<竜騎傭兵> ナイン・スペード・ドラグドライブ

蒲生たかし

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第35話 ニューワールド

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ネレウスとアクセルの死体を
最寄りの傭兵ギルドに託し
ナインはトランプ傭兵団壊滅の元凶である
裏切り者ジュダのもとへ向かった

匂いと追跡できる小型竜に先導され
ナインとイザナミは道を急いだ

ジュダが体制を整えるよりも早くに
追いつき
決着をつける

到着した街の名は
バルチナダ
マチューダと並ぶ
スパニアの巨大都市
地中海ランサースとの国境近く

そこには大聖堂がある
もう数百年作り続けており
完成まであと数百年かかると言われている

イザナミを降り
ナインは歩いてその大聖堂に入った

2階
大広間
まだ屋根は完成しておらず
信仰のための竜の像が飾られている

「ナイン
 君とはちゃんと話した事が無かったね」
「その必要が無いからな
 これからも」

像の前には足を投げ出し
座っているジュダの姿があった

「私の名前はジュダ
 その由来を知っているかい?」
「竜信仰の前の宗教での
 裏切り者の名前だろ」
「裏切り者か
 まあ
 今では形が無くなった宗教だし
 そう伝えられて
 風化していても
 しょうがないか」
「何が言いたいんだよ」
ナインは両手に
愛銃ラッキーストライクとワイルドターキを構えた
「まあ聞いてくれ
 私の解釈で
 ジュダは裏切り者ではないんだ」
「ならなんだ?」
「新たな世界を目指していただけなんだ
 おそらく彼は
 それまでの体制では
 限界が見えていんのではないかな」
「お前もそうだと言うのか」
「トランプを壊滅させた理由
 何だと思う? ナイン」
「知らねーし
 興味もない」
ナインは2丁の拳銃をゆっくりとジュダに向ける
「しばらく前に
 覇竜の卵を君に運んでもらったね」
「?」
「あれはね
 実は隊長の物だったんだよ」
「は?」
「彼はそれを使って
 周辺諸国の蹂躙を考えていたんだ
 それで
 私は彼を殺すしかなかったんだ」
「嘘をつくな!」
「ははは!
 そうさ
 嘘だよ!」
当然一頭の翼竜が現れ
ジュダの身体を抱えて飛び去った
「私からのプレゼントだ
 受け取ってくれたまえ!」
すると数頭の翼竜が上空より
ナインに向けて爆弾を投下した
ナインは可能な限りそれを狙い撃ち
空中で爆発させたが
数が多すぎた

「なんてこった
 これじゃ隊長にもアクセルにも
 会わす顔が無いな」

爆音をあげて
大聖堂は大爆発を起こした


海辺の豪邸
足を引きずりジュダが入って来た
ここはジュダの別荘だ

血まみれの服を着替えることなく
棚からバーボンをとり
コップに継ぐ
ストレートでそのまま口に含んだ
「ふー」
ジュダが一息ついた瞬間
彼の持っていたコップが弾けた

「それが
 お前が最後に飲む酒だ」

ジュダが声の方を向くと
そこにはナインの姿があった
「なぜ?!
 あの爆発で!」
「ああ
 俺一人だったら死んでたな」
ナインは銃で外を指した
外の上空には翼竜が一頭飛んでいた
「あいつに救われたんだわ
 まったく弟子に救われてちまったら
 師匠の立つ瀬がないぜ」
ナインはS-19と名付けられたマシンガンを乱射
ジュダの身体に無数の穴があき
そこから血が噴き出した
「本当はちゃんとした勝負ってのを
 して殺したかったんだけどよ
 アクセルの兄貴がその機会奪っちまったから
 俺はただ仕事をこなすさ」
更に乱射する
「最後に言いたい事は?」
「ナイン
 隊長からの……依頼を言って……みろ」
「あん?
 てめーを殺せ
 だよ」
「正確に……だ」
「トランプを壊滅に追いやった奴を
 始末しろ
 だよ
 それがなんだ?」
「ふはははは! ぐふっ!」
ジュダは血を吹き出しながら笑った
「何が可笑しい!?」
「残念だったな
 ナイン
 お前の……仕事は
 俺を殺して……も
 まだ10%も達成して……いない」
「何を……!?」
ジュダは渾身の力で銃をナインに向ける
「ようこそ
 ニューワールドへ!」
ナインは考えを巡らせている間に一瞬動きが遅れる

銃声

力を失った上半身は
ドンと床に倒れた
ジュダが仰向けで倒れる

呆けているナインの元に
マリーが近づいてきた
ジュダを仕留めたのはマリーの一撃
額へのヘッドショットだった

「ナイン
 どうしたの!?
 危なく!」
「どうやら
 面倒な事になったらしい」
「どういう事?」
「ジュダは
 どうやら
 終わりではなく
 始まり
 ということらしい」
 
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