婚約破棄された悪役令息は、推しカプ達の幸せを応援したい!

苺雪

文字の大きさ
2 / 2
第一章

2.

しおりを挟む
俺、セシェル・ランローズには秘密がある。
それは、前世の記憶があるということ。
と言っても、名前がなんだったのか、どういう生活を送っていたのか、までは全く覚えていないんだけれど。
ただ、前世の俺は男ながらに腐男子という存在で、男同士のカップルものの漫画やアニメやゲームが大好きな男子高校生だったということだけは思い出していた。

記憶が戻ったのは3歳の時に階段から足を滑らせて落ちて頭を打った時だった。
その時に、俺はセシェル・ランローズという人間がどういう人物か、理解した。
セシェルは、前世の俺が一番好きで何周も遊んだBLゲーム《クランベルの鐘》の登場人物であり、主人公の邪魔ばかりするライバルキャラである闇魔法の使い手の悪役令息なんだという事を。

物語の内容は主人公であるアルマ・テーゼルは、元々は庶民の生まれなんだけれど、とある事件に巻き込まれたことからそのうちに類い稀なる魔法力を秘めていることが分かり、特例で【クランベル魔法学院】に、入学することになるんだ。
そして入学式の属性検査で1000年に一度産まれるか産まれないかと言われている全属性の魔法が使える体質だということが発覚し、学院で三年間自分の腕を磨きながら、その中で知り合う数々の攻略キャラ達と絆を深め、共に勉強し、共に魔物と戦いあう中特別な相手を見つけて行くという、まあ、オーソドックスな内容ではあるんだけれど。

けど、本格的なRPGタイプの戦闘はあるし、攻略キャラがかなり多くて、全クリするにはかなりやりがいのあるな内容になってるんだよな。
エンディングを迎えるキャラによって最終的に主人公がどの属性に特化した魔法使いになるのかっていうのも、変わってくるし。
話もよく出来ていて俺は夢中になって隠しキャラ含めた全クリ目指してプレイしてたんだよな。

その中で、メインの攻略キャラクターである、この国の第一王子アレイズの攻略を進めて行くと、特にお邪魔キャラとして主人公を陥れようとしてくるのが、婚約者であるこの俺セシェルだったりする。
ゲーム中では本当に嫌なやつで、かなり酷い虐めみたいな事をやってのけるんだけれど、アレイズルートは入るとそれが明るみになって、最終的に断罪され学園を追い出されて家からも絶縁されてしまうんだけれど、そこを元々セシェルの闇魔法の強力さに目をつけていた、魔王配下の四天王の1人闇魔導師に心の隙をつかれて洗脳され最終的には闇魔獣にされて、主人公とアレイズ達に倒され死ぬんだよな。

齢三歳にして自分の悲惨な終わりを知ってしまった俺はというと、大きくガッツポーズをとっていた。
それは仕方ない。
だって、大好きだったゲームの世界に転生して、しかも、最推しであるアレイズ王子を筆頭に推しである攻略キャラ達を生で堪能できる立場に転生したのだから。
なかでも、アレイズ×アルマのカップリングは数あるカップリングの中でも、最推しのカップリングなのだから。
その2人が仲良くイチャイチャする姿を間近で見られるなんて夢のように美味しい立ち位置じゃないか。

とはいえ、流石に魔獣になって殺されるのは、勘弁被りたいので俺はゲームのように二人の中を邪魔したりするつもりはない。
主人公のアルマがアレイズ様を選ぶなら喜んで身を引いて応援しよう。
そして他の推しカプ達と同じように陰ながら様子を見守って堪能させてもらおう。
なんて気楽に考えていたんだ。
俺が邪魔さえしなければ、俺が追放されることもないだろうし。
万が一、追放されても魔獣にさえならなければ死なないんだから、闇魔導師に洗脳されないほどの実力を身につけていれば問題ないだろうと。

それから俺は闇魔法の勉強に励みに励んで、今では闇魔法なら右に出る者がいないほどの使い手になったし、洗脳魔法にかからない宝具も自ら生み出したんだ。
それであとは、アルマとアレイズ様が出会い惹かれあう展開になってくれれば、俺としては万々歳ってところでの、アレイズ様からの報告に、完全に浮かれた俺はスキップしながら廊下を歩く勢いで寮の自室へと向かったのだった。
しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

「お前を愛する事はない」を信じたので

あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」 お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

王命で第二王子と婚姻だそうです(王子目線追加)

かのこkanoko
BL
第二王子と婚姻せよ。 はい? 自分、末端貴族の冴えない魔法使いですが? しかも、男なんですが? BL初挑戦! ヌルイです。 王子目線追加しました。 沢山の方に読んでいただき、感謝します!! 6月3日、BL部門日間1位になりました。 ありがとうございます!!!

乙女ゲームのサポートメガネキャラに転生しました

西楓
BL
乙女ゲームのサポートキャラとして転生した俺は、ヒロインと攻略対象を無事くっつけることが出来るだろうか。どうやらヒロインの様子が違うような。距離の近いヒロインに徐々に不信感を抱く攻略対象。何故か攻略対象が接近してきて… ほのほのです。 ※有難いことに別サイトでその後の話をご希望されました(嬉しい😆)ので追加いたしました。

虐げられた令息の第二の人生はスローライフ

りまり
BL
 僕の生まれたこの世界は魔法があり魔物が出没する。  僕は由緒正しい公爵家に生まれながらも魔法の才能はなく剣術も全くダメで頭も下から数えたほうがいい方だと思う。  だから僕は家族にも公爵家の使用人にも馬鹿にされ食事もまともにもらえない。  救いだったのは僕を不憫に思った王妃様が僕を殿下の従者に指名してくれたことで、少しはまともな食事ができるようになった事だ。  お家に帰る事なくお城にいていいと言うので僕は頑張ってみたいです。        

異世界転生した悪役令息にざまぁされて断罪ルートに入った元主人公の僕がオメガバースBLゲームの世界から逃げるまで

0take
BL
ふとひらめいたオメガバースもの短編です。 登場人物はネームレス。 きっと似たような話が沢山あると思いますが、ご容赦下さい。 内容はタイトル通りです。 ※2025/08/04追記 お気に入りやしおり、イイねやエールをありがとうございます! 嬉しいです!

成長を見守っていた王子様が結婚するので大人になったなとしみじみしていたら結婚相手が自分だった

みたこ
BL
年の離れた友人として接していた王子様となぜか結婚することになったおじさんの話です。

悪役令息に転生した俺は推しの為に舞台から退場する

スノウマン(ユッキー)
BL
前世の記憶を思い出したアレクシスは悪役令息に転生したことに気づく。このままでは推しである義弟ノアが世界を救った後も幸せになれない未来を迎えてしまう。それを回避する為に、俺は舞台から退場することを選んだ。全てを燃やし尽くす事で。 そんな俺の行動によってノアが俺に執着することになるとも知らずに。

処理中です...