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第2話座布団三枚重ね。
しおりを挟む座布団三枚の椅子に腰かけるイーサン。
その場面は、異世界の王宮とはまるで違う、
地球の柔らかさに触れる瞬間で、その姿は、
王宮の魔法使いというより、旅の途中で立ち寄った青年のようだった。
夕紀は給湯器のスイッチを押しながら、ふと考える。
異世界の人に、お風呂って通じるのかな?
「湯に浸かる文化は、君たちにもあるのか?」
イーサンは、椅子の上で足を組みながら話た。
「我が国では、月の泉に身を沈める儀式があるの
だが、君の世界の湯は香りがするな」
夕紀は笑った。
「今日は柚子の入浴剤。冬っぽいでしょ」
湯気が立ち上る頃、イーサンは浴室の扉の前に立った。
その背中に、王宮の威厳は、なかった。
ただ、異世界から来たひとりの男が、地球の生活に触れようとしていたのだ。
「ありがとう、夕紀。君の世界は、あたたかい」
その言葉に、夕紀は少しだけ胸が熱くなった。
湯気の向こうで、ふたりの距離が、ほんの少しだけ近づいていた。
ベッドは、シングルだし、あの狭い寝具に2人は駄目だ。
台所に布団引いて、私が、寝るしかないね。
部屋に戻ると、夕紀はイーサンに言った。
「そこ、座って。ちょっと硬いから、座布団三枚重ねているの」
「そうなのか、でも俺は好きだな座り心地、良いし」
結構あったかいし
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