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ある若者の運命と女と酒となじみの焼き鳥屋
第88話 『平民宰相』の娘の父親観
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誠はなぜどんな悲惨な話にも意地でも落ちをつけるのかと不思議に思いながら目の前のご令嬢であるかなめに目をやった。
かなめはネギまを食べ終えると、悠然と葉巻をふかしラム酒を口にした。
「まあ、『大正ロマンの国』の政治家なんてそんなもんさ。オメエは日本史苦手だから知らねえだろうけど、日本の『大正時代』もテロと騒乱事件の歴史なんだぜ。何人首相が暗殺されたと思ってんだ。現役の首相が暗殺されなかっただけましだろうが」
そう強がるかなめの言葉にはどこかいつもの力が無かった。
「結局アタシは大枚はたいてこんな体になった。3歳の時から見た目はおんなじ。まあ、ふつうグレルわな」
「今でもグレてますね。銃を抜き身で持ち歩いてるし」
誠のさりげないツッコミにかなめはあきらめたような笑みを浮かべた。
「こんな平和なだけが自慢の東和共和国の庶民にはアタシの気持ちなんてわかんねえよ。いつ、オヤジの政敵である貴族主義の連中が首を取りにくるかわかんねえんだ。護身用だよ……マガジン入ってねえし」
かなめは銃を抜くとそのグリップの下を指さした。そこには弾丸を入れるマガジンが刺さっているところだがそこには何も入っていなかった。
「ふーん。かなめちゃんはお父さんを尊敬してるんだ」
アメリアが冷やかすような調子でそう言った。
戦闘用人造人間である彼女に両親などいないことは分かっている。誠は少しばかりかなめの答えが気になって視線をかなめに向けた。
「尊敬ねえ……たいしたもんだとは思う。戦争中は謹慎状態だったのに、ひとたび腰を上げると簡単に戦争を止めちまった伝説の外交官。貴族の最高の位の『太閤』をアタシに譲って『平民宰相』を目指して『普通選挙』実現のために頑張ってる……でもなあ」
かなめはそう言いながら再び葉巻をくわえた。どこか釈然としない。どこか父親と距離を取っている。誠にはかなめの言葉がそんな風に聞こえてならなかった。
かなめはネギまを食べ終えると、悠然と葉巻をふかしラム酒を口にした。
「まあ、『大正ロマンの国』の政治家なんてそんなもんさ。オメエは日本史苦手だから知らねえだろうけど、日本の『大正時代』もテロと騒乱事件の歴史なんだぜ。何人首相が暗殺されたと思ってんだ。現役の首相が暗殺されなかっただけましだろうが」
そう強がるかなめの言葉にはどこかいつもの力が無かった。
「結局アタシは大枚はたいてこんな体になった。3歳の時から見た目はおんなじ。まあ、ふつうグレルわな」
「今でもグレてますね。銃を抜き身で持ち歩いてるし」
誠のさりげないツッコミにかなめはあきらめたような笑みを浮かべた。
「こんな平和なだけが自慢の東和共和国の庶民にはアタシの気持ちなんてわかんねえよ。いつ、オヤジの政敵である貴族主義の連中が首を取りにくるかわかんねえんだ。護身用だよ……マガジン入ってねえし」
かなめは銃を抜くとそのグリップの下を指さした。そこには弾丸を入れるマガジンが刺さっているところだがそこには何も入っていなかった。
「ふーん。かなめちゃんはお父さんを尊敬してるんだ」
アメリアが冷やかすような調子でそう言った。
戦闘用人造人間である彼女に両親などいないことは分かっている。誠は少しばかりかなめの答えが気になって視線をかなめに向けた。
「尊敬ねえ……たいしたもんだとは思う。戦争中は謹慎状態だったのに、ひとたび腰を上げると簡単に戦争を止めちまった伝説の外交官。貴族の最高の位の『太閤』をアタシに譲って『平民宰相』を目指して『普通選挙』実現のために頑張ってる……でもなあ」
かなめはそう言いながら再び葉巻をくわえた。どこか釈然としない。どこか父親と距離を取っている。誠にはかなめの言葉がそんな風に聞こえてならなかった。
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