10 / 12
10年後
しおりを挟む
我は古代竜である。名はグラナトム。
人間であるエルと共に世界を飛び回り、各地の食材で作られるエルの料理を楽しみにしておる、珍しい古代竜だ。
最近食べた中では、豆や野菜を塩漬け肉と共に煮込んだスープが美味であった。
エルと世界を飛び回るようになって、十年が経った。
以前世界を巡ったときの十倍以上の年月旅したというのに、未だに世界の全てを巡り切れてはおらぬ。
珍しいものも、ありふれたものも、美しいものも、醜いものも、この十年の間に山ほど見聞きした。
しかし、エルも我も未だに好奇心が尽きぬままだ。
一度見た景色も、天気や季節が異なればまた違った表情を見せる。それらを見ようと思えば、十年ではとても足りなかった。
それに、各地の名産物を使ったエルの料理はどれも絶品だ。
一度のみならず、何度でも食べたい。
故に、我とエルは今日も世界を飛び回っていた。
この日見つけたのは、湯が湧き出る大きな泉だった。
精霊の力で拡張しなくとも我が浸かれるほど巨大な温泉とは珍しい。
服を脱いだエルの隣に腰を下ろすと、溢れた湯が地面を濡らした。
「やっぱり、温泉は身体に染みるな。
疲れが取れる」
そう言って、エルが小さな身体をうんと伸ばした。
黄金の中に銀色が混ざり始めた髪が、空に瞬く星々に照らされて僅かにきらめく。
以前の混じりけのない黄金色もよかったが、これもこれでよいものだ。
銀や白金でつくった装飾品が、これまで以上によく似合うようになった。
「……白髪、気になるか?」
我の視線に気がついたのだろう。気持ちよさそうに温泉に浸かっていたエルが、苦笑いを浮かべて我を見上げた。
うむ、と頷いて白銀が混ざりつつある髪に鼻先を当てる。
「眩い黄金もよいが、これもこれで落ち着いた風合いがよい。
これから先、そなたの髪色は更に変わるのか?」
「多分な。いつまでも若いままではいられないさ。
今はまだそれほどでもないけど、そのうち真っ白になると思う」
「そうか。それは楽しみだ」
「俺が年を取るのが?」
「うむ。古きものには古きもの特有の、時を重ねた美しさがある。
元から美しいそなたに時が加われば、きっと今よりもずっと味わい深くなるであろう。
星のようにきらめくような美しさもよいが、燻した銀のようにしっとりとした美しさも我は好きなのだ」
そう告げると、エルは「それならいいんだ」と笑って我の鼻を撫でた。
出会った当初よりも固くなり、皺も増えた小さな掌から変わらぬ匂いと体温が伝わってくる。
舌を伸ばして手首を舐めると、上擦った声を上げたエルが「グラナトム」と我の鼻先をぴしゃりと叩いた。
「俺より年上なのに、変な悪戯するな」
「お茶目であろう。それに、我は古代竜としてはまだ若い」
「初対面のときにあれだけいかめしい話し方をしておいて、今更若者ぶるなよ。
最近、少し威厳がなくなってきたぞ」
蒼い瞳に無邪気な光を浮かべて、エルが我の首を撫でた。
ううむ、我もうすうす気がついておったが、やはり威厳が薄れてきておったか。
今更エルの前で以前のように振る舞う気にはなれぬし、特に問題があるわけでもない。
それ故、今まであまり気に掛けて来なかったのだが……エルは威厳のある古代竜の方が好きなのだろうか。
尋ねると、エルは「いいや」と首を横に振った。
「単なる感想だ。いまの方が、話しやすくていい。
昔だったら、驚いただろうけどな」
「古代竜とはいえ、常に威風堂々と振る舞うのは疲れるのだ。
そなたとて、今更初めて出会った頃のような話し方をしろと言われるのは嫌であろう」
「そうだな……確かに、そうかもしれない」
まだ、エルが自分のことを「私」と呼んでいた頃のことを引き合いに出すと、エルは何かを思い出すように月を仰いで黙り込んでしまった。
月明かりに照らされて繊細に輝くエルの髪や肌を眺めていると、薄い唇が再び動き出した。
「昔は、自分を私と呼ぶ事にも騎士としての話し方にも違和感はなかった。
グラナトムのコレクションになっていなかったら、たぶん今でもああいう話し方をしていた筈だ。
そう考えると、俺も結構変わったんだな」
「後悔しておるか?」
噛み締めるように呟いたエルに、問いかけずにはいられなかった。
もっとも、仮に「そうだ」と頷かれたところで、今更エルを手放すつもりなどないのだからこれは全く意味のない質問なのだが。
南の海のように蒼い瞳が、静かに我を見上げる。
「正直、よく分からない。
騎士になることは俺の夢であり義務でもあった。女王陛下……ディアナ様をお支えすることもな。
その道を途中で逸れたことで、良くも悪くもいろんな人の人生が変わった。
好きな相手と結ばれることが出来た人もいれば、なりたくもない騎士にならないといけなくなった奴もいる。
それへの申し訳なさとか、いたたまれなさとかはある。
でも、俺は……俺自身は、後悔してない。グラナトムのコレクションになったことも、今こうして世界中を旅してることもな」
「そうか。ならば、よいのだ」
エルの言葉を聞いて、知らず知らず詰めていた息が「ほう」と漏れた。
途端に温泉の表面が大きく揺れ、高い波に攫われそうになったエルが我に縋りつく。
慌てて小さな身体を掌に載せて波が届かない位置に避難させると、エルが苦笑いして我の爪を撫でた。
「ちょっとため息を吐いたくらいでこれなんだから、グラナトムがもっと落ち込んだら天変地異が起きそうだな」
「済まぬ、危険な目に遭わせてしまった。怪我はないか?」
「大丈夫だ、心配するな。
でも、そろそろ上がるか。このままだとのぼせそうだ」
そう言って、エルが我の掌から地面に降りた。風の精霊が濡れた身体を素早く乾かす。
眠る時にいつも着る動きやすい服に着替えたエルの髪に小粒なジルコンをいくつも散りばめた細工の美しい髪飾りを乗せると、星々の瞬きに照らされたそれが柔らかな輝きをみせた。
手探りでそれを取ったエルがこちらを振り向き「寝るときにこんなものをつけたら、壊れるぞ」と苦笑する。
「うむ。そなたは起きているときよりも眠っているときの方が活発に動くからな。
あれは一体、どういう原理なのだ?」
「ただ単に、寝相が悪いだけだ。
……眠るまでの間だからな」
いいながら、エルが髪飾りを髪につけた。
思っていたとおり、透明なジルコンと銀を使ったそれは今まで以上にエルによく似合う。
まだ暖かな身体を翼で包んで我の傍に引き寄せると、腹に寄りかかったエルが「グラナトム」と名前を呼んでこちらを見上げた。
年月を経ても変わることのない濃い蒼の瞳には、悪戯な光が宿っている。
「子供の頃、夢だったことが二つあるんだ。なんだか分かるか?」
「一つは、世界中を旅することであろう」
以前聞いたエルの言葉を思い出して告げると、「ああ」と蒼い瞳が優しく細められた。
しかし、あと一つは何だったであろう。
いくら記憶を探しても、それらしきものは見当たらぬ。
エルの言葉ならば全て覚えている。だから、これはただ教えられておらぬだけだ。
そう豪語したいのは山々だが、エルの頼みで魚や獣を狩るときにうっかり鴨ではなくフェニックスを狩ったり、オオダコではなくクラーケンを狩ったりして呆れられることもしばしばある身としては、忘れたという可能性も捨てきれなかった。
しかし、あの時エルが作ったフェニックスの腹に詰め物をしたローストや、クラーケンの墨で煮込んだ真っ黒なスープは誠に美味であった……いや、そうではない。
柔らかな風が吹き止んだ頃、我はとうとう「分からぬ」と首を横に振った。
考えに考えたが、思い出せぬ。
悪戯な光を浮かべたエルが「降参か?」と我に尋ねる。
「ううむ……悔しいが、降参だ。
一体、何なのだ?」
「すごく単純なことだよ。
竜の背中に乗って、空を飛びたかったんだ。
グラナトムのお陰で、夢が叶った」
懐かしげに目を細めたエルが、我の腹を撫でた。
その小さな手の感触も笑みも、我はきっと生涯忘れることがないであろう。
例え、エルと別れねばならぬ時が来たとしても。
人間であるエルと共に世界を飛び回り、各地の食材で作られるエルの料理を楽しみにしておる、珍しい古代竜だ。
最近食べた中では、豆や野菜を塩漬け肉と共に煮込んだスープが美味であった。
エルと世界を飛び回るようになって、十年が経った。
以前世界を巡ったときの十倍以上の年月旅したというのに、未だに世界の全てを巡り切れてはおらぬ。
珍しいものも、ありふれたものも、美しいものも、醜いものも、この十年の間に山ほど見聞きした。
しかし、エルも我も未だに好奇心が尽きぬままだ。
一度見た景色も、天気や季節が異なればまた違った表情を見せる。それらを見ようと思えば、十年ではとても足りなかった。
それに、各地の名産物を使ったエルの料理はどれも絶品だ。
一度のみならず、何度でも食べたい。
故に、我とエルは今日も世界を飛び回っていた。
この日見つけたのは、湯が湧き出る大きな泉だった。
精霊の力で拡張しなくとも我が浸かれるほど巨大な温泉とは珍しい。
服を脱いだエルの隣に腰を下ろすと、溢れた湯が地面を濡らした。
「やっぱり、温泉は身体に染みるな。
疲れが取れる」
そう言って、エルが小さな身体をうんと伸ばした。
黄金の中に銀色が混ざり始めた髪が、空に瞬く星々に照らされて僅かにきらめく。
以前の混じりけのない黄金色もよかったが、これもこれでよいものだ。
銀や白金でつくった装飾品が、これまで以上によく似合うようになった。
「……白髪、気になるか?」
我の視線に気がついたのだろう。気持ちよさそうに温泉に浸かっていたエルが、苦笑いを浮かべて我を見上げた。
うむ、と頷いて白銀が混ざりつつある髪に鼻先を当てる。
「眩い黄金もよいが、これもこれで落ち着いた風合いがよい。
これから先、そなたの髪色は更に変わるのか?」
「多分な。いつまでも若いままではいられないさ。
今はまだそれほどでもないけど、そのうち真っ白になると思う」
「そうか。それは楽しみだ」
「俺が年を取るのが?」
「うむ。古きものには古きもの特有の、時を重ねた美しさがある。
元から美しいそなたに時が加われば、きっと今よりもずっと味わい深くなるであろう。
星のようにきらめくような美しさもよいが、燻した銀のようにしっとりとした美しさも我は好きなのだ」
そう告げると、エルは「それならいいんだ」と笑って我の鼻を撫でた。
出会った当初よりも固くなり、皺も増えた小さな掌から変わらぬ匂いと体温が伝わってくる。
舌を伸ばして手首を舐めると、上擦った声を上げたエルが「グラナトム」と我の鼻先をぴしゃりと叩いた。
「俺より年上なのに、変な悪戯するな」
「お茶目であろう。それに、我は古代竜としてはまだ若い」
「初対面のときにあれだけいかめしい話し方をしておいて、今更若者ぶるなよ。
最近、少し威厳がなくなってきたぞ」
蒼い瞳に無邪気な光を浮かべて、エルが我の首を撫でた。
ううむ、我もうすうす気がついておったが、やはり威厳が薄れてきておったか。
今更エルの前で以前のように振る舞う気にはなれぬし、特に問題があるわけでもない。
それ故、今まであまり気に掛けて来なかったのだが……エルは威厳のある古代竜の方が好きなのだろうか。
尋ねると、エルは「いいや」と首を横に振った。
「単なる感想だ。いまの方が、話しやすくていい。
昔だったら、驚いただろうけどな」
「古代竜とはいえ、常に威風堂々と振る舞うのは疲れるのだ。
そなたとて、今更初めて出会った頃のような話し方をしろと言われるのは嫌であろう」
「そうだな……確かに、そうかもしれない」
まだ、エルが自分のことを「私」と呼んでいた頃のことを引き合いに出すと、エルは何かを思い出すように月を仰いで黙り込んでしまった。
月明かりに照らされて繊細に輝くエルの髪や肌を眺めていると、薄い唇が再び動き出した。
「昔は、自分を私と呼ぶ事にも騎士としての話し方にも違和感はなかった。
グラナトムのコレクションになっていなかったら、たぶん今でもああいう話し方をしていた筈だ。
そう考えると、俺も結構変わったんだな」
「後悔しておるか?」
噛み締めるように呟いたエルに、問いかけずにはいられなかった。
もっとも、仮に「そうだ」と頷かれたところで、今更エルを手放すつもりなどないのだからこれは全く意味のない質問なのだが。
南の海のように蒼い瞳が、静かに我を見上げる。
「正直、よく分からない。
騎士になることは俺の夢であり義務でもあった。女王陛下……ディアナ様をお支えすることもな。
その道を途中で逸れたことで、良くも悪くもいろんな人の人生が変わった。
好きな相手と結ばれることが出来た人もいれば、なりたくもない騎士にならないといけなくなった奴もいる。
それへの申し訳なさとか、いたたまれなさとかはある。
でも、俺は……俺自身は、後悔してない。グラナトムのコレクションになったことも、今こうして世界中を旅してることもな」
「そうか。ならば、よいのだ」
エルの言葉を聞いて、知らず知らず詰めていた息が「ほう」と漏れた。
途端に温泉の表面が大きく揺れ、高い波に攫われそうになったエルが我に縋りつく。
慌てて小さな身体を掌に載せて波が届かない位置に避難させると、エルが苦笑いして我の爪を撫でた。
「ちょっとため息を吐いたくらいでこれなんだから、グラナトムがもっと落ち込んだら天変地異が起きそうだな」
「済まぬ、危険な目に遭わせてしまった。怪我はないか?」
「大丈夫だ、心配するな。
でも、そろそろ上がるか。このままだとのぼせそうだ」
そう言って、エルが我の掌から地面に降りた。風の精霊が濡れた身体を素早く乾かす。
眠る時にいつも着る動きやすい服に着替えたエルの髪に小粒なジルコンをいくつも散りばめた細工の美しい髪飾りを乗せると、星々の瞬きに照らされたそれが柔らかな輝きをみせた。
手探りでそれを取ったエルがこちらを振り向き「寝るときにこんなものをつけたら、壊れるぞ」と苦笑する。
「うむ。そなたは起きているときよりも眠っているときの方が活発に動くからな。
あれは一体、どういう原理なのだ?」
「ただ単に、寝相が悪いだけだ。
……眠るまでの間だからな」
いいながら、エルが髪飾りを髪につけた。
思っていたとおり、透明なジルコンと銀を使ったそれは今まで以上にエルによく似合う。
まだ暖かな身体を翼で包んで我の傍に引き寄せると、腹に寄りかかったエルが「グラナトム」と名前を呼んでこちらを見上げた。
年月を経ても変わることのない濃い蒼の瞳には、悪戯な光が宿っている。
「子供の頃、夢だったことが二つあるんだ。なんだか分かるか?」
「一つは、世界中を旅することであろう」
以前聞いたエルの言葉を思い出して告げると、「ああ」と蒼い瞳が優しく細められた。
しかし、あと一つは何だったであろう。
いくら記憶を探しても、それらしきものは見当たらぬ。
エルの言葉ならば全て覚えている。だから、これはただ教えられておらぬだけだ。
そう豪語したいのは山々だが、エルの頼みで魚や獣を狩るときにうっかり鴨ではなくフェニックスを狩ったり、オオダコではなくクラーケンを狩ったりして呆れられることもしばしばある身としては、忘れたという可能性も捨てきれなかった。
しかし、あの時エルが作ったフェニックスの腹に詰め物をしたローストや、クラーケンの墨で煮込んだ真っ黒なスープは誠に美味であった……いや、そうではない。
柔らかな風が吹き止んだ頃、我はとうとう「分からぬ」と首を横に振った。
考えに考えたが、思い出せぬ。
悪戯な光を浮かべたエルが「降参か?」と我に尋ねる。
「ううむ……悔しいが、降参だ。
一体、何なのだ?」
「すごく単純なことだよ。
竜の背中に乗って、空を飛びたかったんだ。
グラナトムのお陰で、夢が叶った」
懐かしげに目を細めたエルが、我の腹を撫でた。
その小さな手の感触も笑みも、我はきっと生涯忘れることがないであろう。
例え、エルと別れねばならぬ時が来たとしても。
0
あなたにおすすめの小説
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~
香木陽灯
恋愛
「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」
実の父と妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。
「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」
「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」
二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。
※ふんわり設定です。
※他サイトにも掲載中です。
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
王家を追放された落ちこぼれ聖女は、小さな村で鍛冶屋の妻候補になります
cotonoha garden
恋愛
「聖女失格です。王家にも国にも、あなたはもう必要ありません」——そう告げられた日、リーネは王女でいることさえ許されなくなりました。
聖女としても王女としても半人前。婚約者の王太子には冷たく切り捨てられ、居場所を失った彼女がたどり着いたのは、森と鉄の匂いが混ざる辺境の小さな村。
そこで出会ったのは、無骨で無口なくせに、さりげなく怪我の手当てをしてくれる鍛冶屋ユリウス。
村の事情から「書類上の仮妻」として迎えられたリーネは、鍛冶場の雑用や村人の看病をこなしながら、少しずつ「誰かに必要とされる感覚」を取り戻していきます。
かつては「落ちこぼれ聖女」とさげすまれた力が、今度は村の子どもたちの笑顔を守るために使われる。
そんな新しい日々の中で、ぶっきらぼうな鍛冶屋の優しさや、村人たちのさりげない気遣いが、冷え切っていたリーネの心をゆっくりと溶かしていきます。
やがて、国難を前に王都から使者が訪れ、「再び聖女として戻ってこい」と告げられたとき——
リーネが選ぶのは、きらびやかな王宮か、それとも鉄音の響く小さな家か。
理不尽な追放と婚約破棄から始まる物語は、
「大切にされなかった記憶」を持つ読者に寄り添いながら、
自分で選び取った居場所と、静かであたたかな愛へとたどり着く物語です。
「婚約破棄された聖女ですが、実は最強の『呪い解き』能力者でした〜追放された先で王太子が土下座してきました〜
鷹 綾
恋愛
公爵令嬢アリシア・ルナミアは、幼い頃から「癒しの聖女」として育てられ、オルティア王国の王太子ヴァレンティンの婚約者でした。
しかし、王太子は平民出身の才女フィオナを「真の聖女」と勘違いし、アリシアを「偽りの聖女」「無能」と罵倒して公衆の面前で婚約破棄。
王命により、彼女は辺境の荒廃したルミナス領へ追放されてしまいます。
絶望の淵で、アリシアは静かに真実を思い出す。
彼女の本当の能力は「呪い解き」——呪いを吸い取り、無効化する最強の力だったのです。
誰も信じてくれなかったその力を、追放された土地で発揮し始めます。
荒廃した領地を次々と浄化し、領民から「本物の聖女」として慕われるようになるアリシア。
一方、王都ではフィオナの「癒し」が効かず、魔物被害が急増。
王太子ヴァレンティンは、ついに自分の誤りを悟り、土下座して助けを求めにやってきます。
しかし、アリシアは冷たく拒否。
「私はもう、あなたの聖女ではありません」
そんな中、隣国レイヴン帝国の冷徹皇太子シルヴァン・レイヴンが現れ、幼馴染としてアリシアを激しく溺愛。
「俺がお前を守る。永遠に離さない」
勘違い王子の土下座、偽聖女の末路、国民の暴動……
追放された聖女が逆転し、究極の溺愛を得る、痛快スカッと恋愛ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる