Treasure of life

月那

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【6】Imperial topaz(caramel stone)

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「なる、明日って空いてる?」
 ワンコールで繋がり、彬が訊いてきた。
「明日? バイト終わってからだったら」
「ん、それでいいよ。俺も補講は夕方まで出るつもりだし」
 直接会って話をしようと思っていたから、成親にとっても都合がいい。

「あのさ。やっと、皇と逢えることになったんだ」
 彬がそう言って。成親はその言葉の裏を読もうとした。
 今までなら、そのままの言葉通りに受け止めていたけれど、翔から総てを聞いたから。
 そして、自分の中で確信していることがあるから。

「でも。なんか、二人で逢うってちょっと、気まずいからさ。なる、もし良かったら一緒にいてよ」
 それは、どういう意味だろう、と考える。
 きっと二人では、いつだって逢ってるはずで。でも、そこに自分を交えたいってのは、どういう心境だ?

 それとも。皇とは本当に暫く会っていなかった? 
 実際彬は翔との関係を愉しんでいたのだろうし、その間皇と会っていたかどうかなんて、知らない。
 いつだって、彬が話すのは皇との過去の話ばかりだったし。

 工業科の三年が就活に忙しいということは成親も話には聞いて知っている。そして彬たち特選科が毎日補講に出ているのも事実で。二人きりで逢う時間なんて、あったのか?
 そう考えると、やっぱり皇とは本当に逢えていなくて、やっと逢えるから同席して欲しいのは、本音、だと成親には思えて。

「彬。俺、皇に会ったら殴っちゃうかもしんないよ?」
「……いいよ、それでも。それでなるの気が済むなら。俺だって、皇に会ったら殴っちゃうかもしんないし」
 怖いな、と思うのは。そう言う彬の表情が電話越しのせいで見えないから。
 成親の知る彬ならば、今の言葉だって全部本気で言ってるとしか思えない。
 ずっとずっと、逢えないでいた恋人に、やっと逢えるってなった時に、浮気してたことに対して腹を立てるのは当たり前だろうし。

 でも。
 翔の話の中の彬なら。
 自分だって翔を抱いて愉しんでいたのだから、皇とたとえ暫くは逢っていなかったとしても、浮気に対して腹を立てたりするのだろうか?
 成親自身の価値観と違い過ぎるから、その感覚がわからない。

「彬は、でも皇と、仲直りしたいんだよね?」
「そりゃ、そーだよ。皇がまた俺のモノになってくれるんだったら、それが一番いいと思ってる」
 彬のその声は少し切なさを帯びていたから。成親は、その言葉に賭けることにした。

「わかった。じゃあ、彬と皇がちゃんとヨリを戻せるように、俺が協力してやるよ」
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