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【3】Astrophyllite
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「あまり、無駄に悩むこと、ねーんじゃね?」
「無駄?」
「うん、あの人がおまえのことを嫌うとか、他に相手がいるとか、そーゆーのは絶対にないって、少なくとも俺は言い切れるけどね」
「まーくん……」
「いろいろあんじゃねーの? 頭イイ人の考えることなんか、俺には全然わかんねーけどさ」
ポテトを一本つまんで、成親の口の中に放り込む。
「何かしら、考えてんだろーからさ、信じてやんなよ。で、あまりにも信じなんないってんなら、はっきり本人にぶつけてやれよ」
咀嚼した成親が、目の前にあったオレンジジュースを飲む。
「しょーさん、困らせたく、ない」
「そんなんゆって、おまえが困ってたらあの人も困るよきっと」
「…………」
「ちゃんとヤれる状況になった時に、可愛く抱いてってゆったらいんじゃね?」
「……んなこと、できるかっつの」
「大丈夫、大丈夫。なるならできるって」
「……まーくん、俺んことばかにしてね?」
「してねーよ。俺には通じない色気も、あの人になら全然通じるからやってみろっつってんの」
征人が笑う。
成親は、それを見て少しだけ安心したように微笑んだ。
だから。
あー、確かにこの笑顔なら少しだけ“イケ”そうな気は、する。と征人も思ったけれど、慌ててその感情を打ち消す。
あの翔が、どこで見ているとも限らないわけで。
成親に対して少しでも変な気を起こそうものなら、きっとすっ飛んで来るに違いないから。
そんなことを考えてしまうくらい、“翔が成親を好き”ってことは征人には疑いもない真実だから、何を無駄に悩んでいるのか、と鼻で笑うしかないのだ。
「特選科ってトコはさ、俺ら一般人にはわかんない世界だし、きっといろいろあんだよ。で、そこで何かしらあの人を悩ませることがあったんじゃねーの?」
「……か、なあ」
「そうそう。で、それに関してはなるや俺がどうこうできるわけじゃねーし、あの人が自分で解決するんだろうから、も、ほっとくしかねーよ」
別世界だと、征人は思う。
自分は普通科の中でも下位にいるわけだから、校内の――あるいは全国の――成績トップレベルの集団なんて考えられない世界だから。
翔こそあんな風に自分たちと全く変わらない雰囲気を持って、分け隔てなく接してくれるからその世界の住人だとは感じさせないけれど、周囲の人間で特選科と接した者は大抵“変人”としか言わない。
当然それはいい意味でも悪い意味でもあるのだろうが、そんな人たちの中で“普通”な翔が逆に浮いているんじゃないか、とも思う。
そうなったらもう、成親の言う“おかしい”翔が何に困っているのかなんて自分たちには計り知れないわけだから。
「多分、そのうちまたケロっとして“なるなる”つって抱き付いてくるよ、あの人のことだから」
「……ん。まあ、ね。俺の前ではかなりなポンコツだけど、基本的には凄い人だし」
「なるの前でだけは緩んでポンコツになれんだよ、きっと」
「それが可愛いんだけどね」
「……のろける?」
「のろけていい?」
切ない顔や、不貞腐れてる表情見てるよりはいいか、と征人は
「多少なら。ま、それでなるの気が晴れるならね」
笑ってやったが、結局のところ、その言葉を後悔するくらい、その後延々とのろけ話を聞かされることになったのだった。
「無駄?」
「うん、あの人がおまえのことを嫌うとか、他に相手がいるとか、そーゆーのは絶対にないって、少なくとも俺は言い切れるけどね」
「まーくん……」
「いろいろあんじゃねーの? 頭イイ人の考えることなんか、俺には全然わかんねーけどさ」
ポテトを一本つまんで、成親の口の中に放り込む。
「何かしら、考えてんだろーからさ、信じてやんなよ。で、あまりにも信じなんないってんなら、はっきり本人にぶつけてやれよ」
咀嚼した成親が、目の前にあったオレンジジュースを飲む。
「しょーさん、困らせたく、ない」
「そんなんゆって、おまえが困ってたらあの人も困るよきっと」
「…………」
「ちゃんとヤれる状況になった時に、可愛く抱いてってゆったらいんじゃね?」
「……んなこと、できるかっつの」
「大丈夫、大丈夫。なるならできるって」
「……まーくん、俺んことばかにしてね?」
「してねーよ。俺には通じない色気も、あの人になら全然通じるからやってみろっつってんの」
征人が笑う。
成親は、それを見て少しだけ安心したように微笑んだ。
だから。
あー、確かにこの笑顔なら少しだけ“イケ”そうな気は、する。と征人も思ったけれど、慌ててその感情を打ち消す。
あの翔が、どこで見ているとも限らないわけで。
成親に対して少しでも変な気を起こそうものなら、きっとすっ飛んで来るに違いないから。
そんなことを考えてしまうくらい、“翔が成親を好き”ってことは征人には疑いもない真実だから、何を無駄に悩んでいるのか、と鼻で笑うしかないのだ。
「特選科ってトコはさ、俺ら一般人にはわかんない世界だし、きっといろいろあんだよ。で、そこで何かしらあの人を悩ませることがあったんじゃねーの?」
「……か、なあ」
「そうそう。で、それに関してはなるや俺がどうこうできるわけじゃねーし、あの人が自分で解決するんだろうから、も、ほっとくしかねーよ」
別世界だと、征人は思う。
自分は普通科の中でも下位にいるわけだから、校内の――あるいは全国の――成績トップレベルの集団なんて考えられない世界だから。
翔こそあんな風に自分たちと全く変わらない雰囲気を持って、分け隔てなく接してくれるからその世界の住人だとは感じさせないけれど、周囲の人間で特選科と接した者は大抵“変人”としか言わない。
当然それはいい意味でも悪い意味でもあるのだろうが、そんな人たちの中で“普通”な翔が逆に浮いているんじゃないか、とも思う。
そうなったらもう、成親の言う“おかしい”翔が何に困っているのかなんて自分たちには計り知れないわけだから。
「多分、そのうちまたケロっとして“なるなる”つって抱き付いてくるよ、あの人のことだから」
「……ん。まあ、ね。俺の前ではかなりなポンコツだけど、基本的には凄い人だし」
「なるの前でだけは緩んでポンコツになれんだよ、きっと」
「それが可愛いんだけどね」
「……のろける?」
「のろけていい?」
切ない顔や、不貞腐れてる表情見てるよりはいいか、と征人は
「多少なら。ま、それでなるの気が晴れるならね」
笑ってやったが、結局のところ、その言葉を後悔するくらい、その後延々とのろけ話を聞かされることになったのだった。
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