【完結】君を繋ぎとめるためのただひとつの方法

みやこ嬢

文字の大きさ
43 / 86
追加エピソード

第9話:新しいベッド

しおりを挟む
*同居開始~本編最終話ラストに至る迄の物語*


 このままの状態を続けては互いのためにならない。
 龍之介りゅうのすけは、まず一緒に眠ることから止めようと考えた。大の大人が添い寝がないと眠れないなんて正常ではない。そうでなくとも、謙太けんたはまた出張で家を空ける。その度に眠れぬ夜を過ごすようでは困る。

「もう一台ベッドを買おうと思う」
「えっ」

 朝食兼昼食を食べながら龍之介が切り出すと、謙太はぽかんと口を開けた。思いもよらぬことを聞いた、と言った顔だ。

「なんで? 必要なくね?」

 必要だから買うんだろうが!と言いたい気持ちを抑え、龍之介はあくまでにこやかに話を続ける。

「ほ、ほら、風邪とかインフルになった時に一緒の布団だと感染うつるだろ? それに、喧嘩した時とかさ」
「それはそうだけど」
「セミダブルまでなら仕事部屋に置けるから」
「うーん……」

 謙太はあまり気乗りしないようだが、しばらく考えてから賛成した。

「じゃ、午後から見にいくか」
「わかった」

 とにかく、ベッドが二つあれば別々に寝る練習は出来る。食事の片付けを終えてから、二人揃って出掛けた。





「なあなあ、リュウはなんかこだわりとかあんの?」

 郊外の大型店には多種多様の家具が展示されている。その寝具コーナーを見て回りながら謙太が話し掛けた。

「特にないけど、……あー、枕元にスマホ置くとこ欲しいかも。あと、落ち着いた色のやつ。今寝室にあるベッドみたいな」
「あー、ああいうのか」
「それと、収納があると嬉しい」
「ふんふん」

 希望を聞きながら候補を絞っていく。
 寝具担当の店員にも相談し、二人が納得出来るようなベッドが無事に見つかった。

「オレが買うよ。支払いと配送の手続きしてくるから、リュウは食器でも見てこいよ。新しい皿が欲しいって言ってたろ?」
「ん、じゃあ頼む」

 最初は渋っていた謙太が購入に乗り気になっている様子を見て、龍之介は安堵した。






 翌日、届いたベッドを見て龍之介は呆然とした。

「……なんかデカくね?」
「そうか?」

 荷解きする前に、配送業者が元々寝室にあったセミダブルのベッドを一部解体して龍之介の仕事部屋へと移設した。そして、新たに購入したベッドとマットレスは寝室に設置された。

「布団は夕方届く。カバーとシーツは今コインランドリーで洗ってるから」
「……どっか出掛けたかと思ったら、そういうことか」

 全ての作業を終えた業者が帰ってから、龍之介は謙太に詰め寄った。

「なんでダブルベッドなんか買ってんだよ」
「これ、ワイドダブル」
「なお悪いわ!」
「セミダブルじゃ少し狭いからさ、これなら二人でもゆったり寝れるだろ?」
「~~ッ!!」

 謙太は一人で寝るつもりなどサラサラ無かった。

「あと、リュウは仕事で疲れたらパソコンデスクでそのまま居眠りしてるだろ。そういう時はベッドで寝ろよな」
「……」

 それが事実なだけに、龍之介は何も言えなくなってしまった。

 病気の時の隔離用兼仕事中の仮眠用。
 元々寝室にあったベッドはそういう役割を得て仕事部屋に鎮座することとなった。
しおりを挟む
感想 37

あなたにおすすめの小説

禁書庫の管理人は次期宰相様のお気に入り

結衣可
BL
オルフェリス王国の王立図書館で、禁書庫を預かる司書カミル・ローレンは、過去の傷を抱え、静かな孤独の中で生きていた。 そこへ次期宰相と目される若き貴族、セドリック・ヴァレンティスが訪れ、知識を求める名目で彼のもとに通い始める。 冷静で無表情なカミルに興味を惹かれたセドリックは、やがて彼の心の奥にある痛みに気づいていく。 愛されることへの恐れに縛られていたカミルは、彼の真っ直ぐな想いに少しずつ心を開き、初めて“痛みではない愛”を知る。 禁書庫という静寂の中で、カミルの孤独を、過去を癒し、共に歩む未来を誓う。

【完結】ここで会ったが、十年目。

N2O
BL
帝国の第二皇子×不思議な力を持つ一族の長の息子(治癒術特化) 我が道を突き進む攻めに、ぶん回される受けのはなし。 (追記5/14 : お互いぶん回してますね。) Special thanks illustration by おのつく 様 X(旧Twitter) @__oc_t ※ご都合主義です。あしからず。 ※素人作品です。ゆっくりと、温かな目でご覧ください。 ※◎は視点が変わります。

【完】三度目の死に戻りで、アーネスト・ストレリッツは生き残りを図る

112
BL
ダジュール王国の第一王子アーネストは既に二度、処刑されては、その三日前に戻るというのを繰り返している。三度目の今回こそ、処刑を免れたいと、見張りの兵士に声をかけると、その兵士も同じように三度目の人生を歩んでいた。 ★本編で出てこない世界観  男同士でも結婚でき、子供を産めます。その為、血統が重視されています。

もう一度、その腕に

結衣可
BL
もう一度、その腕に

イケメンダブルセンターとアンチ>ファンな平凡な俺

ユッキー
BL
アイドルグループ【オーバーウェルミング】は圧倒的な歌唱力の深山影月、圧倒的なパフォーマンス力の漣陽太、そして圧倒的な平凡力な俺間桐真緒の3人で結成されている。  大人気の二人と違いアンチしかいない俺だが、メンバーからもファンからも愛される日が果たしてくるのか!?

【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】

彩華
BL
 俺の名前は水野圭。年は25。 自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで) だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。 凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!  凄い! 店員もイケメン! と、実は穴場? な店を見つけたわけで。 (今度からこの店で弁当を買おう) 浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……? 「胃袋掴みたいなぁ」 その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。 ****** そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています お気軽にコメント頂けると嬉しいです ■表紙お借りしました

悪役令息に転生した俺は推しの為に舞台から退場する

ユッキー
BL
前世の記憶を思い出したアレクシスは悪役令息に転生したことに気づく。このままでは推しである義弟ノアが世界を救った後も幸せになれない未来を迎えてしまう。それを回避する為に、俺は舞台から退場することを選んだ。全てを燃やし尽くす事で。 そんな俺の行動によってノアが俺に執着することになるとも知らずに。

番に見つからない街で、子供を育てている

はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。 異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。 現世の記憶は失われているが、 この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。 街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、 ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。 だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。 再会は望まない。 今はただ、この子との生活を守りたい。 これは、番から逃げたオメガが、 選び直すまでの物語。 *本編完結しました

処理中です...