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昨夜の行為を思い出して興奮してしまいました
しおりを挟む父とは別の馬車で王宮へと向かう。行政区を抜け、更に奥へと進むと王族の居住区がある。昨夜の狼藉を思い出して一瞬身構えるが、警備の兵士はいつものように私を中へと通してくれた。
おかしい。ローガン様は私が無礼な真似をしたことを誰にも訴えていないのか。昨夜は混乱していただろうが、一晩経てばなにをされたのか理解できるはずだ。一部始終を明らかにしなくても、ただ「ヴァインを捕えろ」と兵士に言うだけで済む。それだけの権力を持っているのだから。
「失礼いたします」
部屋の扉を叩くと、中から「入れ」と返事があった。ローガン様の声だ。少しドキリとしたが、構わず中へと入る。
入ってすぐに来客用の応接の間があり、奥に執務机が置かれている。私が出仕する時間帯には執務机に向かい、書類仕事をしていることが多い。今日もまさに書類を手にして難しい顔をしているところだった。
「来たな、ヴァイン」
「はっ」
書類から顔を上げずに私に声をかけるローガン様。これもいつもと変わらない。少しは態度を変えてもよいのではないか?
「今日は予定通り王都郊外の治水工事の視察に行く。ついてこい」
「えっ」
「えっ」
あまりにもいつもと変わらなさ過ぎるので疑問の声を上げてしまったら、ローガン様も同じように声を上げた。しばし執務机を挟んで見つめ合う。
「なんだ。都合が悪いのか?」
「いえ、そういうわけでは」
「だったら問題ないな。書類を確認し終えたら出発する。少し待て」
「はあ」
ローガン様は再び視線を書類へと戻した。手持ち無沙汰になり、執務机の前に立ったままローガン様の様子を観察する。
昨夜あれだけ酷い目に遭わせたというのに顔色は普段通り。よく眠ったようで隈もない。しっかり着込んでいて確認できないが、肩や背中、太ももの内側には私がつけた跡が残っているはずだ。
無理やり突っ込もうとしたがなかなか入らず、胸や股間を刺激したり首筋に吸い付いたりしてようやく先端をねじ込んだ。少し切れて血が出たが、もう痛くはないのだろうか。王太子専用の椅子は座面も柔らかく作られているとはいえ、座る体勢は尻に負担がかかるのではないか。
「どうした。この書類が気になるか?」
「あ~……そうですね。たまには見てみようかな、と」
不意に声をかけられ、我に返る。無意識のうちに執務机の正面から側面に移動していたらしい。別に内容が気になっているわけではないのだが、流れで一緒に書類を読むことになってしまった。読みやすいよう、ローガン様が腰掛けている椅子の隣に立つ。
「国境警備からの要望書だ。砦が老朽化しているから補強工事をしてほしいらしい。どう思う?」
「築年数が経っていますよね。私も数年前に行ったことがありますが、かなり古かったですよ。雨漏りとかしてました」
「それは酷いな。父上に相談してみよう」
仕事の話をしながら、書類ではなくローガン様を見る。凛々しい横顔。鮮やかな赤い髪。詰め襟の服の下には均整の取れた肉体が隠されている。昨夜すべてを暴き、内側を己自身で貫いた。ローガン様の体内の熱さを今もしっかり覚えている。
思い出すと妙に興奮してしまい、仕事どころではなくなりそうになった。
「ヴァイン?」
黙り込む私を訝しみ、振り返るローガン様。間近で目が合いドキリとしたが、動揺を抑えて笑顔を作る。
「そろそろ時間です。視察に参りましょう」
「わかった。行こう」
やはり、ローガン様は私を罰するつもりはないらしい。
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