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第12話:明け方の攻防
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*同居開始~本編最終話ラストに至る迄の物語*
夜明け前の時間になって、ようやく龍之介は寝室に入った。日付けが変わった辺りで溜め込んだ仕事も一段落し、仕事部屋のベッドで横になったはいいが、やはり眠ることが出来なかったのだ。
すぐにでも寝落ちたいほど疲れているのに眠れない。これは予想以上に辛いことだった。
別々に寝る練習は敢えなく失敗した。ならば、せめて謙太が起きるまでの数時間だけでも眠りたい。
その一心で音を立てぬように注意を払いながらドアを開け、大きなベッドの反対側から潜り込む。布団は程良く温められていた。これは先に寝ている謙太のおかげだ。冷えた脚先がじわじわと温もっていくのを感じ、龍之介は表情をゆるませた。
「リュウ」
「ひゃあ!」
さあ寝ようとしたところで突然声を掛けられ、龍之介は情けない悲鳴をあげた。隣を見れば、先程まで背中を向けて寝ていたはずの謙太がこちらを睨みつけている。
「こんな時間まで仕事してたのかよ」
「あ、ああ。さっきようやく終わったとこで」
作り笑いを浮かべて弁解する龍之介に対し、謙太は更に眉間の皺を深くした。
「嘘だ。もっと早く終わってただろ」
「そんなことは、」
「二時間前にキーボードの音がしなくなった」
「……」
まさかずっと起きていたのか、と龍之介は絶句した。黙り込む龍之介を見て、謙太は呆れたように大きく溜め息をついた。
「どうせ寝室に来るなら、もっと早く来たらいいだろ」
そう言われて、龍之介はムッとした。誰のために睡眠時間を削って努力していると思っている、と訴えたかったが、それは龍之介が勝手にやっていることだ。
「別にいいだろ。たまには一人で寝ようかと思っただけだ」
「それなのに来たんだ?」
「……こっちの方が寝心地いいから」
「だよなあ。マットレスひとつでここまで変わるとは思わなかった!」
新しいベッドとマットレスは謙太が選んだものだ。値段が張るだけあって寝心地は良い。褒められて、謙太は明らかに上機嫌になった。
だが、その笑顔はすぐ曇った。
「まあ、いくら寝心地良くても眠れなきゃ意味ないけどな」
そう言いながら、謙太は龍之介の方を向いて腕を伸ばした。指先が触れそうになった瞬間、ビクッと肩を揺らすのを見て動きを止める。
「一人じゃ寝られなかったんだろ」
「慣れれば大丈夫だから」
「ダメだったくせに」
「……うるさいな」
手を振り払い、謙太に背中を向けて転がる。
同じ布団に入った時点で既に睡魔に襲われている。このまま意識を手放して、短い時間でも眠りたい。
しかし、謙太は再び手を伸ばした。後ろから抱きつかれ、龍之介は身体を強張らせる。
「離せ」
「やだ」
「俺は早く寝たいんだよ!」
「……オレも、もう、限界……」
途切れ途切れに言いながら、謙太は小さな寝息をたてて眠りについた。龍之介を抱きしめたままだ。
顔だけ後ろに向けてそれを確認して、龍之介は唖然とした。
「信じらんねえ!」
しかし、五分も経たないうちに睡魔に負けた。
夜明け前の時間になって、ようやく龍之介は寝室に入った。日付けが変わった辺りで溜め込んだ仕事も一段落し、仕事部屋のベッドで横になったはいいが、やはり眠ることが出来なかったのだ。
すぐにでも寝落ちたいほど疲れているのに眠れない。これは予想以上に辛いことだった。
別々に寝る練習は敢えなく失敗した。ならば、せめて謙太が起きるまでの数時間だけでも眠りたい。
その一心で音を立てぬように注意を払いながらドアを開け、大きなベッドの反対側から潜り込む。布団は程良く温められていた。これは先に寝ている謙太のおかげだ。冷えた脚先がじわじわと温もっていくのを感じ、龍之介は表情をゆるませた。
「リュウ」
「ひゃあ!」
さあ寝ようとしたところで突然声を掛けられ、龍之介は情けない悲鳴をあげた。隣を見れば、先程まで背中を向けて寝ていたはずの謙太がこちらを睨みつけている。
「こんな時間まで仕事してたのかよ」
「あ、ああ。さっきようやく終わったとこで」
作り笑いを浮かべて弁解する龍之介に対し、謙太は更に眉間の皺を深くした。
「嘘だ。もっと早く終わってただろ」
「そんなことは、」
「二時間前にキーボードの音がしなくなった」
「……」
まさかずっと起きていたのか、と龍之介は絶句した。黙り込む龍之介を見て、謙太は呆れたように大きく溜め息をついた。
「どうせ寝室に来るなら、もっと早く来たらいいだろ」
そう言われて、龍之介はムッとした。誰のために睡眠時間を削って努力していると思っている、と訴えたかったが、それは龍之介が勝手にやっていることだ。
「別にいいだろ。たまには一人で寝ようかと思っただけだ」
「それなのに来たんだ?」
「……こっちの方が寝心地いいから」
「だよなあ。マットレスひとつでここまで変わるとは思わなかった!」
新しいベッドとマットレスは謙太が選んだものだ。値段が張るだけあって寝心地は良い。褒められて、謙太は明らかに上機嫌になった。
だが、その笑顔はすぐ曇った。
「まあ、いくら寝心地良くても眠れなきゃ意味ないけどな」
そう言いながら、謙太は龍之介の方を向いて腕を伸ばした。指先が触れそうになった瞬間、ビクッと肩を揺らすのを見て動きを止める。
「一人じゃ寝られなかったんだろ」
「慣れれば大丈夫だから」
「ダメだったくせに」
「……うるさいな」
手を振り払い、謙太に背中を向けて転がる。
同じ布団に入った時点で既に睡魔に襲われている。このまま意識を手放して、短い時間でも眠りたい。
しかし、謙太は再び手を伸ばした。後ろから抱きつかれ、龍之介は身体を強張らせる。
「離せ」
「やだ」
「俺は早く寝たいんだよ!」
「……オレも、もう、限界……」
途切れ途切れに言いながら、謙太は小さな寝息をたてて眠りについた。龍之介を抱きしめたままだ。
顔だけ後ろに向けてそれを確認して、龍之介は唖然とした。
「信じらんねえ!」
しかし、五分も経たないうちに睡魔に負けた。
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