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誠の本当の『仲間達』

第130話 『特殊な部隊』の『特殊』なルール・『いい話にオチをつける』 

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「神前。食えよ、かつ丼」

 誠は少しかなめの素敵な言葉にあこがれて、目の前のどんぶりの中身のことを忘れていた。

「すみません……なんだか……西園寺さんが見かけによらず、立派なことを言うから忘れてました」

 そう言うと誠はかつ丼のどんぶりを手にした。

「だけどな。アタシはある『野望』があるから、『貴族主義者』には、存在していてもらわなきゃ困るんだな」

 かなめはそう言ってほほ笑んだ。

 誠はかなめの表情に『殺気』を感じて箸を止めた。

「『野望』……ですか?」

 完全に『嫌な予感』がしていた。

 この『特殊な部隊』においては隊長が『駄目人間』であり、『見た目』と『貫録』に違和感しか感じない幼女がナンバー2なのである。

 二人が選んだ『特殊』な隊員がいいことを言って終わりにするはずがない。誠の直感はそう自分にささやきかけた。

「アタシは!」

「はあ……」

 誠は絶句した。自分でそう言う人を初めて見た。

「そして、『高貴な血筋』を持ってるんだ……罪だな、アタシ」

 先ほどの理解を超えた発想を持っていたかなめである。たれ目だが美人なのは事実だし、下手なことを言うと銃殺されるので誠は黙っていた。

「そこで、『美人』で『高貴な血筋』で『女王様』である歴史上の人物をネットで検索した」

 『甲武国』は『大正ロマンあふれる国』なのでネットは無いはずだが、かなめは『関白太政大臣』なのでそんな法律は無視するだろうということは誠も想像ができた。

「そうすると、一人の『女王様』にアタシは出会った。そして、あの地球最古の文明である『エジプト文明』の、一般には知られていない『常識』に出会ったんだ。まあ、歴史知識ゼロの神前にはわからねえだろうがな」

 誠はその『女王様』に同情しながら、『エジプト』についての自分の少ない知識を引き出さないと、目の前の『女王様』に殺されると直感した。
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