居酒屋“おがた”はムテキのお城

月那

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 朋樹の掌が、櫂斗のモノをそっと包み込んだ。
 他人の手に触れられたのは初めてで、櫂斗はそれだけで勃起しているそれが爆発しそうな感覚に囚われる。
「ひとりえっちとか、してる?」
 首筋に舌を這わせながら、朋樹が問う。
「んあっ……う……し、してる」
「どこがイイ? 根元? 先っぽ?」
「……全体……」
 素直な返事にくす、と笑った朋樹が、掌を使って櫂斗の完全に勃起しているモノを扱く。
「や……」
 
 透明な先走りがとろとろと溢れてくるから、湿った音を立てて快感を煽る。
「と……トモさん……や……」
「一回、出すね。もう、ぱつぱつ」
 言って、朋樹は手の動きを速め、櫂斗を射精させた。

「あっ……ああっ……」
 勢いよく白濁を放った櫂斗が脱力する。
「多分、コレ、使った方がいいんだよな」
「え?」

 どこに、どうすればいいか。
 相手がオトコだから、当然挿れる場所はソコしかないわけで。
 朋樹は櫂斗の放った精液を、後ろの孔に塗り付けた。
「え……えっ?」
「やっぱ、硬いなあ。ちょっと、解すから」

 脱力した櫂斗の脚を拡げると、指で孔の周りを揉む。
 ぬちぬちと精液の滑りを使って解すと、そこに一本、指を押し入れた。
「ああっ!」
「ごめん、大丈夫?」
「や……やっ……」
 さすがに、まさかの場所に指が入ってくるから、櫂斗は怖くなって朋樹の腕を握る。

「ごめん。痛いよね? さすがに、すぐに挿れるのは、無理だし。今日はやめとこ」
 朋樹は言うと、ティッシュで精液を拭った。
「トモさん?」
「少しずつ、ね。今日は、まだそこまでしなくてもいいでしょ」
「……でも、トモさんの、は?」
 勃起した朋樹のモノを見る。
「うん……櫂斗、手でしてくれる?」

 頷いて、さっきしてもらったように、朋樹のモノを握った。
「わ……あ、ヤバイね、コレ」
「トモさん、きもち、い?」
「ん。気持ちイイ」
 返事が嬉しくて、櫂斗は徐にソレを口に含んだ。

「わ! ちょ、櫂斗!」
 頭の部分をかぷ、と口に入れて舌で先端を撫でる。
「ダメだって、櫂斗。そんなこと、しなくていいから」
 慌てて朋樹が離させる。
「なんで? トモさんにきもち良くなって欲しいよ?」
「いや、だからっていきなりそんなこと、しなくても。手でいいってば」
「したいもん」
「櫂斗お?」
「俺、今日絶対セックスしようって思ってた。トモさんのこと、俺んナカ入れてやるって思ってた」
「ちょ……櫂斗……」
「でも、まだ入んなくて。だったら、口ん中、入れたらおんなじかなって思う。俺、トモさんと繋がりたい」
 戸惑う朋樹に、真剣な目を向けるから。

「そんなことしなくても、繋がってるよ」
 そっと抱き寄せる。
「こうやって、裸で抱き合ってるだけでも、俺は櫂斗と繋がってるって思えるよ?」
「……トモさん」
「無理してオトナな真似事しなくていいから。さすがに、俺も男だからもう、ヤりたいが止まんなくなったけど、こんなこと無理してやることじゃない」
 素肌を重ねて、体温を感じて。

「トモさん、でもイってないじゃん」
「櫂斗……はっきり言うなよ」
「俺だけイってんの、なんか、やだ」
「……わかった」
 それじゃあ、と朋樹は櫂斗を俯せにする。
「え?」
「腰、浮かせて?」
 バックの体勢にすると、櫂斗の腿の間にモノを挿し込む。
 小さなお尻を両手でぐ、と掴むと脚の間に挟み込んで勃起しているモノを擦り上げる。

 櫂斗の体を触り、その喘ぎ声やモロモロでもう、自分だってイきたくて仕方ないくらい勃ってるわけで。
 ヌルヌルとその腿の間で直接的な刺激が加われば、当然、あっという間に爆ぜてしまう。

「……くっ……」
 そして素股で解放させた。

 真似事みたいなセックスをして、でも、それでもお互いの体を感じ合って。
 二人でぎゅっと抱きしめ合う。
「櫂斗」
 背中から包み込んで、耳元で名前を呼ぶ。
 早く大人になろうと必死になってる櫂斗が可愛くて、その小さな体を抱きしめる。
「大好きだよ、櫂斗」
 心からのその言葉が、櫂斗の全身に伝わる。

「どうしよ」
「ん?」
「俺、今日で死んじゃうのかな?」
「はいい?」
 この激甘な空気感で、なんてことを言い出すんだ、と朋樹が櫂斗の目を覗き込むと。

「こんな幸せな日って、ある? トモさんから合鍵貰ったってだけでも超絶幸せなのに、えっちまでして、その上トモさんに大好きなんて言われて」
 もう完全に死亡フラグじゃん、と呟いた。

「何をばかなことゆってんだか。俺から言わせたら、この上なく情けない日なんだけど?」
 櫂斗の甘い感想とは裏腹に、朋樹としてはもう、ただただ恥ずかしいばかりで。
「え、何で?」
「寝起きっつーか寝ぼけまくってるのはまあ、いつも見せてるけど、その上柄にもなくヤキモチ焼いてることまで吐かされたあげく、中途半端なえっちしかできないって。も、男として、最低じゃね?」

 自嘲する朋樹が、櫂斗にはもう堪らなくて。

「トモさんのそーゆートコ、俺は一番大好きなんだけどね」
 イケメンのくせにどっかポンコツで、見ている者の庇護欲をかきたてる。
 そんな朋樹のことが、愛しくて堪らないから。

「トモさん大好き。次、来た時はもっとちゃんとしたえっち、しようね」
 櫂斗の満面の笑みを湛えたそのセリフは、朋樹の下半身を直撃した。
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