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【6】Imperial topaz(caramel stone)
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玄関が開いた瞬間、苦笑しながら両手を小さく上げて、彬が成親を出迎えた。
「仲直り、したんだね」
成親が一人ではなく、翔を連れていることに。
二人が門の前に立ち、インターフォンを鳴らした時点で気付いていただろう彬は、けれども拒絶することなく扉を開いて中まで招き入れてから言った。
「うん。したよ」
成親は、いつものようにふわふわの笑顔で答えた。
「そっか。じゃあしょおくんが全部ゲロっちゃったってことで、ゲームオーバーだね」
「違うよ。まだ、終わってない」
玄関までは入れてくれたけれど、そこから先までは入れるつもりがなかったらしく、そのまま追い返そうとした彬に、成親は微笑みながら首を振った。
「あれ? じゃあ、しょおくんとなる、二人で俺に抱かれに来たの?」
にまにましながら言うから、横から翔が。
「だからさ。俺に言うのはいいけど、なるにそゆこと、言うなよ」
彬を睨みつける。そして、成親の前に立った。彬から護るように。
「だから言ったろ、なる。こいつはそーゆーヤツだって。元々今日なるのこと呼んだのも、なるのこと襲うつもりでしかねーって」
「そうそう。も、やっとなるんこと抱けるチャンスって思ってたんだけどね。でも、なるがいいなら俺、二人相手でも頑張っちゃうよ?」
「も一人、呼んだけどね」
ふざけている彬に対して、けれども怒ることなく成親が可愛くウィンクする。
「え?」
「俺、皇のライン知ってっからさ。なるから彬んちに行くって話聞いてすぐ、皇に確認したらやっぱりあいつは知らないって言うし。でもなるが、皇にも話があるから会いたいって言うから呼んどいた」
本当は一人でここに来るつもりだった成親だが、下らない秘密なんて作ってまた翔との仲がこじれるのがイヤで、翔にそれを話したのだ。
さすがに成親一人でこんなトコに来させる程翔もデキた人間ではないから、同行するのは当然のこととして。恐らく皇と会うというのは口実でしかないとだろうと即座に皇に連絡した。
でも。
成親は彬だけじゃなく皇にも話がしたかったから。
翔がいるいないに関わらず、二人に会って話をしたいと思っていたから。
皇にもここに来るよう、伝えた。
バイトが入っているから、と言われたのでまだ到着していないようだが、翔が総てを成親に話したと伝えたから、恐らくここに来て彬をフォローするだろう。
「……じゃ。ここで立ち話ってのもなんだし、リビング行く?」
観念した彬が、小さくため息を吐いて二人を奥へと通した。
翔にとっては悪夢としか言いようがないあの日を思い出すリビングだし、成親だって当然いい記憶のない場所だから。
少しだけ、気は引けるけれど。
「大丈夫。もう、こうなった以上薬盛ったりなんかしねーから」
「信じられるかっつーの。俺はここんちではもう、何も口に入れねーからな」
翔が眉根を寄せて言う。
完全に臨戦態勢で彬に向かっている翔。
だが、それに対し、成親は少しもそんな雰囲気は持っていなくて。
成親の中で、翔を抱いていた彬というのがあまり実感が湧いていないのもあるせいなのだろう。
それに、彬が誰を想っているのかを知っているから。
「俺さ。でも、彬とは友達でいたいと思ってるよ?」
ココはまだ、怖いけど。と成親がくるんと彬を見つめる。
「おまえなあ、なる。なんで平気でそんなこと言えんの?」
「えー? そりゃ、しょーさんのこと寝取られたのはすげームカつくけどさー、彬、いいヤツじゃん」
「ちょい待て。こいつのどこが“いいヤツ”なんだよ?」
「だって、話してても面白いし。しょーさんみたいに頭いいから、なんか、俺がふざけてもわかってくれるっつーか」
「そんなこと言ってると、食われるから。頼むからコイツとは付き合わないでくれ」
「食わねーよ。彬、しょーさんの方が美味しいって知ってるんだから」
「なるー」
二人が話しているのを聞いていた彬が、爆笑した。
「何笑ってんだよ、彬」
むっとして翔が突っ込むと。
「ほんっと、なるって面白いよなー。まじ、俺にくれない?」
「やらん!」
真剣な表情で断った翔の横から、成親が。
「うん。俺も、しょーさんのこと、彬にあげる気、ないよ? てか、むしろ俺的にはしょーさん、彬とはもう会って欲しくないんだけど?」
今度は逆に翔を抱いて彬から遠ざけるようにして言う。
「なる?」
「しょーさんは、俺が護るから。彬にはもう、触らせてやんない」
半分笑ってはいるけれど、成親が翔を左手でガードしたのを見て、再び彬が爆笑した。
「仲直り、したんだね」
成親が一人ではなく、翔を連れていることに。
二人が門の前に立ち、インターフォンを鳴らした時点で気付いていただろう彬は、けれども拒絶することなく扉を開いて中まで招き入れてから言った。
「うん。したよ」
成親は、いつものようにふわふわの笑顔で答えた。
「そっか。じゃあしょおくんが全部ゲロっちゃったってことで、ゲームオーバーだね」
「違うよ。まだ、終わってない」
玄関までは入れてくれたけれど、そこから先までは入れるつもりがなかったらしく、そのまま追い返そうとした彬に、成親は微笑みながら首を振った。
「あれ? じゃあ、しょおくんとなる、二人で俺に抱かれに来たの?」
にまにましながら言うから、横から翔が。
「だからさ。俺に言うのはいいけど、なるにそゆこと、言うなよ」
彬を睨みつける。そして、成親の前に立った。彬から護るように。
「だから言ったろ、なる。こいつはそーゆーヤツだって。元々今日なるのこと呼んだのも、なるのこと襲うつもりでしかねーって」
「そうそう。も、やっとなるんこと抱けるチャンスって思ってたんだけどね。でも、なるがいいなら俺、二人相手でも頑張っちゃうよ?」
「も一人、呼んだけどね」
ふざけている彬に対して、けれども怒ることなく成親が可愛くウィンクする。
「え?」
「俺、皇のライン知ってっからさ。なるから彬んちに行くって話聞いてすぐ、皇に確認したらやっぱりあいつは知らないって言うし。でもなるが、皇にも話があるから会いたいって言うから呼んどいた」
本当は一人でここに来るつもりだった成親だが、下らない秘密なんて作ってまた翔との仲がこじれるのがイヤで、翔にそれを話したのだ。
さすがに成親一人でこんなトコに来させる程翔もデキた人間ではないから、同行するのは当然のこととして。恐らく皇と会うというのは口実でしかないとだろうと即座に皇に連絡した。
でも。
成親は彬だけじゃなく皇にも話がしたかったから。
翔がいるいないに関わらず、二人に会って話をしたいと思っていたから。
皇にもここに来るよう、伝えた。
バイトが入っているから、と言われたのでまだ到着していないようだが、翔が総てを成親に話したと伝えたから、恐らくここに来て彬をフォローするだろう。
「……じゃ。ここで立ち話ってのもなんだし、リビング行く?」
観念した彬が、小さくため息を吐いて二人を奥へと通した。
翔にとっては悪夢としか言いようがないあの日を思い出すリビングだし、成親だって当然いい記憶のない場所だから。
少しだけ、気は引けるけれど。
「大丈夫。もう、こうなった以上薬盛ったりなんかしねーから」
「信じられるかっつーの。俺はここんちではもう、何も口に入れねーからな」
翔が眉根を寄せて言う。
完全に臨戦態勢で彬に向かっている翔。
だが、それに対し、成親は少しもそんな雰囲気は持っていなくて。
成親の中で、翔を抱いていた彬というのがあまり実感が湧いていないのもあるせいなのだろう。
それに、彬が誰を想っているのかを知っているから。
「俺さ。でも、彬とは友達でいたいと思ってるよ?」
ココはまだ、怖いけど。と成親がくるんと彬を見つめる。
「おまえなあ、なる。なんで平気でそんなこと言えんの?」
「えー? そりゃ、しょーさんのこと寝取られたのはすげームカつくけどさー、彬、いいヤツじゃん」
「ちょい待て。こいつのどこが“いいヤツ”なんだよ?」
「だって、話してても面白いし。しょーさんみたいに頭いいから、なんか、俺がふざけてもわかってくれるっつーか」
「そんなこと言ってると、食われるから。頼むからコイツとは付き合わないでくれ」
「食わねーよ。彬、しょーさんの方が美味しいって知ってるんだから」
「なるー」
二人が話しているのを聞いていた彬が、爆笑した。
「何笑ってんだよ、彬」
むっとして翔が突っ込むと。
「ほんっと、なるって面白いよなー。まじ、俺にくれない?」
「やらん!」
真剣な表情で断った翔の横から、成親が。
「うん。俺も、しょーさんのこと、彬にあげる気、ないよ? てか、むしろ俺的にはしょーさん、彬とはもう会って欲しくないんだけど?」
今度は逆に翔を抱いて彬から遠ざけるようにして言う。
「なる?」
「しょーさんは、俺が護るから。彬にはもう、触らせてやんない」
半分笑ってはいるけれど、成親が翔を左手でガードしたのを見て、再び彬が爆笑した。
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