引退賢者はのんびり開拓生活をおくりたい

鈴木竜一

文字の大きさ
表紙へ
35 / 82
3巻

3-3

しおりを挟む
 しばらくして、湿原の先にある森に入ると、真っ先に小川が出現。
 さっきの大河から分岐してきたものだろうか。近くには小高い丘もあり、周囲を見渡せる環境であることから、ここを調査の拠点地に決めた。
 大雨など、状況が変化した時には中継地点の屋敷へ避難すればいいし、本当に便利な存在となってくれたな。
 改めてターナーには感謝しないと。

「よし。それじゃあ手分けしてテントの用意をしようか」

 俺がそう指示を飛ばすと、すぐさま作業を開始。
 この辺の手際のよさはさすがだな。
 テント以外にも、ウェンデルお手製の万能家具はジャクリーヌが魔法で生み出した空間にしまっておいたため、それを取り出して配置していく。
 これにより、テント生活でありながら快適さが大幅に増した。

「さすがだな、ふたりとも」
「これくらいお安い御用ですよ!」
「調子に乗るんじゃありませんわ」

 ウェンデルとジャクリーヌの、このやりとりも変わらないな。
 とりあえず、雨風をしのげる寝床の用意が完了。
 テントで昼食を取りながら、今後の進路について確認する。

「まだ足を延ばしていないのは……こっちからのルートだが」
「そこは特に草木が鬱蒼うっそうとしていて、前進するのが難しいですね」

 昨日、ブリッツたちがあきらめた場所か――
 けど、ここを乗り越えない限り、新しい発見は得られないだろう。
 俺たちよりも先に島へ上陸していたと思われるオズボーン・リデア――レゾン王国の副騎士団長である彼の痕跡も、島を探索しているうちに見つかったものだしな。

「なんとかして先に進みたいものだな」
「危険地帯というわけではないので、時間をかければ進むこと自体は可能です。昨日は時間と適した装備がなかったので引き返しましたが……今日はイケます」

 冷静に分析し、最後に頼もしい言葉をくれたブリッツ。
 後ろで聞いていた他の三人も、「任せてくれ!」と言わんばかりに自信溢れる表情をしていた。
 新しい場所への挑戦……本格的に取り組むのは明日からになりそうなので、とりあえず近場から少しずつ状況を把握するために分散して見て回ろう。
 今後の行動が決まったので、テントの外に出る――
 と、視界に入ったのはイムが空をジッと見つめているところであった。
 そういえば、昨日も似たような状況になっていたな。

「イム? 何かあったのか?」
「先生……空が変なような気がする」
「空が?」

 何やら上空に異変を感じたというイム。
 確認するために俺も見上げてみたが……朝と変わらず、雲ひとつない晴天という印象以外には、別段変わった様子は見受けられない。

「どうしてそう思うんだ?」
「わ、分からないけど……」

 感覚的なものというわけか。
 これはイムの父親であるセルジさんに話を持っていった方がいいかもしれないな。何か知っているのかもしれないし。
 イムの様子は変でパトリシアも心配していた。テントで休息を取ったらどうかと提案するも、体調面に異常はないらしい。
 ただ、おかしいと感じたらすぐに知らせるように条件をつけておいた。

「イムさん、気分が悪くなったらすぐに教えてくださいよ」
「うん。その時はお願いね、パトリシア」
「もちろんです!」

 仲睦なかむつまじいふたりのやりとりを眺めつつ、俺たちは周辺の調査へと向かうのだった。


 †


 そしてその後、集めた情報を持ち寄りテントで話し合う。
 入念な調査の結果、いくつか新規ルートになり得そうな場所を発見。
 さらに地図と照らし合わせてみたら、意外な事実が明らかとなった。

「うん? もしかして……農場の北側から回っていけば、湿原を通らずにこちら側へ来られるんじゃないか?」

 湿原地帯を無事に通り抜けられたのは黄金世代やイムがいたから。
 もしあそこへ別の人間が少数で入り込んだら、モンスターに襲われるかもしれない。
 この先にも拠点地を作るとなったら物資を送るための安全なルートが必要になってくるが、農場側からの道がそれにもっとも適している。
 ただ、こちらもまだ直接確認したわけではないので、今後の調査対象となってくるだろう。

「農業用水の件も含め、明日はこちらへ向かって進むとするか」
「ならば、あの草木が生い茂る森を突破する必要がありますね」
「だな」

 今日の下調べにより、俺たちの想定を遥かに超える大規模な森であるというのが新たに発覚した。これまで野外鍛錬の一環としてさまざまな森へ足を運んだ俺と黄金世代の四人だが、さすがにこれは経験がない。
 あの大河にしろ、この森にしろ、ついにラウシュ島がその本領を発揮してきたと見ていいだろうな。
 手つかずの大自然はダンジョンのトラップよりずっと厄介だし脅威だと、改めて思い知らされるよ。
 明日の行動が決まると、俺たちはテントから出て夕食をいただく。
 発光石が埋め込まれたランプの淡い光と、焚火たきびによって生まれた力強い光――ふたつの光に照らされながら、いつもの調子で明るく楽しいディナーが始まる。
 心配していたイムの体調だが、本人は至って健康そのものだった。昼間に感じた変な感じも今はしないという。
 元気な笑顔でおかわりをしている姿を見る限り、病気のたぐいというわけじゃなさそうだけど……気にはなるな。
 とりあえず、経過を注視しつつ現状維持で大丈夫そうか。

「先生、おかわりはいかがですか?」
「いただくよ。ありがとう、エリーゼ」
「いえいえ」

 辛気しんき臭い思考はここまでにしよう。明日は大移動になるからな。
 今日は早く休んで備えるとするか



 第4話 未知の領域


 翌朝。
 本日は多少雲があるものの、天候自体は晴れ。気温は昨日よりちょっと暑いかな。
 朝食を終えてテントを片づけてから、近くにある丘へと移動し、そこから改めて周囲を見回してみる。

「うーん……これは思っていた以上に広いな」

 島の大きさについては、船から見た島の大きさや地図による情報を総合して、大体の見当をつけていたのだが……見通しが甘かったようだ。
 マリン船長から譲り受けた船を使って、島の反対側から上陸して調査するのはもうちょっと後にしようかと思っていたが、この調子だとその時期を早める必要が出てきたな。
 そう思わせる最大の要因は、視界の先に広がる深い森林にあった。
 一面が濃緑で埋め尽くされており、先の方が見えないほどだ。
 具体的にどれほどの大きさなのか……皆目かいもく見当もつかないな。
 ジャクリーヌの探知魔法があるため、遭難の危険性は皆無なのでまだ安心だが……魔法を知らない島民たちでは一度迷うと二度と外へは出られないだろう。
 彼らが足を踏み入れるのをためらう理由がよく分かる。生きて帰ることはできそうにないからな。

「どれほど続いているのでしょうか、この森は」

 すぐ横に立つブリッツも、不安げにそう漏らす。

「ここまで広大だと、まったく読めないな」
「湿原の前に中継地点を用意しましたが、この辺りにも用意しておく必要がありそうですね」
「あぁ……港の整備が終わって、周辺の安全を確保できたら、近いうちにターナーを呼んで相談してみるか」

 パトリシアの言うように、この辺りに第三拠点を構え、運用していった方がよさそうだ。

「では、探知魔法で森の様子を探ってみますわ。パトリシアさん、お手伝いしてくださるかしら」
「お任せください!」
「頼むよ、ジャクリーヌ、それにパトリシア」

 森の中に危険がないかどうか、うちの優秀な魔法使いコンビが早速さっそくその腕を披露してくれるようだ。ここにルチアも加われば完璧なのだが、彼女にはカークたちとともに農場開拓という大事な任務があるからな。

「ふぅむ……」

 キリッとした表情で森を見つめるジャクリーヌ。
 彼女はもともと運動神経に難があり、かつ本人が汗をかくことを嫌うので格闘系の鍛錬はしていなかった。
 しかし、そんなジャクリーヌの横で同じく探知魔法を発動させているパトリシアは異なる成長を遂げている。
 当初、彼女は剣士を目指して鍛錬を積んでいたが、俺としては魔法使いとしての高いセンスを評価していた。もちろん、剣士としての才能もないわけじゃない。むしろ、同学年の子たちに比べたらトップクラスだ。
 ただ、その評価を遥かに凌駕するほど、魔法使いとしてのポテンシャルは高かった。
 今後はイムが本格的に剣術の鍛錬に挑む予定なので、パトリシアにもそろそろ本格的に魔法使いとしての道を歩むよう話をしてみるか。
 きっと、立派な大魔導士だいまどうしとなって国を導いてくれるだろう。
 それがこのエストラーダなのか、はたまたまったく違う国なのか……
 それは成長した彼女が決めることだ。まだ幼さが残るとはいえ、顔立ちは文句なく美人だし、成長したらさらに美しい女性となる――となれば、きっと求婚してくれる貴族も多いだろうし、その頃の出会いによって変わりそうだな。
 もし島を出たいというなら、引き留めるつもりはない。
 過去につらい体験をしている分、パトリシアにはパトリシアの人生を後悔なく歩んでもらいたいからな。
 しかし……そうなるとやっぱり寂しいな。

「先生、探知魔法を使った結果、森の中に不審な物やモンスターの気配はありませんでした」
「っ!」
「どうかしましたか?」
「い、いや、なんでもないよ。ジャクリーヌはどうだ?」
「こちらも同じですわ……逆に不自然ですわね」

 ジャクリーヌは眉をひそめて森を見つめる。彼女にしか分からない何かがこの森に潜んでいるというのか。

「不自然な点というのは?」
「これだけ広大な森なのに、モンスターが一匹もいないという状況そのものですわ」
「なるほど……それは言えているな」

 モンスターがいないという報告で安心をしていたが、その状況自体が不自然というジャクリーヌの着眼点はさすがだ。
 おまけにここはパジル村の人たちの手が一切加えられていない、いわば手つかずの状態となっている。
 それでもモンスターがいないという……それは果たして何を意味しているのだろうか。
 とりあえず、危険ではないと判断されたのでこのまま森へと入っていく。
 人の手が加えられていないということは、植物なども自由に生え放題――つまり、人が進みやすいように道を作っていてはくれないのだ。
 逆に言うと、これまでこの島にはパジル村の人たち以外にも誰かが住んでいる形跡がいくつか見られた。
 しかし、ここから先にはそれすら見られない。ということは、まさに真の意味で未知の領域といえた。これでこそ、調査のやりがいがあるというものだ。

「どうしましょうか、先生。わたくしの炎魔法で焼き払います?」
「島が丸裸になってしまうからその案は却下だな」

 指先に魔法で生み出した小さな炎を浮かべて、ジャクリーヌがそんな提案をする――が、即座に却下。
 調査をする上で手っ取り早いといえばそうなのだが、この素晴らしい自然環境を極力壊したくはない。
 ここで力を発揮するのがブリッツの剣術だ。

「ふん! はあ!」

 相変わらず見事な剣さばきで草木をり、道を生み出していく。
 さらに、ブリッツだけでなくパトリシアやイムも加わった。それだけでは終わらず、ジャクリーヌは風を刃のように飛ばす魔法で、ウェンデルは魔道具で切り拓いていき、最終的に俺も参加して作業速度は劇的に加速していった。
 エリーゼとクレールのふたりは直接作業に関わる手段を持たないため、エリーゼの方は得意の回復魔法で他のメンバーの疲労を回復していき、クレールの方は地図とにらめっこしながらルートを確認していく。
 それぞれが自分のやれる範囲で仕事をこなす。
 おかげで想定していたよりもずっとペースは速かった――が、ここで緊急事態が発生する。

「っ!? せ、先生! 来てください!」

 第一発見者はパトリシアで、驚きながら俺を呼ぶ。かなり焦っているようだったので、俺は急いで駆けつけた。

「どうしたんだ、パトリシア!」

 俺の後を追う形で、他のメンバーもパトリシアのもとへと急いだ。



 第5話 新発見


 パトリシアが発見したのは岩壁に開いた大きな穴だった。
 まるで俺たちを呑み込もうとしているように見えるそれはまるで――

「ダンジョンの入口か?」

 以前にも、ラウシュ島の別の場所でダンジョンを発見したが、あそこの入口とよく似ているな。
 ただ、あのダンジョンでは特にこれといった発見がなかった。
 しかし、今回はあの時と状況が違う。
 わざわざ奥深くまで探索しなくても状況を把握できるすべがあるのだ。

「――ジャクリーヌ」
「ダンジョン内部に探知魔法をかけて探ればよろしいのですね?」
「さすがだな。頼むぞ」
「お任せください」

 こちらの意図をしっかりと理解しているジャクリーヌは、早速得意の魔法でダンジョンの中を調査する。
 さっきの森でもそうだったが、魔法で分かるのはダンジョンの規模やモンスターの配置程度で、たとえばモンスターがどれほど強いのかといったような詳細な情報は分からない。
 その辺は自分の足で確認をする必要があるんだ。
 そんな探知魔法でダンジョン内の情報を探るジャクリーヌの顔は、いつもの顔つきから徐々に険しい表情へと変わっていく。

「……かなり深いですわね。ここまで深いダンジョンというのは過去に見たことがありませんわ」

 学生時代、よくみんなで課外授業と称してダンジョンに潜っていたジャクリーヌ。
 そんな彼女でも過去に経験がないほどの大きさとは……
 これは、全容を掴むのにはかなりの時間を要するだろうな。

「オーリン先生……このダンジョンは一筋縄ではいきそうにありませんね」
「ブリッツもそう思うか?」
「はい。なので、専門家を派遣してもらった方がいいかもしれませんね」

 ジャクリーヌからの情報を分析したブリッツが、そう告げる。

「俺もそれは考えていた。まもなく、拠点となる村が完成するから、それに合わせて有力な冒険者をこの島に派遣してもらえないかグローバーに相談してみよう」

 ダンジョンへは何度か挑戦してきたが、それはあくまでも教育の一環。
 あそこで得られるアイテムを売って生計を立てている本職の冒険者たちでしか知り得ない知識もあるだろうし、そのように提案してみようと思う。
 それと、もうひとつ考えている案があった。

「冒険者たちが寝泊まりできるような、小規模の村をここへ作るのもいいな」

 近くには小川があり、見晴らしのいい丘もある。
 昨日見つけたあの大河からは距離もあるため、水害の影響も出ないだろう。実現できるかどうかはさておき、環境としては大変望ましいものが揃っていると評価していいだろう。
 あとは肝心の冒険者だが……果たしてどれだけ集まるか。
 小国であるエストラーダで活動している冒険者のレベルで、このダンジョンを突破できるのかは分からない。
 あのジャクリーヌが引くくらい大きなダンジョンだからな。やはり実績のある人物やパーティーでなければ務まらないだろう。

「あの、先生」

 冒険者をどうやって集めようか悩んでいると、ウェンデルが声をあげる。

「どうかしたか、ウェンデル」
「いや、その……あくまでも僕個人の意見なのですけど……『彼』に頼んでみてはどうでしょう?」
「「「っ!?」」」

 ウェンデルの言う『彼』――それが誰なのか瞬時に悟った黄金世代の面々は一様に驚いた表情を浮かべる。

「僕はギアディスで冒険者を相手にする商売をしていたましたから、その手の話をよく聞いていたんです。かなり凄腕の冒険者になったみたいですよ」
「『彼』の噂でしたら、わたくしの耳にも届いていますわ」
「私も、教会に来る方から話を聞いたことが……」
「俺も任務でダンジョンを訪れた際にあいつの名前を聞いたな」

 ともに学んだ黄金世代の四人は、卒業後に『彼』の噂話を耳にしていたらしい。
 かく言う俺も、当時の同僚から情報を得ていた。
 学園を中退した『彼』は、己の実力だけで飯を食っていこうと冒険者になり、成功をおさめた、と。
 ……しかし、まさかここでそう来るとは思わなかった。
 とはいえ、現状を振り返ってみればまったくない話ではないか。
 有名な冒険者になったのなら、協力を要請してみてはというウェンデルの提案は採用すべきだろう。
 問題はその『彼』が応じてくれるかどうか……いや、それ以前に今どこで何をしているのかさえ分からないんだった。
 俺と黄金世代の四人が神妙な面持ちになる中、まったく事情を呑み込めていないパトリシアとイムとクレールはポカンとしていた。

「あ、あの、先生に先輩方、一体どうされたんですか?」
「その『彼』というのは誰なのでしょう?」
「強い人なの?」

 事情を知らないパトリシアやイムたちは困り顔。
 ……そりゃそうだろうな。
 ここはきちんと説明すべきだろう。

「三人とも、よく聞いてくれ。ウェンデルが言った『彼』というのは――黄金世代の《まぼろしの五人目》と呼ばれた男だ」
「えっ!? 黄金世代ってブリッツ先輩たち四人だけじゃないんですか!?」

 他のふたりは「ブリッツたちと同じくらいの実力者が他にもいるんだ」というような反応だが、同じ学園出身のパトリシアは驚愕きょうがくの表情を浮かべる。
 そうか……『彼』が学園を去ったのは、パトリシアが入学してくるよりも前だったな。これもいい機会だから、三人にも話しておこう。
 これ以上の調査はいったん取りやめ、中継地点にある屋敷へと移動。
 そこで、『彼』についての詳しい話をする流れとなった。



 第6話 五人目の黄金世代


 屋敷に到着すると、すぐにクレールがお茶の準備に取りかかってくれる。
 俺たちは荷物をおろし、体を伸ばしたりストレッチをしたりとそれぞれ思い思いに過ごしていた。
 それから間もなくしてクレールがお茶を淹れ終えて戻ってくる。全員揃ったのを確認してから、俺は自分の記憶を掘り起こしながら語り始めた。
 あれはもう何年前の話になるか……


しおりを挟む
表紙へ
感想 59

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

「お前は無能だ」と追放した勇者パーティ、俺が抜けた3秒後に全滅したらしい

夏見ナイ
ファンタジー
【荷物持ち】のアッシュは、勇者パーティで「無能」と罵られ、ダンジョン攻略の直前に追放されてしまう。だが彼がいなくなった3秒後、勇者パーティは罠と奇襲で一瞬にして全滅した。 彼らは知らなかったのだ。アッシュのスキル【運命肩代わり】が、パーティに降りかかる全ての不運や即死攻撃を、彼の些細なドジに変換して無効化していたことを。 そんなこととは露知らず、念願の自由を手にしたアッシュは辺境の村で穏やかなスローライフを開始。心優しいエルフやドワーフの仲間にも恵まれ、幸せな日々を送る。 しかし、勇者を失った王国に魔族と内通する宰相の陰謀が迫る。大切な居場所を守るため、無能と蔑まれた男は、その規格外の“幸運”で理不尽な運命に立ち向かう!

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

この聖水、泥の味がする ~まずいと追放された俺の作るポーションが、実は神々も欲しがる奇跡の霊薬だった件~

夏見ナイ
ファンタジー
「泥水神官」と蔑まれる下級神官ルーク。彼が作る聖水はなぜか茶色く濁り、ひどい泥の味がした。そのせいで無能扱いされ、ある日、無実の罪で神殿から追放されてしまう。 全てを失い流れ着いた辺境の村で、彼は自らの聖水が持つ真の力に気づく。それは浄化ではなく、あらゆる傷や病、呪いすら癒す奇跡の【創生】の力だった! ルークは小さなポーション屋を開き、まずいけどすごい聖水で村人たちを救っていく。その噂は広まり、呪われた女騎士やエルフの薬師など、訳ありな仲間たちが次々と集結。辺境の村はいつしか「癒しの郷」へと発展していく。 一方、ルークを追放した王都では聖女が謎の病に倒れ……。 落ちこぼれ神官の、痛快な逆転スローライフ、ここに開幕!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。