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9歳 人喰い狼と、誕生日
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「あ、あの!」
いつものように学校の門の前まで迎えに来た私とサラにキースが話しかけてきたのは、雪が降り積もったあくる日のことだった。
ローザに何かあったのかと思って辺りを見回すと、少し離れた場所で他の友人達と共に話しているのが見えた。
どうやら、そうではないらしい。
「なんだ?」
ローザを見送りに来たキースと言葉を交わしたことはあるが、ローザを間に挟まずに話すのは初めてだ。
不思議に思って問いかけると、キースは紫の目を一瞬伏せた後、思い切った様子で切り出した。
「あの、ローザの好きな食べ物はなんですか?」
「食べ物?」
思いがけない質問に聞き返すと、頬を赤く染めたキースが「もうすぐローザの誕生日なので……」と言った。
「この前干し肉をもらってとてもうれしかったので、ぼくもなにかローザがとびきりよろこんでくれそうなプレゼントをと……」
「甘いものが好きだな。
特に、薔薇のジャムや赤スグリのジュースのような赤い食べ物が好きだ」
ローザの好みは、赤ん坊の頃からあまり変わらなかった。
変化したことと言えば、花の蜜を掛けなければ食べられなかった赤スグリをそのまま食べられるようになったことくらいだろうか。
夏になれば赤スグリを摘み、秋になれば葡萄を収穫し、冬には林檎をもぎ、春には早咲きの薔薇をジャムにする。
どの季節でも、ローザは赤い果実や花をよく食べた。
私の返答を聞いて、キースが「ローザらしい」と小さく笑った。
普段のローザの様子から、容易に想像が出来たのだろう。
「ありがとうございます。参考にします」
キースの言葉に、サラが「お礼なんかいいのよ」と笑って宙を漂った。
「例えどんなものでも、あなたからもらったものならきっとローザは喜ぶと思うけどね」
「できれば、ローザが一番喜んでくれるものをあげたいので」
そう言って、キースがはにかんだ。
ローザは本当に、よい友人を持ったものだ。
そう思いながら様子を眺めていると、キースの名を呼ぶ声がこちらに届いた。
「おーい、キース。今日は魔法の練習につきあってくれるんだろ! はやく来てくれよ」
「うん、わかった。すぐ行く!」
見れば、焦げ茶色の髪の少年がこちらに向かって大きく手を振っている。
キースの同級生のようだ。
少年に手を振り返したキースが、こちらに向き直った。
「すみません、これで失礼します。
あと、ぼくがいま聞いたことは……」
「もちろん、ローザには内緒にしておくわ。
パステールが話しそうになったら、頭の毛を焼いておくから安心して」
「それはやめてくれ……」
頭頂部がつるつるになった自分の姿を想像して、つい身震いしてしまった。
恐ろしい未来だ。
声を上げて笑ったキースが一度礼をして、先ほど自分を呼んだ少年の元へ駆けていく。
その後ろ姿を見送りながら、サラが呟いた。
「青春ねえ」
「せいしゅん? なんだ、それは。うまいのか」
「甘くもあり苦くもあり、なものよ」
「サラは「せいしゅん」とやらを、したことはあるのか?」
「そうねえ……マギアスと一緒に帝国の連中を焼き払ったときは「ああ、青春してるわ」って思ったかしら」
「ほう」
サラの口ぶりから考えると、どうやら「せいしゅん」とは戦いの日々を指すらしい。
となると、マギアスやサラと共に多くの敵を倒してきた私も「せいしゅん」を堪能したことになる。
気がつかないうちに「せいしゅん」をしていたとは、もったいないことをしたものだ。
しかし、そうなると……。
「キースも、どこかへ戦いに行くのか?」
「ある意味ね」
そうか。私が気がつかなかっただけで、キースもまた何かと戦っているのだな。
まだローザと変わらぬ年だというのに、勇敢な少年だ。
頷く私の頭に、サラが乗った。
「それはともかくとして、うっかり口を滑らすんじゃないわよ」
「魔狼は、一度した約束を違えることは決してないぞ」
「知ってるわよ。
あんたにその気がなくとも、うっかり口を滑らせることがあるから言ってるんでしょう」
それを言われては、返す言葉もない。
マギアスに拾われたばかりの頃、サラと一緒に彼の誕生日を祝ったことがあった。
何日も掛けてサラと一緒に準備をして、当日は盛大に―――といっても、花で部屋を飾り付け、プレゼントとして森で見つけた一番美しい木の実を用意しただけだったが―――祝ったものだ。
マギアスはとても喜んでくれた。
その間、私はすっかり隠し通せているつもりだったのだがサラ曰く「途中からバレバレだったわよ」らしい。
確かに、今思えばマギアスは喜んではくれたものの驚いてはいなかったような気がする。
準備を始めたその日の夜にマギアスに「プレゼントは何がほしい?」と聞いたのがダメだったらしい。
今の私なら分かるが、確かにそれはダメだ。
正直なところ私はよく覚えていないが、サラが言うのだから間違いないだろう。
サラの記憶力は、私よりも上だ。
だが、私とて成長した。
あの時と同じ過ちはもう犯さない。
そう言うと、サラは「期待してるわ」とくすくす笑った。
それから三日が経ち、ローザの誕生日になった。
もちろん、キースのことはローザには言っていない。
サラも「ちゃんと成長したじゃない」と褒めてくれたので、思い込みではないはずだ。
「今日でわたし、九歳なのよね!」
「ええ。ローザもすっかり大人になったわね」
今日のローザは、いつも以上にご機嫌だった。
朝にサラからもらった赤い靴がよほど気に入ったのだろう。
起きてすぐに祝福の言葉とプレゼントを贈り、普段よりも少し豪勢な朝食を摂る。
それが、長年続いてきた私とサラとローザの習慣だった。
「ローザ!」
学校の門の前に来ると、キースの声が耳に届いた。
普段よりもいささか大きな声に、笑いながらサラと話していたローザが驚いた様子で顔を向ける。
「あ、キース!」
手を振るローザのもとへ、キースが駆け寄ってきた。
後ろ手に何か隠し持っている。その匂いの甘さからして、隠しているものは大体想像がついた。
ただ、人間のローザには分からなかったようで「腕、どうしたの?」と不思議そうだったが。
「ローザ、誕生日おめでとう」
「ありがとう、キース」
祝われたことが嬉しいのだろう。ローザがにっこりと微笑んだ。
一歩前へ踏み出したキースが、後ろ手に隠していたものを差し出す。
「これ、ローザに」
キースが差しだしたのは、透明な瓶だった。
蓋には薄紫のリボンが結ばれ、薔薇のつぼみが添えられている。
中に入っているものを見て、ローザが「わあ」と歓声を上げた。
「これ、バラ?」
「うん。冬薔薇が咲いたから、砂糖漬けにしたんだ。
花束にしようかとも思ったんだけど、渡す前に萎れるかもしれないから」
そう言って、キースが残念そうに笑った。
対象の状態を保つ「保存の魔法」は存在するが、扱うのは非常に難しい。
キースの年では扱えないのも無理はなかった。
「たべていい?」
「うん。口に合えばいいんだけど」
キースの返答を聞いて、ローザが早速砂糖漬けを口に入れた。
その味がどんなものだったかは、言葉を聞かずともほころんだローザの表情で大体察しがつく。
「おいしい!」
やがてローザの口から飛び出た言葉は、私が想像したものと全く同じだった。
頬を薔薇色に染めたローザが「あのね」と更に言葉を続ける。
「バラのいい匂いがして、お花がさくさくで、それにあまいの!
こんなにきれいでおいしいもの作れるなんて、キースってすごいんだね!」
ローザの言葉に、緊張していた様子のキースが「よろこんでもらえて、よかった」と微笑んだ。
「そんなにむずかしくないから、よかったら今度いっしょに作ろうか」
「うん! 砂糖漬けって、バラ以外のお花でも作れるの?」
「作れるよ。スミレとか、ヴィオラとか……」
「ハイドランジアは?」
「あれは毒があるから、食べられないかな……」
そんな会話を交わしながら、二人はいつものように手を繋いで仲良く校舎へ歩いて行った。
いつものように学校の門の前まで迎えに来た私とサラにキースが話しかけてきたのは、雪が降り積もったあくる日のことだった。
ローザに何かあったのかと思って辺りを見回すと、少し離れた場所で他の友人達と共に話しているのが見えた。
どうやら、そうではないらしい。
「なんだ?」
ローザを見送りに来たキースと言葉を交わしたことはあるが、ローザを間に挟まずに話すのは初めてだ。
不思議に思って問いかけると、キースは紫の目を一瞬伏せた後、思い切った様子で切り出した。
「あの、ローザの好きな食べ物はなんですか?」
「食べ物?」
思いがけない質問に聞き返すと、頬を赤く染めたキースが「もうすぐローザの誕生日なので……」と言った。
「この前干し肉をもらってとてもうれしかったので、ぼくもなにかローザがとびきりよろこんでくれそうなプレゼントをと……」
「甘いものが好きだな。
特に、薔薇のジャムや赤スグリのジュースのような赤い食べ物が好きだ」
ローザの好みは、赤ん坊の頃からあまり変わらなかった。
変化したことと言えば、花の蜜を掛けなければ食べられなかった赤スグリをそのまま食べられるようになったことくらいだろうか。
夏になれば赤スグリを摘み、秋になれば葡萄を収穫し、冬には林檎をもぎ、春には早咲きの薔薇をジャムにする。
どの季節でも、ローザは赤い果実や花をよく食べた。
私の返答を聞いて、キースが「ローザらしい」と小さく笑った。
普段のローザの様子から、容易に想像が出来たのだろう。
「ありがとうございます。参考にします」
キースの言葉に、サラが「お礼なんかいいのよ」と笑って宙を漂った。
「例えどんなものでも、あなたからもらったものならきっとローザは喜ぶと思うけどね」
「できれば、ローザが一番喜んでくれるものをあげたいので」
そう言って、キースがはにかんだ。
ローザは本当に、よい友人を持ったものだ。
そう思いながら様子を眺めていると、キースの名を呼ぶ声がこちらに届いた。
「おーい、キース。今日は魔法の練習につきあってくれるんだろ! はやく来てくれよ」
「うん、わかった。すぐ行く!」
見れば、焦げ茶色の髪の少年がこちらに向かって大きく手を振っている。
キースの同級生のようだ。
少年に手を振り返したキースが、こちらに向き直った。
「すみません、これで失礼します。
あと、ぼくがいま聞いたことは……」
「もちろん、ローザには内緒にしておくわ。
パステールが話しそうになったら、頭の毛を焼いておくから安心して」
「それはやめてくれ……」
頭頂部がつるつるになった自分の姿を想像して、つい身震いしてしまった。
恐ろしい未来だ。
声を上げて笑ったキースが一度礼をして、先ほど自分を呼んだ少年の元へ駆けていく。
その後ろ姿を見送りながら、サラが呟いた。
「青春ねえ」
「せいしゅん? なんだ、それは。うまいのか」
「甘くもあり苦くもあり、なものよ」
「サラは「せいしゅん」とやらを、したことはあるのか?」
「そうねえ……マギアスと一緒に帝国の連中を焼き払ったときは「ああ、青春してるわ」って思ったかしら」
「ほう」
サラの口ぶりから考えると、どうやら「せいしゅん」とは戦いの日々を指すらしい。
となると、マギアスやサラと共に多くの敵を倒してきた私も「せいしゅん」を堪能したことになる。
気がつかないうちに「せいしゅん」をしていたとは、もったいないことをしたものだ。
しかし、そうなると……。
「キースも、どこかへ戦いに行くのか?」
「ある意味ね」
そうか。私が気がつかなかっただけで、キースもまた何かと戦っているのだな。
まだローザと変わらぬ年だというのに、勇敢な少年だ。
頷く私の頭に、サラが乗った。
「それはともかくとして、うっかり口を滑らすんじゃないわよ」
「魔狼は、一度した約束を違えることは決してないぞ」
「知ってるわよ。
あんたにその気がなくとも、うっかり口を滑らせることがあるから言ってるんでしょう」
それを言われては、返す言葉もない。
マギアスに拾われたばかりの頃、サラと一緒に彼の誕生日を祝ったことがあった。
何日も掛けてサラと一緒に準備をして、当日は盛大に―――といっても、花で部屋を飾り付け、プレゼントとして森で見つけた一番美しい木の実を用意しただけだったが―――祝ったものだ。
マギアスはとても喜んでくれた。
その間、私はすっかり隠し通せているつもりだったのだがサラ曰く「途中からバレバレだったわよ」らしい。
確かに、今思えばマギアスは喜んではくれたものの驚いてはいなかったような気がする。
準備を始めたその日の夜にマギアスに「プレゼントは何がほしい?」と聞いたのがダメだったらしい。
今の私なら分かるが、確かにそれはダメだ。
正直なところ私はよく覚えていないが、サラが言うのだから間違いないだろう。
サラの記憶力は、私よりも上だ。
だが、私とて成長した。
あの時と同じ過ちはもう犯さない。
そう言うと、サラは「期待してるわ」とくすくす笑った。
それから三日が経ち、ローザの誕生日になった。
もちろん、キースのことはローザには言っていない。
サラも「ちゃんと成長したじゃない」と褒めてくれたので、思い込みではないはずだ。
「今日でわたし、九歳なのよね!」
「ええ。ローザもすっかり大人になったわね」
今日のローザは、いつも以上にご機嫌だった。
朝にサラからもらった赤い靴がよほど気に入ったのだろう。
起きてすぐに祝福の言葉とプレゼントを贈り、普段よりも少し豪勢な朝食を摂る。
それが、長年続いてきた私とサラとローザの習慣だった。
「ローザ!」
学校の門の前に来ると、キースの声が耳に届いた。
普段よりもいささか大きな声に、笑いながらサラと話していたローザが驚いた様子で顔を向ける。
「あ、キース!」
手を振るローザのもとへ、キースが駆け寄ってきた。
後ろ手に何か隠し持っている。その匂いの甘さからして、隠しているものは大体想像がついた。
ただ、人間のローザには分からなかったようで「腕、どうしたの?」と不思議そうだったが。
「ローザ、誕生日おめでとう」
「ありがとう、キース」
祝われたことが嬉しいのだろう。ローザがにっこりと微笑んだ。
一歩前へ踏み出したキースが、後ろ手に隠していたものを差し出す。
「これ、ローザに」
キースが差しだしたのは、透明な瓶だった。
蓋には薄紫のリボンが結ばれ、薔薇のつぼみが添えられている。
中に入っているものを見て、ローザが「わあ」と歓声を上げた。
「これ、バラ?」
「うん。冬薔薇が咲いたから、砂糖漬けにしたんだ。
花束にしようかとも思ったんだけど、渡す前に萎れるかもしれないから」
そう言って、キースが残念そうに笑った。
対象の状態を保つ「保存の魔法」は存在するが、扱うのは非常に難しい。
キースの年では扱えないのも無理はなかった。
「たべていい?」
「うん。口に合えばいいんだけど」
キースの返答を聞いて、ローザが早速砂糖漬けを口に入れた。
その味がどんなものだったかは、言葉を聞かずともほころんだローザの表情で大体察しがつく。
「おいしい!」
やがてローザの口から飛び出た言葉は、私が想像したものと全く同じだった。
頬を薔薇色に染めたローザが「あのね」と更に言葉を続ける。
「バラのいい匂いがして、お花がさくさくで、それにあまいの!
こんなにきれいでおいしいもの作れるなんて、キースってすごいんだね!」
ローザの言葉に、緊張していた様子のキースが「よろこんでもらえて、よかった」と微笑んだ。
「そんなにむずかしくないから、よかったら今度いっしょに作ろうか」
「うん! 砂糖漬けって、バラ以外のお花でも作れるの?」
「作れるよ。スミレとか、ヴィオラとか……」
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