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1巻
1-2
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◇ ◆ ◇ ◆ ◇
仕事場であるダンジョン近くの山道にて。
「腹が減ったなぁ……主よ。我は肉を所望する」
「そこら辺にトカゲがいるだろ。好きなだけ食え」
「……いい加減、まともな肉を味わいたいものだ」
「だからって家畜を襲うなよ。怒られるのは俺なんだから」
「そんな心配をするくらいなら肉をくれ。肉はすべてを解決する」
文句を垂れている相棒――白狼という狼型魔獣のシロンを連れて、俺はダンジョンからの帰り道を歩いていた。
……あの事件から十三年。
今日もしがない冒険者としての仕事は無事終了した。
ちなみに、本日の仕事は魔鉱石の採集クエストだ。
俺は相変わらず、戦うことが好きじゃない。最奥部まで足を運んで強い魔獣を倒し、大金に替えられるお宝をゲットするより、ダンジョンの入口付近で採取できる魔鉱石を売りさばいて小金を得る方が性に合っている。
最奥部とまではいかなくとも、戦闘特化タイプの魔獣をテイムして連れているのだから、彼らに戦闘を任せてもっと稼げるクエストに手を出してもいいのだが……まあ、平和が一番だよ。戦わないならそれが一番いい。
正直、こうした採集クエストはあまり稼げないのだが、男一人で暮らしていくには事足りる。
「うまい肉を食わねば仕事に支障をきたすぞ」
「そうは言うが、うまい肉は高い。そしてうちには金がない。これで謎はすべて解けたな」
至極単純な理論だが、シロンは腑に落ちていない様子。
「ならばもっと高収入のクエストに挑めばいいものを……」
「危険を伴う仕事はなるべく避けたいんだよ。まあ、日々少しずつ貯金をして、たまにうまい肉を食うくらいで勘弁してくれ」
「まったく……心遣いは嬉しいが、その程度の小銭稼ぎで満足してよいのか? 主のテイマーとしての資質があれば、もっと上を目指せるというのに……我は悲しいぞ、主よ」
そこまで評価してもらえるのは素直にありがたい。
けど、もう出世とかそういうのはどうでもいいっていうのが本音なんだよなぁ。
「飯が食えているんだから、それでいいだろ? 贅沢こそ最大の敵だ」
「そんなことだから、いつまで経っても嫁が来ないのだぞ」
「うるせぇ。余計なお世話だ」
しかし、最近シロンの小言がうるさい。
おまえは俺の母親かってくらいに。
まあ、一応性別は雌になるからな。出産の経験はないが、本能的に母親的な振る舞いをしてしまうのだろう。
「いや、ちょうどいい機会だ。今日はトコトン言わせてもらおう。主はそろそろ身を固めるべきだ。いつまでもだらしない生活をしていては長く生きられんぞ? 早く結婚して子どもを作れ。そして我にお守りをさせてくれ」
「さてはそれが本心だな……」
俺は今年で三十五歳になる。
年齢的にも子どもの一人や二人がいてもおかしくはないのだが……どうにもそういった話とは縁遠く、嫁どころか恋人もいない有り様だ。
別に、どうしても結婚したいってわけじゃないし、一人の方が稼ぎを気にしなくていいから楽なんだが……ここ最近はそのことをやたらシロンにいじられる。
それでも、俺は今の生活に不満なんてない。
定住していないので、寒くなれば南に行くし、暑くなれば北に行く。
お世辞にも豊かとは言えないが、毎日を気楽に過ごせて楽しい。
パートナーのシロンもいるしな。
――っと、そういえばパートナーはシロンだけじゃなかったな。
「旦那ぁ!」
ドスドスドス、と重量感のある足音を立てて近づいてくるのは、シロンと同じく俺の相棒であるリザードマンのクロスだ。
二メートルを軽く超える巨体とその厳つい見た目で怖がられることも多いが、根は優しくてお調子者の楽しいヤツだ。
「あん? なんだよ、シロン。辛気臭い顔してるな」
「腹が減っているのだ」
「そうかよ。その辺にいるトカゲでも食いな」
「……ここにもデカいトカゲがいたな。しかし、死ぬほどまずそうだ」
「なんだと! てめぇをこの場でおやつにしてやろうか、四足歩行!」
「やれるものならやってみろ、二足歩行!」
「やめんか、暑苦しい……それで?」
俺は二体をたしなめると、クロスの方へ向き直る。
クロスは、ギルドへ使いとして送り込み、そのまま俺たちが戻ってくるまで待機しているよう命じてあったのだが、それをあっさり破ってここへやってきた。
……ただ、クロスはいい加減なところはあるものの、俺の言いつけを破ることはこれまでに一度もなかった。
ゆえに、俺はクロスがここまでやってきた理由に興味を持ったのだ。
「クロス、俺に伝えたいことがあるんだろう?」
「そうなんすよ! ヤバいっすよ、旦那!」
「何がどうヤバいのか、詳しく話してくれ」
たまにあるのだが、あまりにも興奮しすぎていて何を話しているかよく分からなくなる……それが、クロスの悪いところだ。
――で、ようやく落ち着いたようなので改めて話を聞くことに。
「ギルドによそ者が来たんすけどね……こいつがなんと――バーツの旦那を捜しているみたいなんすよ」
「俺を? 同名の別人じゃないのか?」
「バーツ・フィリオンってフルネームを言っていたから間違いないですぜ!」
バカな。あり得ない。
ただのしがない三流冒険者である俺を捜しに、人が来ているなんて。
古い知人なのかと記憶をたどるが、わざわざ俺を訪ねてくるような間柄の人物に心当たりはない……言っていてちょっと悲しくなってきた。
ともかく、そういった事情からちょっとキナ臭さを感じた。
「主よ、心当たりは?」
「……ない」
「だろうなぁ。孤独を愛する三十代独身冒険者の旦那に、あんな若くて美人な知り合いがいるなんて思えねぇしよ」
「余計なお世話だ」
相変わらずひと言多いな、クロスは。
だが、さらによく分からない情報が付け足された。
若くて美人だって?
ますますあり得ない話だ。
百歩譲って同業の冒険者とかならまだ可能性もあるのだが、女性とはそもそも、というか最近女性と会話したのって――いつだ?
同業の冒険者、ギルドの受付、食堂の店員とか、その程度だぞ?
あと、それも会話っていうよりは業務上のやりとりだけだ。
……どうにも、今日はネガティブな思考ばかり出てくるな。
ともかく、俺にやましいことはないので、ギルドへ行ってみるとするか。
大体、今日の報酬をもらわなくちゃ晩飯にもありつけないわけだし。
シロンとクロスを引き連れて謎の女性の正体を考えながら歩いていたら、俺たちが冒険者稼業の拠点としている町――ラウディへとたどり着く。
大きな町ではなく、どちらかという小さい部類に入る。ダンジョン探索に来た冒険者を相手にすることで収入を得ている店舗がほとんどだ。
当然、ギルドもあるが……大都市のギルドに比べたらかなり小さい。
それこそ、王都と比べたら半分以下の、せいぜいが王都の宿屋以下の規模だが、俺たち冒険者にとっては大事な収入源となる場所だ。
そこに、俺を捜している美人がいる。
普通ならちょっと浮かれた展開を期待するが、これまで女性とろくに付き合ってこなかった俺は、どうにも不気味に感じて仕方がなかった。
いろんな感情が渦巻く中、俺たちがギルドへと足を踏み入れると――そこには異様な光景が広がっていた。
まず、静かなんだよ。
ギルドの建物に入ってすぐに、カウンターとかがある広間があるんだが、人は結構いるのに、まるで時が止まっているんじゃないかと錯覚してしまうくらいだった。
原因は恐らく……広間のちょうど中央部に立つ一人の女性と、その女性のすぐ近くにいる甲冑を着込んだ大柄な者だろう。
二人のうち女性の方は、俺に背を向けた状態で、甲冑の方も顔が隠れていて見えない。
恐らく、あの女性がクロスの言っていた美人だ。
――なるほど。
確かに、背を向けられているため顔は見えないが、間違いなく美人だ。赤い髪のポニーテールからのぞく美しいうなじのラインを見ただけでそれが分かる。
その横にいる甲冑の方は体格的に男――彼氏か?
……いや、彼氏じゃない。
というか、あれは「人間」じゃない。
テイマーだからこそ、まとっている気配でそれが察せられる。
「……主よ」
「ああ、間違いない」
シロンは感じ取ったようだな。
あの子は――俺と同じ。
魔獣使いのテイマーだ。
それも、かなりの使い手みたいだな。
どうもあの甲冑がパートナーらしいが……見たことのない魔獣だ。
ジッと魔獣を見つめていたら、女性がこちらの視線に気づいたらしく振り返り、俺とバッチリ目が合う。
正面から顔を見ると、思っていたよりずっと若い。
十代後半か、二十代前半くらいか。
そんな感想を抱いた次の瞬間――
「っ!?」
女性の顔がボッと赤くなる。
髪色と同じくらい真っ赤だ。
「……うん?」
そんな女性の顔を見ていると――なんだか見覚えがある気がしてきた。
おそらく相当昔だが……どこかで会っている気がする。
詳しく話を聞くため声をかけようとしたのだが、それよりも先に、女性が物凄い速さでこちらへ近づいてくる。
そして、俺の前まで来るといきなり跪いた。
突然の行動にギルド内は騒然となる。
当然、目の前で予想外の行動を取られた俺やシロン、クロスもビックリしすぎて言葉さえ出ない状況であった。
そんな周囲の様子を一切気にせず顔を上げた女性は、俺に満面の笑みを向けて叫んだ。
「お久しぶりです、バーツ師匠!」
「……は?」
えっ?
師匠?
俺が?
……それはあり得ない。
俺はしがない三流の冒険者だ。弟子なんて取るはずがないし、そもそもこんな俺に弟子入りを志願する酔狂な者などいるはずがないのだ。同じテイマー職を目指すにしたって、俺より優秀なヤツはごまんといるわけだし。
だが、彼女の瞳は真剣そのもの。
何の疑いも抱かず、俺を信じているかのような眼差しを向けている。
「ずっと……ずっと捜していたんですよ……?」
「い、いや、君は――」
「セラノス王都にある施設に私たちを預けてから姿を消して……本当に悲しかったんですから」
「セ、セラノス……?」
王都?
施設?
――待てよ。
「あっ」
フッと記憶が湧き上がってくる。
弟子は取っていないが、テイマーとしての心得を教えた子どもが何人かいる。
思い出した……彼女はそのうちの一人だ。
間違いない。
おぼろげな記憶を必死にたどってみれば、わずかだが面影が残っていた。
あの赤い髪にちょっとだけ吊り上がった気の強そうな目元……会うたびに「将来は師匠のようなテイマーになります! あと、剣術が得意なので騎士にもなります! そしてお嫁さんにしてください!」と欲張りな宣言をしていた彼女の名前は――
「もしかして……ノエリーか?」
「っ!? 思い出してくださいましたか!」
「あ、ああ……」
名前を口にしただけなのに凄い食いつきっぷりだな。
それにしてもノエリーか……懐かしいな。
あの教会で、エヴェリンが人質にとったあの女の子だ。恐怖に泣きじゃくっていたあの子がこんな立派に成長するなんてなぁ。
「十三年ぶりでしたから、忘れられているのではないかと心配していましたよ! あっ! 私は恩師である師匠の顔を忘れたことなんて、一度たりともなかったですけどね!」
「そ、そうなのか。そいつは光栄だ」
正直、忘れかけてはいた。だって、まさか大人になって訪ねてくれるなんて夢にも思わなかったから。しかも、こっちの居所は伝えていなかったし。
……まあ、ここは本人が嬉しそうにしているから野暮なことは言わないでおこう。
正直、俺としてもいつかこうなる日が来るんじゃないかって期待をしていたところもある。
でもまあ、きっと時が経つにつれて忘れてしまうだろうなって思っていたが……まさか本当に訪ねてきてくれるなんてな。
とりあえず、立ってもらってから何か話題を振ってみるか。
「そうかしこまらないで立ってくれよ。それにしても懐かしいなぁ。今は何をしているんだ?」
「セラノス王国の騎士団で聖騎士やってます!」
「そうか。聖騎士か――聖騎士!?」
思わず叫んだ。
確かにあの施設からは、騎士団や魔法兵団に属する子も出ている実績があった。
だが、まさか聖騎士になっていたとは。
聖騎士というのは、千人以上いるといわれる王国騎士たちの中でもほんのひと握りしかいない、超エリート中のエリート。相当の実力がなければ与えられない地位だ。
それだけでも十分凄いのだが、二十代女性で聖騎士なんて史上初なんじゃないか?
聖騎士のイメージといえば、俺より少し年上で白髪交じりのおっさんだからな。
にわかには信じられない話ではあるが、ふと彼女が着ている制服の左胸に目がいく。
そこには煌めく十以上の勲章が……まさか、本当に聖騎士なのか?
「何を驚いているんですか?」
「い、いや、別に……でも、よかったよ。元気そうで。おまけに聖騎士なんて凄い立場にいるとは」
「そんな……私なんてまだまだですよ」
謙遜しているが、本当に凄いことなのだ。
しかし、そんな偉い立場のノエリーがなぜ、自ら俺のもとを訪ねてきたんだ?
積もる話もあるので、とりあえず場所を変えようと提案することにした。未だにギルド内は騒然としており、落ち着いて話せる環境じゃないしな。
「ノエリー、場所を変えないか?」
「いいですよ。どこにします?」
「近くに馴染みの食堂があってな」
「それは楽しみです!」
目を輝かせながら距離を詰めてくるノエリー。
……そうだ。
この子は昔からそうだった。
人懐っこいというか、好奇心旺盛というか……よく俺の膝の上に乗っかっていたのを思い出したよ。
ともかく、そんなノエリーが俺のもとへとやってきた理由を知るため、ひとまずギルドを出ようとしたのだが……彼女の関心は俺の連れているパートナー魔獣へと移っていた。
そういえば、あまりにも唐突な展開だったため、シロンとクロスにはこの子の正体を教えていなかったな。
まあ、会話でなんとなく誰なのかは察したようだが……俺の過去の話とか伝えていなかったので、混乱しているみたいだ。
「この子たちが師匠の新しいパートナーなんですね!」
シロンとクロスに抱きつき、無邪気にはしゃぐノエリー。
しばし呆気に取られていた二体だが、敵意はないというのが分かると、警戒心を解いて話しかける。
「まさか、我が主に女性の弟子がいたとは……」
「おまけに美人ときている! 驚いたなぁ、ホント」
「美人だなんてそんな――って、よく考えたらどうして人間の言葉を話せるんですか!?」
「それは主の言語魔法のおかげだ」
ノエリーの言うように、普通の魔獣は人間の言葉を喋れない。しかし俺は魔法使いから教わった言語魔法をシロンとクロスにかけることで、二体を喋れるようにしているのだ。
「魔法まで使えるなんて……さすがは師匠!」
俺を差し置いて盛り上がる一人と二体の魔獣――とは言うものの、この場合は寂しさよりも嬉しさの方が勝っているかな。
おっと、そうだった。
店へと向かう前に、こっちの子についても説明を求めておこうか。
「なあ、ノエリー」
「はい?」
「そっちの魔獣は君のパートナーか?」
「あっ、そうなんです! まだ紹介していませんでしたね!」
ノエリーは気軽に魔獣の体をバシバシと叩く。
体の大きさはクロスに匹敵するが、特徴としてはその体そのものか。これは正確には甲冑ではなく、それを彷彿とさせるような、全身銀色の金属ボディなのだ。物理か魔法か問わず、あらゆる攻撃を撥ね返しそうな頑強さがうかがえる。
本物は初めて見るが……噂くらいは耳にしたことがあるぞ。
これはSランク魔獣の鋼鉄魔人だ。
魔獣は強さや希少性によってランク分けされており、通常は上からA、B、C、D、Eと分類されるのだが、その中でも特に強力だったり珍しかったりする魔獣は、Sランクとされている。
つまり、そう簡単にテイムできる魔獣じゃないはずなのだが……それをあの若さでテイムしたっていうのか?
Sランク魔獣をパートナーとして連れているとなれば、そりゃあ騎士団の中で有望視されるはずだ。
というか、本当はこんな辺境の町に自ら足を運んでくるような立場じゃないのでは?
「師匠? どうかしましたか?」
「っ! あ、い、いや、なんでもない。それよりそろそろギルドを出ようか」
「そうでした!」
シロンやクロスとのじゃれ合いに夢中になっていたからもしかしてと思ったが……やはり、話すことを忘れていたか。
そういえば、幼い頃のノエリーにもそんな一面があった。
何か夢中になることがあると、それ以外のことが抜けてしまうのだ。
当時は教えていたメンバーの中では最年少だからと思っていたが、もともとこういう性格をしているらしい。そういうところは聖騎士っぽくないな。
もっと彼女のことを知りたい。
それにできれば、預けていった他の七人についての近況も聞きたい。
大出世したかつての弟子と一緒に、俺はギルドをあとにした。
仕事場であるダンジョン近くの山道にて。
「腹が減ったなぁ……主よ。我は肉を所望する」
「そこら辺にトカゲがいるだろ。好きなだけ食え」
「……いい加減、まともな肉を味わいたいものだ」
「だからって家畜を襲うなよ。怒られるのは俺なんだから」
「そんな心配をするくらいなら肉をくれ。肉はすべてを解決する」
文句を垂れている相棒――白狼という狼型魔獣のシロンを連れて、俺はダンジョンからの帰り道を歩いていた。
……あの事件から十三年。
今日もしがない冒険者としての仕事は無事終了した。
ちなみに、本日の仕事は魔鉱石の採集クエストだ。
俺は相変わらず、戦うことが好きじゃない。最奥部まで足を運んで強い魔獣を倒し、大金に替えられるお宝をゲットするより、ダンジョンの入口付近で採取できる魔鉱石を売りさばいて小金を得る方が性に合っている。
最奥部とまではいかなくとも、戦闘特化タイプの魔獣をテイムして連れているのだから、彼らに戦闘を任せてもっと稼げるクエストに手を出してもいいのだが……まあ、平和が一番だよ。戦わないならそれが一番いい。
正直、こうした採集クエストはあまり稼げないのだが、男一人で暮らしていくには事足りる。
「うまい肉を食わねば仕事に支障をきたすぞ」
「そうは言うが、うまい肉は高い。そしてうちには金がない。これで謎はすべて解けたな」
至極単純な理論だが、シロンは腑に落ちていない様子。
「ならばもっと高収入のクエストに挑めばいいものを……」
「危険を伴う仕事はなるべく避けたいんだよ。まあ、日々少しずつ貯金をして、たまにうまい肉を食うくらいで勘弁してくれ」
「まったく……心遣いは嬉しいが、その程度の小銭稼ぎで満足してよいのか? 主のテイマーとしての資質があれば、もっと上を目指せるというのに……我は悲しいぞ、主よ」
そこまで評価してもらえるのは素直にありがたい。
けど、もう出世とかそういうのはどうでもいいっていうのが本音なんだよなぁ。
「飯が食えているんだから、それでいいだろ? 贅沢こそ最大の敵だ」
「そんなことだから、いつまで経っても嫁が来ないのだぞ」
「うるせぇ。余計なお世話だ」
しかし、最近シロンの小言がうるさい。
おまえは俺の母親かってくらいに。
まあ、一応性別は雌になるからな。出産の経験はないが、本能的に母親的な振る舞いをしてしまうのだろう。
「いや、ちょうどいい機会だ。今日はトコトン言わせてもらおう。主はそろそろ身を固めるべきだ。いつまでもだらしない生活をしていては長く生きられんぞ? 早く結婚して子どもを作れ。そして我にお守りをさせてくれ」
「さてはそれが本心だな……」
俺は今年で三十五歳になる。
年齢的にも子どもの一人や二人がいてもおかしくはないのだが……どうにもそういった話とは縁遠く、嫁どころか恋人もいない有り様だ。
別に、どうしても結婚したいってわけじゃないし、一人の方が稼ぎを気にしなくていいから楽なんだが……ここ最近はそのことをやたらシロンにいじられる。
それでも、俺は今の生活に不満なんてない。
定住していないので、寒くなれば南に行くし、暑くなれば北に行く。
お世辞にも豊かとは言えないが、毎日を気楽に過ごせて楽しい。
パートナーのシロンもいるしな。
――っと、そういえばパートナーはシロンだけじゃなかったな。
「旦那ぁ!」
ドスドスドス、と重量感のある足音を立てて近づいてくるのは、シロンと同じく俺の相棒であるリザードマンのクロスだ。
二メートルを軽く超える巨体とその厳つい見た目で怖がられることも多いが、根は優しくてお調子者の楽しいヤツだ。
「あん? なんだよ、シロン。辛気臭い顔してるな」
「腹が減っているのだ」
「そうかよ。その辺にいるトカゲでも食いな」
「……ここにもデカいトカゲがいたな。しかし、死ぬほどまずそうだ」
「なんだと! てめぇをこの場でおやつにしてやろうか、四足歩行!」
「やれるものならやってみろ、二足歩行!」
「やめんか、暑苦しい……それで?」
俺は二体をたしなめると、クロスの方へ向き直る。
クロスは、ギルドへ使いとして送り込み、そのまま俺たちが戻ってくるまで待機しているよう命じてあったのだが、それをあっさり破ってここへやってきた。
……ただ、クロスはいい加減なところはあるものの、俺の言いつけを破ることはこれまでに一度もなかった。
ゆえに、俺はクロスがここまでやってきた理由に興味を持ったのだ。
「クロス、俺に伝えたいことがあるんだろう?」
「そうなんすよ! ヤバいっすよ、旦那!」
「何がどうヤバいのか、詳しく話してくれ」
たまにあるのだが、あまりにも興奮しすぎていて何を話しているかよく分からなくなる……それが、クロスの悪いところだ。
――で、ようやく落ち着いたようなので改めて話を聞くことに。
「ギルドによそ者が来たんすけどね……こいつがなんと――バーツの旦那を捜しているみたいなんすよ」
「俺を? 同名の別人じゃないのか?」
「バーツ・フィリオンってフルネームを言っていたから間違いないですぜ!」
バカな。あり得ない。
ただのしがない三流冒険者である俺を捜しに、人が来ているなんて。
古い知人なのかと記憶をたどるが、わざわざ俺を訪ねてくるような間柄の人物に心当たりはない……言っていてちょっと悲しくなってきた。
ともかく、そういった事情からちょっとキナ臭さを感じた。
「主よ、心当たりは?」
「……ない」
「だろうなぁ。孤独を愛する三十代独身冒険者の旦那に、あんな若くて美人な知り合いがいるなんて思えねぇしよ」
「余計なお世話だ」
相変わらずひと言多いな、クロスは。
だが、さらによく分からない情報が付け足された。
若くて美人だって?
ますますあり得ない話だ。
百歩譲って同業の冒険者とかならまだ可能性もあるのだが、女性とはそもそも、というか最近女性と会話したのって――いつだ?
同業の冒険者、ギルドの受付、食堂の店員とか、その程度だぞ?
あと、それも会話っていうよりは業務上のやりとりだけだ。
……どうにも、今日はネガティブな思考ばかり出てくるな。
ともかく、俺にやましいことはないので、ギルドへ行ってみるとするか。
大体、今日の報酬をもらわなくちゃ晩飯にもありつけないわけだし。
シロンとクロスを引き連れて謎の女性の正体を考えながら歩いていたら、俺たちが冒険者稼業の拠点としている町――ラウディへとたどり着く。
大きな町ではなく、どちらかという小さい部類に入る。ダンジョン探索に来た冒険者を相手にすることで収入を得ている店舗がほとんどだ。
当然、ギルドもあるが……大都市のギルドに比べたらかなり小さい。
それこそ、王都と比べたら半分以下の、せいぜいが王都の宿屋以下の規模だが、俺たち冒険者にとっては大事な収入源となる場所だ。
そこに、俺を捜している美人がいる。
普通ならちょっと浮かれた展開を期待するが、これまで女性とろくに付き合ってこなかった俺は、どうにも不気味に感じて仕方がなかった。
いろんな感情が渦巻く中、俺たちがギルドへと足を踏み入れると――そこには異様な光景が広がっていた。
まず、静かなんだよ。
ギルドの建物に入ってすぐに、カウンターとかがある広間があるんだが、人は結構いるのに、まるで時が止まっているんじゃないかと錯覚してしまうくらいだった。
原因は恐らく……広間のちょうど中央部に立つ一人の女性と、その女性のすぐ近くにいる甲冑を着込んだ大柄な者だろう。
二人のうち女性の方は、俺に背を向けた状態で、甲冑の方も顔が隠れていて見えない。
恐らく、あの女性がクロスの言っていた美人だ。
――なるほど。
確かに、背を向けられているため顔は見えないが、間違いなく美人だ。赤い髪のポニーテールからのぞく美しいうなじのラインを見ただけでそれが分かる。
その横にいる甲冑の方は体格的に男――彼氏か?
……いや、彼氏じゃない。
というか、あれは「人間」じゃない。
テイマーだからこそ、まとっている気配でそれが察せられる。
「……主よ」
「ああ、間違いない」
シロンは感じ取ったようだな。
あの子は――俺と同じ。
魔獣使いのテイマーだ。
それも、かなりの使い手みたいだな。
どうもあの甲冑がパートナーらしいが……見たことのない魔獣だ。
ジッと魔獣を見つめていたら、女性がこちらの視線に気づいたらしく振り返り、俺とバッチリ目が合う。
正面から顔を見ると、思っていたよりずっと若い。
十代後半か、二十代前半くらいか。
そんな感想を抱いた次の瞬間――
「っ!?」
女性の顔がボッと赤くなる。
髪色と同じくらい真っ赤だ。
「……うん?」
そんな女性の顔を見ていると――なんだか見覚えがある気がしてきた。
おそらく相当昔だが……どこかで会っている気がする。
詳しく話を聞くため声をかけようとしたのだが、それよりも先に、女性が物凄い速さでこちらへ近づいてくる。
そして、俺の前まで来るといきなり跪いた。
突然の行動にギルド内は騒然となる。
当然、目の前で予想外の行動を取られた俺やシロン、クロスもビックリしすぎて言葉さえ出ない状況であった。
そんな周囲の様子を一切気にせず顔を上げた女性は、俺に満面の笑みを向けて叫んだ。
「お久しぶりです、バーツ師匠!」
「……は?」
えっ?
師匠?
俺が?
……それはあり得ない。
俺はしがない三流の冒険者だ。弟子なんて取るはずがないし、そもそもこんな俺に弟子入りを志願する酔狂な者などいるはずがないのだ。同じテイマー職を目指すにしたって、俺より優秀なヤツはごまんといるわけだし。
だが、彼女の瞳は真剣そのもの。
何の疑いも抱かず、俺を信じているかのような眼差しを向けている。
「ずっと……ずっと捜していたんですよ……?」
「い、いや、君は――」
「セラノス王都にある施設に私たちを預けてから姿を消して……本当に悲しかったんですから」
「セ、セラノス……?」
王都?
施設?
――待てよ。
「あっ」
フッと記憶が湧き上がってくる。
弟子は取っていないが、テイマーとしての心得を教えた子どもが何人かいる。
思い出した……彼女はそのうちの一人だ。
間違いない。
おぼろげな記憶を必死にたどってみれば、わずかだが面影が残っていた。
あの赤い髪にちょっとだけ吊り上がった気の強そうな目元……会うたびに「将来は師匠のようなテイマーになります! あと、剣術が得意なので騎士にもなります! そしてお嫁さんにしてください!」と欲張りな宣言をしていた彼女の名前は――
「もしかして……ノエリーか?」
「っ!? 思い出してくださいましたか!」
「あ、ああ……」
名前を口にしただけなのに凄い食いつきっぷりだな。
それにしてもノエリーか……懐かしいな。
あの教会で、エヴェリンが人質にとったあの女の子だ。恐怖に泣きじゃくっていたあの子がこんな立派に成長するなんてなぁ。
「十三年ぶりでしたから、忘れられているのではないかと心配していましたよ! あっ! 私は恩師である師匠の顔を忘れたことなんて、一度たりともなかったですけどね!」
「そ、そうなのか。そいつは光栄だ」
正直、忘れかけてはいた。だって、まさか大人になって訪ねてくれるなんて夢にも思わなかったから。しかも、こっちの居所は伝えていなかったし。
……まあ、ここは本人が嬉しそうにしているから野暮なことは言わないでおこう。
正直、俺としてもいつかこうなる日が来るんじゃないかって期待をしていたところもある。
でもまあ、きっと時が経つにつれて忘れてしまうだろうなって思っていたが……まさか本当に訪ねてきてくれるなんてな。
とりあえず、立ってもらってから何か話題を振ってみるか。
「そうかしこまらないで立ってくれよ。それにしても懐かしいなぁ。今は何をしているんだ?」
「セラノス王国の騎士団で聖騎士やってます!」
「そうか。聖騎士か――聖騎士!?」
思わず叫んだ。
確かにあの施設からは、騎士団や魔法兵団に属する子も出ている実績があった。
だが、まさか聖騎士になっていたとは。
聖騎士というのは、千人以上いるといわれる王国騎士たちの中でもほんのひと握りしかいない、超エリート中のエリート。相当の実力がなければ与えられない地位だ。
それだけでも十分凄いのだが、二十代女性で聖騎士なんて史上初なんじゃないか?
聖騎士のイメージといえば、俺より少し年上で白髪交じりのおっさんだからな。
にわかには信じられない話ではあるが、ふと彼女が着ている制服の左胸に目がいく。
そこには煌めく十以上の勲章が……まさか、本当に聖騎士なのか?
「何を驚いているんですか?」
「い、いや、別に……でも、よかったよ。元気そうで。おまけに聖騎士なんて凄い立場にいるとは」
「そんな……私なんてまだまだですよ」
謙遜しているが、本当に凄いことなのだ。
しかし、そんな偉い立場のノエリーがなぜ、自ら俺のもとを訪ねてきたんだ?
積もる話もあるので、とりあえず場所を変えようと提案することにした。未だにギルド内は騒然としており、落ち着いて話せる環境じゃないしな。
「ノエリー、場所を変えないか?」
「いいですよ。どこにします?」
「近くに馴染みの食堂があってな」
「それは楽しみです!」
目を輝かせながら距離を詰めてくるノエリー。
……そうだ。
この子は昔からそうだった。
人懐っこいというか、好奇心旺盛というか……よく俺の膝の上に乗っかっていたのを思い出したよ。
ともかく、そんなノエリーが俺のもとへとやってきた理由を知るため、ひとまずギルドを出ようとしたのだが……彼女の関心は俺の連れているパートナー魔獣へと移っていた。
そういえば、あまりにも唐突な展開だったため、シロンとクロスにはこの子の正体を教えていなかったな。
まあ、会話でなんとなく誰なのかは察したようだが……俺の過去の話とか伝えていなかったので、混乱しているみたいだ。
「この子たちが師匠の新しいパートナーなんですね!」
シロンとクロスに抱きつき、無邪気にはしゃぐノエリー。
しばし呆気に取られていた二体だが、敵意はないというのが分かると、警戒心を解いて話しかける。
「まさか、我が主に女性の弟子がいたとは……」
「おまけに美人ときている! 驚いたなぁ、ホント」
「美人だなんてそんな――って、よく考えたらどうして人間の言葉を話せるんですか!?」
「それは主の言語魔法のおかげだ」
ノエリーの言うように、普通の魔獣は人間の言葉を喋れない。しかし俺は魔法使いから教わった言語魔法をシロンとクロスにかけることで、二体を喋れるようにしているのだ。
「魔法まで使えるなんて……さすがは師匠!」
俺を差し置いて盛り上がる一人と二体の魔獣――とは言うものの、この場合は寂しさよりも嬉しさの方が勝っているかな。
おっと、そうだった。
店へと向かう前に、こっちの子についても説明を求めておこうか。
「なあ、ノエリー」
「はい?」
「そっちの魔獣は君のパートナーか?」
「あっ、そうなんです! まだ紹介していませんでしたね!」
ノエリーは気軽に魔獣の体をバシバシと叩く。
体の大きさはクロスに匹敵するが、特徴としてはその体そのものか。これは正確には甲冑ではなく、それを彷彿とさせるような、全身銀色の金属ボディなのだ。物理か魔法か問わず、あらゆる攻撃を撥ね返しそうな頑強さがうかがえる。
本物は初めて見るが……噂くらいは耳にしたことがあるぞ。
これはSランク魔獣の鋼鉄魔人だ。
魔獣は強さや希少性によってランク分けされており、通常は上からA、B、C、D、Eと分類されるのだが、その中でも特に強力だったり珍しかったりする魔獣は、Sランクとされている。
つまり、そう簡単にテイムできる魔獣じゃないはずなのだが……それをあの若さでテイムしたっていうのか?
Sランク魔獣をパートナーとして連れているとなれば、そりゃあ騎士団の中で有望視されるはずだ。
というか、本当はこんな辺境の町に自ら足を運んでくるような立場じゃないのでは?
「師匠? どうかしましたか?」
「っ! あ、い、いや、なんでもない。それよりそろそろギルドを出ようか」
「そうでした!」
シロンやクロスとのじゃれ合いに夢中になっていたからもしかしてと思ったが……やはり、話すことを忘れていたか。
そういえば、幼い頃のノエリーにもそんな一面があった。
何か夢中になることがあると、それ以外のことが抜けてしまうのだ。
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