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5巻
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しおりを挟む第1話 調査の歩み
俺――オーリンが学園の教師を辞めてギアディス王国を出て、エストラーダ王国へと渡り、国王陛下からの命を受けてラウシュ島の調査に乗り出してから数ヵ月が経った。島の調査はいよいよ大詰めを迎えている。
この島へ来て最大の発見となった都市遺跡群。
現在、パジル村で暮らす人たちよりも、遥か昔からこのラウシュ島に存在し、そして忘れられていった存在。
俺たちはさらに詳しくこの都市遺跡を調べようとしたのだが、地下に続く道の途中で発見した扉の前で、島に来た時から俺たちを助けてくれた島に住む少女――イムの体に異変が起きた。
苦しむイムを連れて都市遺跡群から撤退した俺たちであったが、結果としては大きな謎が残っただけとなってしまった。
あの都市遺跡群に、この島の謎を解く大きなヒントが隠されている。
それは間違いないのだろうけど……問題はイムが体調不良を起こしたあの謎の扉。
そこをどうやって突破し、さらに奥へと進むのかが今後の課題となりそうだ。
――ただ、あまり悠長に構えている時間もない。
かつて俺が身を置いていたギアディス王国と、この島に眠る魔導兵器に関心を抱いているレゾン王国が手を組み、各国へ侵略戦争を仕掛けていた。
そんな連中の次なる標的が、いよいよこのエストラーダ王国へと絞り込まれたらしい。
レゾン王国の狙いは魔導兵器の他にもうひとつあった。
それは――レゾン王家の血を引くイムの存在。
父親として彼女を育ててきたセルジさんの話によれば、イムの正体はレゾン国王の前妻の娘――フィオーナ姫だということだった。
そして、レゾン王国の現王妃は自分の子どもに王位を継承させるべく、イムを暗殺しようと計画していたのだという。
当時レゾン王国騎士団で副騎士団長をしていたオズボーン・リデアさんは現王妃の暴走に気づき、まだ幼いイムを連れてレゾン王国を脱出。
やがてこのラウシュ島へと流れつき、それからオズボーンさんはセルジと名前を変え、イムの父親としてパジル村の一員となったのだ。
そのオズボーンさんの協力も得て、俺たちは連合軍との戦いに備えつつ、ラウシュ島最後の謎に挑もうとしていた。
†
新しい朝がやってきた。
いつもなら今日の探索スケジュールを確認し、このラウシュ島の謎について調べを進めていくのだが、今はそれが少し難しい状況となっていた。
原因は本格的になってきたレゾンとギアディスの侵攻にある。
自国の強さを世界に示し、領土拡大を狙うギアディス。一方、レゾンの狙いは間違いなく、このラウシュ島に眠る古代魔導兵器とレゾン王家の血を引くイムの命だ。
このふたつを手に入れるため、レゾンは大国ギアディスと連合軍を結成し、ラウシュ島を保有しているエストラーダ王国へと兵を送り込んできている。
この島で育ったイムは、レゾンの王家にも王位継承権にも関心がない。
しかし、向こうはそう思ってはくれないようで、これにはレゾン王家のお家事情というものが深く関わっている。
武力による世界制圧を目指す現レゾン王妃は、イムにとって義理の母親にあたる。
イムの本当の母親はすでに暗殺されており、現在の王妃は国王の再婚相手なのだ。
話を聞く限り、今はこの人物がレゾン王国内におけるさまざまな事柄の最終決定権を握っているらしいということが判明した。
現王妃は自分との間に生まれた男の子――つまり、イムの異母姉弟に王の座を継がせる気でいる。しかし、前妻の子どもであるイムが健在だという事実がどうにも引っかかるようで、イムが古代魔導兵器が眠っているラウシュ島で暮らしているのは好都合とばかりに、暗殺しようと目論んでいるのだ。
……だが、本当に厄介なのは、その王妃に手を貸している存在だろう。
王家すら自在に操れるレゾンの元老院。
そこが諸悪の根源だと、オズボーンさんは教えてくれた。
俺は今までに手に入れた情報を頭の中で整理しながら、屋敷の前で朝日を眺めていた。
「少しお休みになりませんか?」
俺にそう話しかけてきたのはブリッツだった。
彼は俺の教え子で、卒業後はエストラーダ王国騎士団に所属し、史上最年少で武勲の優れた者にのみ与えられる《聖騎士》の称号を得た凄腕だ。
彼の同期には他にも四人の優れた教え子がおり、当時学園では《黄金世代》と呼ばれて、注目をされていた。
ブリッツ同様、他の四人も卒業後はそれぞれの道を歩んでいったのだが、今のギアディスのやり方に反発して、全員がラウシュ島で俺の仕事を手伝ってくれている。
「昨日は遅くまでイムへの説明を続けて、お疲れでしょう」
「確かに疲労感はあるけど……どうにも眠れなくてね」
俺がそう語ると、ブリッツが不思議そうな顔をして尋ねてくる。
「先生にもそういう時があるのですね」
「俺だって普通の人間なんだぞ? 眠れない日だってあるさ」
しかし、思い返してみると、ここまで不安になるのは騎士を辞めてからは初めてかもしれない。
学園の教師という職は、騎士として戦場にいた時と違って命を失うリスクはなかったからな。
ただ、教え子であるブリッツに心配をかけるのはよろしくないし、何より俺自身も体を休めた方がいいとは思っていた。
あと気になるのはイムの精神状態だ。
自分の本当の出自を知った時、彼女は「あたしはあたし」と気丈に振る舞っていたが、内心ではいろいろと葛藤があったに違いない。
精神的に弱っているであろうイムに付き添っているのは、オズボーンさんだけではない。
俺と一緒にこの島へやってきた最後の教え子であるパトリシアも一緒だ。
彼女は非常に優秀な生徒だったが、約束された成功の道を捨ててギアディスを去った俺のもとへ駆けつけてくれた。
親を亡くしたパトリシアをギアディス王都の教会で預かってもらうように手配したのが騎士団時代の俺だったこともあって、彼女は俺によく懐いていてくれたからな。それが理由で、彼女はここまで追いかけてきてくれたのだろう。
島へ渡ってからのパトリシアは年齢の近いイムと意気投合し、今ではすっかり親友と呼べる間柄になっている。
イムの件はパトリシアとオズボーンさんに任せて、俺は大人しくベッドで横になろう。
少しでもいいから、休息を取らないとこれから先もたなくなる。
そう思い、何かあったらすぐに起こすようブリッツに伝えた――直後、そのブリッツの表情が険しくなる。
……どうやら、彼も気がついたようだ。
「先生、何者かが島に上陸したようです」
警戒するように目を細めたブリッツが言う。
「そのようだな。しかし、不思議と敵意は感じない」
「となると、エストラーダの人でしょうか」
「……確認をしてみる必要があるな」
そう言って俺が港へと歩き出そうとした時、ブリッツが手を伸ばして俺の動きを制止する。
「私が行きます。先生はお休みになってください」
「おいおい、さっき言ったばかりじゃないか――何かあったら起こしてくれと」
「し、しかし」
ブリッツの気持ちはありがたいが、さすがにこのままでは眠れはしない。
「敵ではなさそうだし、それに……応援も来た」
「えっ?」
俺の視線が自分の背後に向けられていると気づいたブリッツは慌てて振り返る。
そこには四人の人物が立っていた。
千変の魔女と呼ばれ、魔法使いとしての実力は超一流のジャクリーヌ。
魔道具作りの達人で、自身の工房を構えていたウェンデル。
ハーフエルフの聖女として人々を導き、救ってきたエリーゼ。
冒険者として数々の功績をあげてきたロレッタ。
彼らはブリッツと同じく俺の元教え子で、黄金世代と呼ばれた者たちだ。
その面々を見て、ブリッツが言う。
「みんな、随分と早いな」
「あら、その言葉はそっくりそのままあなたにお返ししますわ。ねぇ、ウェンデル」
意地悪そうな顔つきでウェンデルに同意を求めるジャクリーヌ。
こういう時のふたりは息ピッタリなんだよなぁ。
「そういうこと。ブリッツの方こそ、ちゃんと睡眠はとれたのかい?」
「……まあな」
ウェンデルからの言葉に対してのブリッツの返答は、少し間が空いていたな。
これはブリッツが何かを誤魔化したりする際によく出る癖だ。当然、学生時代からの長い付き合いがある四人はそれを把握しているため、あっさりと見抜かれてしまう。
「エストラーダから使者が来たようだな」
「対応は私たちに任せて、ふたりはゆっくり休んでください」
ロレッタとエリーゼが気を利かせてそう言ってくれるが……当然、ブリッツも俺も引き下がらない。
「そんなマネができると思うか?」
「ブリッツの言う通りだ。それに、用事があるとすれば相手は俺だろうからな」
休息は来訪者への対応の後。
早朝にもかかわらずこの島へやってきたということは、相当重要な用件を持ち込んできたと想定される。
それを確認しなければ、ぐっすり眠れそうにないからな。
ジャクリーヌ、ウェンデル、ロレッタ、エリーゼの四人もこうなるだろうなと展開は予想していたようで、半ば呆れつつも許可してくれた。
まあ、断られても行くつもりだったけど。
とにかく、俺と黄金世代の五人は来訪者から話を聞くため、港へと向かうのだった。
時間帯は朝の日差しがラウシュ島に降り注ぎ始める頃。
いつもならまだ就寝中だろうけど、イムの一件ですっかり目が覚めてしまい、こうして起きていた――が、結果としていい方向へ転んだな。
おかげで来訪者と直接顔を合わせられる。
で、その来客というのは大体予想していた通りのふたりの人物だった。
「っ! グローバー!? それにマリン所長も!?」
早朝の港にいたのは、エストラーダ王国騎士団に所属する元教え子のグローバーと、そのエストラーダ王都で造船所を営むマリン所長だった。
「オーリン先生、朝早くに申し訳ありません」
「ごめんね。起こしちゃったかな?」
申し訳なさそうに謝るふたり。
だが、それでもこうして島へやってきたというからにはそれ相応の理由があるはずだ。
第2話 来訪者
俺はグローバーとマリン所長に来島の理由を尋ねた。
「時間帯は気にしなくていいさ。君たちがこの時間帯に島へ足を運ぶということは……それだけ何か重要な事態が発生したか、あるいは情報を得たのだろう?」
「お察しの通りですよ」
ふっ、と小さく笑みを浮かべながらグローバーが答える。
「今回の件は……どうしても先生に直接お話をしなくてはいけないと思いまして」
「仕事が始まる前にグローバーに呼び出された時は何事かと思ったけど、かなり状況はよくないみたいだから、あたいが自ら船を操縦して連れてきたのさ」
グローバーの説明に補足するようにマリン所長が言った。
「よくない状況?」
予想はしていたが、やはりそういった類の報告だったか。
しかも、グローバーは水晶型魔道具の効果で遠く離れていても連絡を取り合うことができるはず。
にもかかわらず、わざわざ彼自身がこうやって島に足を運んだ。
これが意味するところは……あまり考えたくないな。
とりあえず、俺たちは話し合いの場所を、拠点の会議室へと移すことにした。
そこで、グローバーからある事実を告げられる。
「実は……エストラーダと隣国の国境近くにギアディスとレゾンの連合軍が集結しつつあります。おまけに海上では、何隻かの戦闘用の船をこちらへ向けて出航させたとの情報を入手しました」
「っ! そうか……ヤツら、ついに仕掛けてきたか」
俺が思っていたよりも侵攻の開始が早かったな。
戦力の整備や作戦の立案などでもっと時間を要すると想定していたのだが……これまでの情報からして、おそらく兵士の数で圧倒しようという単純極まりない作戦に打って出るのかもしれないな。
グローバーの話によれば、エストラーダも対策を講じているようだが、さすがに人員不足は否めないらしい。
圧倒的な兵力数の差。
これはちょっとやそっとじゃ埋まらないぞ。
ならば、せめて――
「海の方の守りはこちらで何とかしよう。ヤツらの狙いはラウシュ島に眠る古代魔導兵器と王家の血を引くイムだろうからな」
あちらが何千何万の兵を用意してこようが、こっちには黄金世代の五人がいる。
彼らの実力ならば、そう簡単にこの島を明け渡すようなことはない。
こちらも守るもののために抵抗するとしよう。
「我らエストラーダ騎士団は国境付近に戦力を集中させ、レゾンとギアディスの連合軍を迎え撃つつもりでいます」
「うちの漁業関係者も海を荒らされたとなったら黙っちゃいないからね。今のうちにいろいろと準備しておいた方がよさそうね」
グローバーもマリン所長もヤル気十分だな。
特にグローバーの方は鬼気迫るものがある。
彼もまたブリッツたちと同じで俺の元教え子だから、たくましく成長した姿を見ていると感慨深いな。どちらかというと大人しくて、あまり自己主張をしないタイプだったが、今は随分と勇敢な男になったものだ。
そこでロレッタが声をあげる。
「先生、この島でダンジョン探索をしている冒険者にも声をかけておきますよ。あいつらすっかりこの島が気に入ったみたいです。それに、冒険者を軽視するギアディスの政策には前々から鬱憤がたまっていたみたいなので、協力をしてくれるかと」
「頼めるか、ロレッタ」
「任せてください!」
「冒険者だけでなく、島民たちも戦うつもりでいますよ」
話し合いの場に、ひとりの男性の声が加わった。
「オズボーンさん!」
「急に割り込んでしまってすまない。だが、ラウシュ島を守りたいという気持ちは村のみんなも一緒だ。君たちばかりに頼るわけにはいかないと武器を手にしている」
「ラウシュ島の人々が……」
そうこぼしたのはグローバーだった。
思えば、この島はもともと《災いを呼ぶ島》と呼ばれ、大陸側の人間にとって畏怖の対象でもあった。
しかし、そんな誤解がとけた今、島民たちはエストラーダと協力して強大な力と戦おうとしている。
グローバーの表情が少し緩んで見えたのは、この島の人たちの頼もしさが影響しているに違いない。
「我々も負けてはいられないな、ロレッタ」
「おうよ! どんな数で来ようが残らず蹴散らしてやるぜ!」
「でしたら、わたくしはあなたたちが真っ直ぐに突っ込んでいけるように道を切り拓いてさしあげましょう」
「僕も戦闘への介入はふたりより少ないとは思うけど、全力で頑張るよ!」
「サポートなら私も力になるわ」
そこへ加わるのがギアディス時代も最高戦力として数えられていた黄金世代の五人。ひとりだけでも相当な戦力なのにそれが五人だからな。とくに彼らの実力をよく知っているギアディスの兵にとっては、名前を耳にした途端に震え上がる存在かもしれない。
――彼らだけじゃない。
島の調査のため合流したクレール。
騎士団から島の調査団に合流してくれているバリー、カーク、リンダ、それに加えて一般からの志願者だったドネルとルチアの五人も、島民や冒険者たちと一緒になって防衛に当たってくれる予定だ。
たくさんの人の協力で、ラウシュ島を守る。
この戦いが終わった時が……本当の意味で俺の引退生活がスタートするのかもしれないな。
早朝に始まった作戦会議だが、気がつくともうお昼を過ぎていた。
島の防衛に関しては、エストラーダ側はこちらに一任してくれるそうなので、あとは国境付近に集結しつつあるという連合軍への対策を考えなければならない。
これについては、明日の朝から城を訪れ、国王陛下も一緒になって作戦を立てる準備をする手筈で決定。
ふたりを見送った後、屋敷でメイドをしているマーサに声をかける。
彼女はある嵐の日にこのラウシュ島に流れついた女性で、記憶喪失となっていた。
ただ、レゾン王国内の反乱軍に身を置いている俺の元同僚のレティシアの娘で、現在はわけあって俺たちとこの島で一緒に暮らしているラシェルという少女が、彼女のことを知っていたのだ。
ラシェルのおかげで、彼女は元レゾン騎士団の一員であることが判明した。
とはいえ、マーサはレティシア側の人間らしく、未だ完璧に記憶は戻っていないということもあって、この島で暮らしている。
同じくレゾン騎士団に所属していたオズボーンさんと顔を合わせてから、少しずつ思い出せてはきているが、ゆっくり経過を観察していく必要がある。
そんなマーサから、イムの状況について説明を受けた。
やはり、イムはまだ自分の本当の身分を知らされた衝撃を整理しきれていないようだ。
難しいかもしれないが、最後にはイム自身で気持ちの整理をしなくてはならないだろうからな。
それまで俺たちは静かに見守るしかない。
同じ年齢で仲の良いパトリシアもなんとかしようと彼女を釣りへ誘い、今は出かけているという。
パトリシアがフォローに回ってくれているので、ここは彼女に任せるとしよう。
ともかく、ここでようやく仕事に区切りがついたので、少し休ませてもらうことにした。
自室のベッドに横になり、目を閉じるが、どうしても脳裏にはこれからどうするべきだろうという考えがよぎってしまう。
もはや連合軍との衝突は避けられないだろう。
他国へ侵攻したケースを振り返ると、問答無用で武力制圧を狙ってくるのは火を見るよりも明らかだ。そして何よりレゾン側にとって、エストラーダの制圧は重要な意味を持つ。
今までの他国への侵攻は領土の拡大が主な目的だったが、エストラーダを手中に収めた先にあるものはラウシュ島に眠る魔導兵器。
レゾンはそれを手に入れ、いずれは世界を我が物にしようと企んでいるに違いない。
本来であれば、こちらもじっくりと策を練るべきなのだろうが、そうも言っていられない事態が迫りつつある。
欲と見栄のために戦争を仕掛けようとしているギアディスはともかく、レゾンの狙いは魔導兵器と王家の血を引くイムの命だ。
おそらく、ギアディス側はうまく乗せられているだけだろう。
ヤツらは、親のコネだけで騎士団長になったカイル・アリアロードを前線の指揮官に置いてしまうくらいに現実が見えていない。その様子から察するに、彼の母親でギアディス王立魔剣学園の学園長、ローズ・アリアロードの影響力は騎士団や魔法兵団にまで及んでいるようだ。
エストラーダの戦力を考えると、両国の軍勢を同時に相手にするのは難しく思えるが、連中もそう簡単にこのエストラーダに手を出せないだろう。
正直、黄金世代のブリッツかジャクリーヌのどちらかひとりがいれば、それだけで事足りてしまうほど戦力差がある。
それにエリーゼが治癒魔法と同じくらいに得意とする防御魔法でこの島全体を守れば、この島に上陸するのでさえ困難になるだろう。それに加えて魔道具師のウェンデルと凄腕冒険者であるロレッタも加われば敵なしだ。
さらに、ロレッタを慕って集まってくれた冒険者たちも島の防衛に協力をしてくれることになった。
まだこの島で暮らし始めて日は浅いのだが、みんなここでの生活を気に入ってくれているようで、戦意は高まってきている。
まさに盤石の布陣。
ただ、島の防衛だけでなく、大陸側にあるエストラーダ王都の防衛にも力を注がなくてはいけない。
ラウシュ島をめぐる戦いはあくまでも海上決戦がメインになるだろう。
そこで、俺は何が起きても臨機応変に対応できる魔法使いのジャクリーヌを島の防衛の最高指揮官に命じた。
任命した直後、彼女は「柄ではありませんが、先生にそう言われてはやるしかありませんわね」と言っていたものの、咄嗟の判断力は非常に優秀だし、勘も働く。ひとりでワイバーンを倒せるだけの力もあるし、これ以上の適任者はいないだろう。
他に防御魔法で島を守っているエリーゼと、冒険者たちのまとめ役としてロレッタを島に残すことにした。
それに加え、パトリシアも島に残り、ジャクリーヌの右腕として働いてもらう。
そして、俺とブリッツとウェンデルは王都の防衛のために、明日大陸に渡ってグローバーと合流する。
「――って、いつまでも考えていたら眠れないな」
悪い癖がここでも発動してしまったな。
そこで俺は考えることをやめ、無心になって眠りにつくのだった。
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