ああ、こいつはペルレ。騎士団にいた頃に、俺が乗ってた馬だ。
洞窟に持っていきたい荷物がたくさんあって一人じゃ運びきれないから、ロバでも買おうかと思っていたんだが……ディアナ様がくださった。
ペルレは俺以外の騎士は絶対に乗せたがらないじゃじゃ馬だから、連れて行って欲しいって」
「精霊に言えば、それしきの荷物程度我が運んだものを」
「偉大な古代竜を、荷運びの馬代わりに使っていいのか?」
「そなたであれば構わぬ」
そう伝えると、エルは大層驚いた様子であった。
以前の我ならば決して言わなかったであろう言葉だ。エルが驚くのも無理はない。
だが、紛れもない本心だった。
「……じゃあ、今度もし同じようなことがあればグラナトムに頼むよ」
「任せるがよい」
久々に呼ばれた名前に、気分が高揚するのが分かった。
頬やつむじにそっと触れさせた鼻先を、エルの小さな手が撫でる。
触れられた先から、我よりも高めの体温がじわりと広がっていくのが心地よくてならなかった。
エルと馬を連れて洞窟に戻ると、中から精霊達が一斉に現れてエルと馬の周囲を飛び回った。
我ですらうるさいと感じるほどの声の数々を聞いても鬱陶しそうに尻尾を振るだけに留めている辺り、この馬は相当賢いようだ。
飼い主たるエルに似たのやもしれぬ。
「時に、なにを持ってきたのだ?」
エルと精霊達が一通り戯れ終わったのを見計らって問いかけると、エルが「ああ」と声を上げて馬の背から荷物を降ろした。
「ここまでご苦労だったな、ペルレ。休んでいいぞ」
荷物から取り出した細長いオレンジ色の植物をエルの手から貰った馬が機嫌良く嘶き、その場に足を折った。
さくさくと咀嚼する音からして、恐らくあれも食べ物なのだろう。
「まず、鍋」
「鍋?」
山のような荷物から取り出されたのは、エルの背よりも大きな鍋だった。
中には植物や何かの粉などがいっぱいに詰まっている。
鼻を近づけると、これまで嗅いだことのない複雑な香りがした。
「今までの鍋だと、グラナトムが食べる分には全然足りなかっただろう。
だから、鍛冶屋に特注してなるべく大きな鍋を作ってもらったんだ。
お陰で一週間もかかった。早く帰るっていったのに、悪かったな」
そうか。帰りが遅くなったのは、我の為か。
エルの言葉に胸がじわりと熱くなるのを感じた。
それを知ってか知らずか、エルが更に鍋から粉や植物を取り出す。
「あとは料理に使うスパイスや調味料に、この辺りでは取れない野菜と果物。
ハーブや薬草の種も少し買ってきた。
うまく育てば料理に使えるし、風呂にも散らせる。農業はしたことがないけど……精霊達の知恵と力を借りればどうにかなるかと思って。
串焼きと塩味のスープだけじゃ、さすがに飽きてきたからな。ちょうどいい機会だと思って、揃えてきた。
今までは材料が足りなくて作れる料理の種類が少なかったけど、このくらい材料が揃えばいろんな料理をグラナトムと食べられる」
我の前に次から次へと積み上げられる荷物の数々は、どれも宝石のように美しくはなかった。
スパイスや調味料はただの色とりどりの粉にしか見えぬし、野菜と果物も変わった色形をしているとは思うがそれだけだ。
しかし、エルの言葉を聞いた今となっては我がコレクションと同じくらい貴重で大切な宝物だ。
これらを使って作ったエルの料理は、きっととても美味なのだろう。
「あとは俺の服を少しと……それから、これ」
「なんだ、それは」
広げた荷物の中からエルが最後に取りだしたのは、銀で作られた長い鎖だった。
繊細な細工が施された鎖の中央には、血のように赤いガーネットが一粒あしらわれている。
それを、エルが我に差しだした。
「お土産だ。
いつも俺ばかり飾られてるから、たまには俺がグラナトムを飾りたいと思って。
さすがに、グラナトムの目に叶うほどの宝石は用意できなかったから、気に入ってもらえるかは分からないけど……」
「気に入ったとも。とても、とても気に入った」
確かに、銀の鎖にあしらわれたガーネットは我のコレクションほど色も大きさもよいものではない。
しかし我はそれが気に入った。エルをのぞいた全てのコレクションの中で、もっとも。
「そなたの手で、飾ってみてくれ」
そう言うと、エルは背の高い岩に登って我の首にその鎖を巻き付けた。
少し動けば鎖がしゃらりと揺れる。うむ、これはいいものだ。
「似合うか」
「ああ、とても」
エルの手が、我の首と鎖を撫でる。
偉大なる古代竜が首に鎖を巻かれるなど、以前の我なら激怒していただろう。
しかし、今となってはこの微かな重みが心地よかった。
我を撫でるエルの手に首をすりつけると、エルは「甘えてるみたいだな」と笑った。
それに頷き、口を開く。
「よく帰ってきたな、エル」
「当たり前だろう。グラナトムのいる場所が、俺の帰る場所なんだから」
「そうか……うむ。そうであった」
我のいる場所が、エルの帰る場所。
他の誰でもないエル自らが発した言葉を噛み締める。
違和感も空虚さも、いつの間にか消え失せていた。
既に数えることすらやめてしまったほど長い時を過ごしてきた。
そんな我にとって、百年や千年などほんの一瞬。まして七日など、一瞬にも満たぬ僅かな時でしかない。
しかし、エルがいなくなってからの七日間はこれまでに過ごしてきたどの時間よりも長く、退屈だった。
目が覚めても、腹の辺りの小さな温もりが感じられない。精霊達と話す楽しげな声が聞こえない。風呂で我の尾の先を洗う手の感触がない。
風の音を聞いては帰ってきたのではないかと洞窟の外をのぞき、空気の揺れを感じては目を覚ます。そんな日々が続いた。
食事をすれば気が紛れるかと思って辺りの獣を狩り、エルの真似をして肉を焼いて食してみたがどうにもうまくなかった。
我の周囲を飛び回る精霊達の光も心なしか、普段よりも暗く感じられる。
コレクションを眺めても、美しいとは思うが心は晴れなかった。
洞窟の外にいる精霊達の話を伝え聞いた限り、エルは無事にエーデルシュタインへ着いたらしい。
おそらく、今頃は久々の同族とのふれあいを楽しんでおるのだろう。
あの海のように蒼い瞳がきらきらと輝いている姿を見られぬのが口惜しい。
いっそ、迎えに行ってしまおうか。
何度もそう思いかけては途中でやめた。
我が姿を見せれば人間達が混乱することは分かっている。そして、混乱した人間が時に愚かな行動を選択することも。
エルや以前ここを訪れた女王は我のお陰で帝国の支配から解放されたといっていたが、全ての人間が同じ思考を抱いているとは限らぬ。
我に対する恐怖から、我のコレクションたるエルを攻撃することもあり得るだろう。
手元におればエルに傷一つ負わせぬ自信があるが、あの大勢の人間達の中からエルをすぐに見つけ出して保護するのは難しい。
精霊達からエルの身に危険が迫っていると知らされるまでは、この洞窟で待っていた方が却って安全だろう。
分かってはいたが、一日経ち、二日経ち……七日が経った今、どうにもその誘惑を振り払えなくなっていた。
胸に穴が空いてしまったような空虚さが日に日に大きくなっている。
「エル」
名前を呼べばいつも「どうした?」と返される声はしかし、この時ばかりは返されなかった。
本人がいないのだから当然だが、その度に息苦しさが増すのは何故だろう。
このような感覚は初めてだ。何かの病なのか。否、古代竜が病にかかることなどあり得ぬ。では……。
その時、微かに空気が揺れた。
風の音でも雨の音でもない、聞き慣れた足音が耳に届く。
「エル!」
丸めていた身体を起こして洞窟の外へ顔を出すと、やや離れたところにいたエルが驚いた様子でこちらを見つめているのが分かった。
畳んでいた翼を広げ、すぐさまエルの側へと飛び立つ。
人間の足なら相応の時間が掛かる距離も、我が翼であればただ一度羽ばたくだけで済む。
我を見上げるエルを吹き飛ばさぬようゆっくりとその近くに降り立つと、エルが笑いながら駆け寄ってきた。
「びっくりした……。ここから洞窟までまだあと一時間は掛かるっていうのに、よく分かったな」
「我は古代竜であるからな」
そう言って額に鼻先を触れさせると、エルの匂いや体温がよりはっきりとしたものになった。
ああ、これだ。確かに、エルだ。
そう感じると共に胸に空いていた穴が瞬く間に埋まり、満たされていく。
その時、聞き覚えのある甲高い嘶きが空気を振るわせた。
何事かと思ってそちらを見れば、いつの間にかエルの後ろに立っていた馬の黒い瞳と目が合った。
背には山のような荷物がくくりつけられている。
まさしく荷運びの馬以外何物でもない扱いをされているというのに、我はそれが羨ましくて仕方なかった。
「それは何者だ?」
「ああ、こいつはペルレ。騎士団にいた頃に、俺が乗ってた馬だ。
洞窟に持っていきたい荷物がたくさんあって一人じゃ運びきれないから、ロバでも買おうかと思っていたんだが……ディアナ様がくださった。
ペルレは俺以外の騎士は絶対に乗せたがらないじゃじゃ馬だから、連れて行って欲しいって」
「精霊に言えば、それしきの荷物程度我が運んだものを」
「偉大な古代竜を、荷運びの馬代わりに使っていいのか?」
「そなたであれば構わぬ」
そう伝えると、エルは大層驚いた様子であった。
以前の我ならば決して言わなかったであろう言葉だ。エルが驚くのも無理はない。
だが、紛れもない本心だった。
「……じゃあ、今度もし同じようなことがあればグラナトムに頼むよ」
「任せるがよい」
久々に呼ばれた名前に、気分が高揚するのが分かった。
頬やつむじにそっと触れさせた鼻先を、エルの小さな手が撫でる。
触れられた先から、我よりも高めの体温がじわりと広がっていくのが心地よくてならなかった。
エルと馬を連れて洞窟に戻ると、中から精霊達が一斉に現れてエルと馬の周囲を飛び回った。
我ですらうるさいと感じるほどの声の数々を聞いても鬱陶しそうに尻尾を振るだけに留めている辺り、この馬は相当賢いようだ。
飼い主たるエルに似たのやもしれぬ。
「時に、なにを持ってきたのだ?」
エルと精霊達が一通り戯れ終わったのを見計らって問いかけると、エルが「ああ」と声を上げて馬の背から荷物を降ろした。
「ここまでご苦労だったな、ペルレ。休んでいいぞ」
荷物から取り出した細長いオレンジ色の植物をエルの手から貰った馬が機嫌良く嘶き、その場に足を折った。
さくさくと咀嚼する音からして、恐らくあれも食べ物なのだろう。
「まず、鍋」
「鍋?」
山のような荷物から取り出されたのは、エルの背よりも大きな鍋だった。
中には植物や何かの粉などがいっぱいに詰まっている。
鼻を近づけると、これまで嗅いだことのない複雑な香りがした。
「今までの鍋だと、グラナトムが食べる分には全然足りなかっただろう。
だから、鍛冶屋に特注してなるべく大きな鍋を作ってもらったんだ。
お陰で一週間もかかった。早く帰るっていったのに、悪かったな」
そうか。帰りが遅くなったのは、我の為か。
エルの言葉に胸がじわりと熱くなるのを感じた。
それを知ってか知らずか、エルが更に鍋から粉や植物を取り出す。
「あとは料理に使うスパイスや調味料に、この辺りでは取れない野菜と果物。
ハーブや薬草の種も少し買ってきた。
うまく育てば料理に使えるし、風呂にも散らせる。農業はしたことがないけど……精霊達の知恵と力を借りればどうにかなるかと思って。
串焼きと塩味のスープだけじゃ、さすがに飽きてきたからな。ちょうどいい機会だと思って、揃えてきた。
今までは材料が足りなくて作れる料理の種類が少なかったけど、このくらい材料が揃えばいろんな料理をグラナトムと食べられる」
我の前に次から次へと積み上げられる荷物の数々は、どれも宝石のように美しくはなかった。
スパイスや調味料はただの色とりどりの粉にしか見えぬし、野菜と果物も変わった色形をしているとは思うがそれだけだ。
しかし、エルの言葉を聞いた今となっては我がコレクションと同じくらい貴重で大切な宝物だ。
これらを使って作ったエルの料理は、きっととても美味なのだろう。
「あとは俺の服を少しと……それから、これ」
「なんだ、それは」
広げた荷物の中からエルが最後に取りだしたのは、銀で作られた長い鎖だった。
繊細な細工が施された鎖の中央には、血のように赤いガーネットが一粒あしらわれている。
それを、エルが我に差しだした。
「お土産だ。
いつも俺ばかり飾られてるから、たまには俺がグラナトムを飾りたいと思って。
さすがに、グラナトムの目に叶うほどの宝石は用意できなかったから、気に入ってもらえるかは分からないけど……」
「気に入ったとも。とても、とても気に入った」
確かに、銀の鎖にあしらわれたガーネットは我のコレクションほど色も大きさもよいものではない。
しかし我はそれが気に入った。エルをのぞいた全てのコレクションの中で、もっとも。
「そなたの手で、飾ってみてくれ」
そう言うと、エルは背の高い岩に登って我の首にその鎖を巻き付けた。
少し動けば鎖がしゃらりと揺れる。うむ、これはいいものだ。
「似合うか」
「ああ、とても」
エルの手が、我の首と鎖を撫でる。
偉大なる古代竜が首に鎖を巻かれるなど、以前の我なら激怒していただろう。
しかし、今となってはこの微かな重みが心地よかった。
我を撫でるエルの手に首をすりつけると、エルは「甘えてるみたいだな」と笑った。
それに頷き、口を開く。
「よく帰ってきたな、エル」
「当たり前だろう。グラナトムのいる場所が、俺の帰る場所なんだから」
「そうか……うむ。そうであった」
我のいる場所が、エルの帰る場所。
他の誰でもないエル自らが発した言葉を噛み締める。
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