勇者の股間触ったらエライことになった

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落

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第2話

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 すぐに、場は騒然となった。
 真っ先に飛んできてエルの頭を叩き、勇者に謝罪したのは町長だった。

「な、なんというご無礼を。申し訳ございません」

 町民のエルが、勇者に触れる――しかも陰部に――という不敬。町長は石畳に額をこすりつけるような土下座をした。
 続けて、身なりの高貴な男性が二人やってきた。

「も、申し訳ございません」

 この二人は、街にある幼年学校の校長と、孤児院の院長。
 前者はエルが在籍していた学校の代表者として、後者はエルの育ての親として、やはり土下座した。

「エルっ! お前も頭を下げんか!」

 ヘラヘラしたまま立っていたエルも、大人三人に押さえつけられ、無理やり土下座させられた。

「皆さん、お顔を上げて下さい」

 そんな一同に対し、穏やかながら芯のある若い声が返ってくる。
 勇者の声だ。

「いえ、しかし――」
「この子はまだ子どもです。子どものしたことですから仕方ないと思います」

 彼は膝をつき、そう言った。そして土下座をやめて立ちあがるよう促した。
 今度は勇者に膝をつかせてしまったことに三人は恐縮して、慌てて立ちあがった。 

「ちぇっ。子ども子ども言われると、それはそれでなんか馬鹿にされてるみたいだ――あ、イテっ」

 恐縮せずに立ち上がったエルが、ふたたび大人たちに頭を押さえつけられる。
 勇者はそれを見て微笑むと、エルに対しても膝をついた。

「そう聞こえたならごめんよ。そんなつもりじゃなかったんだ」

 大人三人はさらに慌てた。

「勇者様。本当にすみませんでした」
「我々の指導が至らぬばかりに……。申し訳ございません。幼年学校で成績優秀な子ではあったのですが、少し甘やかしすぎてイタズラっ子になってしまいまして」
「いかなる処分もお受けいたします」

 手を頭の後ろで組んで不満げな顔のエルとは対照的に、大人三人は完全に青ざめ、声が震えていた。
 勇者は手と首を振る。

「いえ。処分だなんてとんでもありません。子どもは国の宝と言いますし、こういう元気な子どもが育つ世界が理想なのだと思います。僕は全然気にしていませんので、どうかお気に病まないでください」

「なんか勇者さん、教科書読んでるみたいでつまんね――イテテっ」

 また大慌てでエルの頭をを押さえつけつつ、大人三人は「ありがとうございます」と一斉に頭を下げた。
 勇者も頭を下げて応え、「では失礼します」とその場を去ろうとする。

 が、数歩歩くと彼は一度止まり、くるっと振り向いた。

「きみ、幼年学校の生徒さんなんだね。頑張って立派な騎士になってくれよ」

 そう言ってエルに手を振ると、また元の方向に歩き出した。



(続く)
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