人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ

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第61話 はじめてのお仕事にふんとう!

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いち、に、さん――

慎重に、気を付けて、飛ばしたり、2枚めくったりしないように。

じゅうよん、じゅうろく、じゅうなな――

あ、あれ?

じゅうご! じゅうごが、ない!?

わぁぁ、たいへん! さがさないとっ!

えーっと、じゅうご、じゅうごはどこだー!?
パラパラパラ――

じゅうはち、じゅうく、にじゅう。

むむむ、ない? え、まさか、15なし!?

21、22、23、24、25、26、15――

……ん? じゅうご?

あ、あったー! じゅうご! みつけたぁぁ!

えっと、じゃあこれを、じゅうよんと、じゅうろくの間に……

よし!

じゃあ、つぎはえっと――

***

さんじゅうはち、さんじゅうく、よんじゅう!

おわったー! 行方不明だった15と、ぐちゃぐちゃってなってた31から36はちゃんとしたし。
これで大丈夫! うん。

……ほんと? 見落としたり、間違ったりしてない?

「…………」

よし、もっかい全部数えよ!

いーち、に、さん、よん、ご――

***

「よし、できたぁ」

今後こそ大丈夫。間違いなし。3回数えたから、きっと大丈夫。
うん、きっと……多分。

……あれ? もっかい数えたほうがいいかなぁ。でも、遅いとダメかな?

「ん? もしや、終わったのか?」
「え、あ……はい」

ハッとして声の方を見ると、手にペンを持ったファランさまが、ニコ、としてこっちを見ていた。

「そうか。じゃあ、もらおうか」
「はい! あ、でも――」

どうしよう。ほんとに大丈夫かな? いざファランさまに渡そうとすると、急に心配がグン、てなる。

「大丈夫だ。こちらでも、書類を見るときに数字は見るからな、心配ない」
「はい……じゃあじゃあ、どうぞぉ」
「ああ、ありがとう。助かったよ、サファ」

わ、わわわ! たすかったって! ファランさまが、ぼくにっ!

「ぼく、あの、お手伝いできて、うれしかったですっ」
「そうか。サファは、書類を見るのは嫌ではなかったか」
「はい! 文字は……読めないのもあるけど、数字は読めるから、大丈夫でしたっ!」

一応、前世の15才人格はあるとはいえ、この世界では5才。わからない言葉とか、ぜんぜんあるんだよねぇ。でも数字はカンペキ。お菓子の数をメモしたりするのに必要だから、最初に覚えたよね。

「そうか。それは心強いことだ」

もしかしてぼく、なんかちょっと、頼りになる感じにみえたっぽい雰囲気?
えへへ。

「それならば、そうだな――」
「……?」

ファランさまが、うーん、となにか考える顔で、机の上を見た。

「嫌でなかったなら、もう少しだけ、手伝ってくれるか?」
「え? ぼく、ほかもできそうなこと、ありますかっ!?」

他にもファランさまの種類のお手伝い、させてもらえるの!?
わー、なんだろう? 

「ああ、この書類なんだが――」
「わ……」

ファランさまが手にしたのは、たっぷりの紙の束!
絵本っていうより、ちゃんとした難しい本くらいある。

「書類の右上、このあたり」
「はい」
トントン、と指さされたあたりには、多分偉い人の名前と、お花みたいな形の赤いはんこがある。

「この赤い花紋印……花の形のはんこが押してないものがあるかもしれないから、それを探してほしい」
「はんこがないやつ、ですね。 はい、わかりました!」
「そうか。じゃあ、頼むよ。途中まででもいい」
「はい、がんばりますっ!」

はんこの確認なんて、なんか大事そう。しっかり、みないとっ。

よし! 1枚ずつ、しっかり――

1枚……ずつ、……あれ?
め、めくるのちょっと難しい!?

むむむ……エイッ!

ああっ、2枚めくちゃったかも。はわわ、その中にはんこのないのがあったら大変!
ちゃんと1枚ずつめくらないとっ!

わ、でも、エイッとめくると紙にシワができちゃうっ!

はわわ、丁寧にしっかり、1枚ずつ――

***

――よし!

お花のはんこがないのは、これだけ。
ちゃんと全部見たからきっと大丈夫! きっと……うん、たぶん。

大丈夫かな? もう一回見たほうがいいかな?
うぅぅぅ……でも、3回見たからなぁ……。

よし! あとは、ファランさまに返して――

むむ、ちょっと忙しそう? 書類読んでるの、邪魔したらダメね。

「…………」

あ、今!

「あの、ファランさま」

ファランさまが、読んでいた書類をすっと横の箱に入れたすきに、あわてて呼ぶ。

「ん? 終わったか? それとも途中か?」

「おわりましたっ!」

「おお、全部見てくれたのか。ありがとう」

ニコッとしたファランさまに、まず分厚い束を渡す。

「こっちは、全部はんこがあったやつです」

「あと、これ、あの……これがはんこなし、です。1枚だけですっ!」
「ああ、そうか。やはり見逃してたのがあったか」

1枚のはんこなしをファランさまが、うんうん、として受け取ってくれる。

どどど、どうですか? ぼくのお仕事、だいじょーぶだったかな?

「サファ――」

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