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究極の『駄目人間』の巣
第25話 『最強』の存在に『恥』をかかせるということ
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「アタシに『恥』をかかせて逃げるだ……認めねーな」
力強くてかわいらしい声が『隊長室』に響いた。
「クバルカ中佐……でも、僕は!辞めたいんです!完全に罠ですよ!こんなの!確かに僕が役員に気に入られて中佐が『ロリボイス』で変な告白の演技をしなきゃならなくなったのは恥かもしれませんけど!」
誠はとりあえず話の通じそうだったランに反論を試みた。
「ちげーな。オメーは分かっちゃいねー。アタシはそんなちんけな理由で『恥』てんじゃねー」
「分かってない?」
誠の見下ろす下でランはそう言って顔を上げた。
「さっき、隊長が言ったように。オメーには『才能』があんだ。だからアタシは、『駄目人間』のオメーを引き込む悪だくみに協力した。オメーはそのまま野に埋もれさせておくには惜しー人材なんだ」
力強い口調でランはそう言った。ちっちゃくてかわいいがその瞳には自分の言葉に対する自信があふれていた。
「でも……僕は操縦がド下手ですよ。しかも仕事は『回収』係なんですよね」
誠にはこういう時は、その場の雰囲気に流されずに少し冷静になるだけの知能の持ち合わせがあった。
熱血トークを始めそうなランから目を逸らした誠は視線を嵯峨に向けた。
「まあ、仕事なんてそんなもんだよ。『総合職』とか言って大手の会社に入るけど何すんの?会社によっては、辞めたバイトの仕事を押し付けられるとか、一年は専門学校通って座学なんてところもあるくらいだし、まあそんなもんよ」
嵯峨はそう言ってにやりと笑う。
この男にかかっては誠は単なるアリジゴクに落ちたアリだった。
「でも……僕は辞めたいんですけど……」
誠はとりあえず押しの一手でその主張を続けた。
「命は……一つだな。オメーの場合は。今日それが終わっても……まあよくある話だ」
そんな物騒な言葉が自分の隣の小さな女の子から出てくるとは誠も思ってはいなかった。
「そう言うわけだ。神前。死にたくないだろ?だったらとりあえず辞めるというのは後で考えるとして。もう少し前向きに物事を見て行こうじゃないの」
嵯峨の甘い言葉と一度は死を覚悟したものの、実際幼女に殺されるというのはあまりうれしいことには誠には感じられなかった。
「とりあえず……考えさせてください」
そう言う以外に誠は生きる方法を知らなかった。
「まあ、分かってくれたんだ。よかった、よかった」
嵯峨はそう言って手を叩いた。そして、静かに誠を見つめた。
「逃げたきゃ、いつでも逃げな……逃げられれば……の話だけど。その逃げ道は当然、全部つぶすよ。それは俺の『自由』だもん。なんでもアリなんだ、この世の中」
誠は愛する母が最悪の知り合いを持ってしまった事実に気づいた。
力強くてかわいらしい声が『隊長室』に響いた。
「クバルカ中佐……でも、僕は!辞めたいんです!完全に罠ですよ!こんなの!確かに僕が役員に気に入られて中佐が『ロリボイス』で変な告白の演技をしなきゃならなくなったのは恥かもしれませんけど!」
誠はとりあえず話の通じそうだったランに反論を試みた。
「ちげーな。オメーは分かっちゃいねー。アタシはそんなちんけな理由で『恥』てんじゃねー」
「分かってない?」
誠の見下ろす下でランはそう言って顔を上げた。
「さっき、隊長が言ったように。オメーには『才能』があんだ。だからアタシは、『駄目人間』のオメーを引き込む悪だくみに協力した。オメーはそのまま野に埋もれさせておくには惜しー人材なんだ」
力強い口調でランはそう言った。ちっちゃくてかわいいがその瞳には自分の言葉に対する自信があふれていた。
「でも……僕は操縦がド下手ですよ。しかも仕事は『回収』係なんですよね」
誠にはこういう時は、その場の雰囲気に流されずに少し冷静になるだけの知能の持ち合わせがあった。
熱血トークを始めそうなランから目を逸らした誠は視線を嵯峨に向けた。
「まあ、仕事なんてそんなもんだよ。『総合職』とか言って大手の会社に入るけど何すんの?会社によっては、辞めたバイトの仕事を押し付けられるとか、一年は専門学校通って座学なんてところもあるくらいだし、まあそんなもんよ」
嵯峨はそう言ってにやりと笑う。
この男にかかっては誠は単なるアリジゴクに落ちたアリだった。
「でも……僕は辞めたいんですけど……」
誠はとりあえず押しの一手でその主張を続けた。
「命は……一つだな。オメーの場合は。今日それが終わっても……まあよくある話だ」
そんな物騒な言葉が自分の隣の小さな女の子から出てくるとは誠も思ってはいなかった。
「そう言うわけだ。神前。死にたくないだろ?だったらとりあえず辞めるというのは後で考えるとして。もう少し前向きに物事を見て行こうじゃないの」
嵯峨の甘い言葉と一度は死を覚悟したものの、実際幼女に殺されるというのはあまりうれしいことには誠には感じられなかった。
「とりあえず……考えさせてください」
そう言う以外に誠は生きる方法を知らなかった。
「まあ、分かってくれたんだ。よかった、よかった」
嵯峨はそう言って手を叩いた。そして、静かに誠を見つめた。
「逃げたきゃ、いつでも逃げな……逃げられれば……の話だけど。その逃げ道は当然、全部つぶすよ。それは俺の『自由』だもん。なんでもアリなんだ、この世の中」
誠は愛する母が最悪の知り合いを持ってしまった事実に気づいた。
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