転生したら異世界最強ホストになってました〜お客様の“心”に寄り添う接客、始めます

中岡 始

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嫉妬と派閥争い! レオンへの敵意

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 ルミナスの店内に、微妙な空気が漂い始めていた。  

 それは、レオン自身が少しずつ感じ取っていたものだった。  

 ホストとしての仕事にも慣れ、接客の流れが分かってきた。  

 クラリスの指名を受けたことで、店内の注目を集めたのは確かだ。  

 その後もレオンの接客を気に入る客は少しずつ増えていた。  

 指名が急増しているわけではないが、確実に評価は高まりつつある。  

 しかし、それを快く思わない者たちがいた。  

 レオンがカウンターでグラスを拭いていると、遠巻きに自分を見ている視線を感じる。  

 先輩ホストたちが、小声で何か話しているのが分かった。  

 以前までは特に気に留められることもなかったが、最近は露骨に視線を向けられることが増えた。  

(まあ、目立てば当然こうなるか)  

 レオンは軽く息を吐いた。  

 ルミナスには、いくつかの派閥がある。  

 特に、ナンバー1ホストのエルヴィスを中心とする派閥は、店内でも大きな影響力を持っていた。  

 エルヴィスは冷静で感情を表に出さないが、彼を慕うホストたちはそうではなかった。  

「新参者のくせに、妙に目立ってるな」  

「クラリス様の指名を取っただけで調子に乗ってるんじゃないか?」  

「俺たちは何年も努力してきたのに、なんであいつだけ…」  

 そんな声がちらほら聞こえてくる。  

 ルミナスは結果主義だ。  

 指名が取れる者が評価され、取れない者は淘汰される。  

 だが、それでも店の中には“先輩後輩”という関係があり、新人が急に頭角を現せば反感を買うのも当然だった。  

 そんな中、特に露骨に敵意を示してきたのが、ナンバー3ホストのダリオだった。  

 彼は貴族出身で、上品な顔立ちと洗練された立ち振る舞いが特徴的な男だった。  

 プライドが高く、店の中でもエリート意識が強い。  

 そんな彼にとって、新人のレオンが短期間で注目を集めるのは面白くなかった。  

「所詮、顔がいいだけの新人だろう?」  

 カウンター越しに、ダリオが淡々と言った。  

「貴族相手の接客の仕方も知らないだろうし、本当の意味での“もてなし”ができるとは思えないな」  

「…そう思うなら、試してみますか?」  

 レオンはグラスを拭く手を止めずに答えた。  

 ダリオの目がわずかに細まる。  

「口が達者なようだが、ホストは言葉だけで成り立つものではない」  

「そうですね。経験が物を言う世界です」  

 レオンは静かにダリオを見つめた。  

「だからこそ、俺は学びながら進むしかない」  

 ダリオは鼻で笑い、軽く肩をすくめた。  

「そうか。それなら、少し“学ばせて”やるとしよう」  

 その言葉の裏に、含みのある意図を感じ取る。  

 レオンは表情を変えず、グラスを拭き続けた。  

 ダリオはそれ以上何も言わずに去っていったが、その後ろを歩いていたのは、彼の取り巻きの一人であるグレンだった。  

 彼は粗野な印象の男で、ルミナスの中でも腕っぷしが強いことで知られていた。  

 普段はダリオの命令には従順だが、自分より立場が下だと思った相手には強引な態度を取ることが多い。  

「レオン、少しは先輩を敬う態度を見せたらどうだ?」  

 グレンが意地の悪い笑みを浮かべながら言った。  

「俺は敬意を持つべき相手には、ちゃんと敬意を払うつもりです」  

「ほう?」  

 グレンはニヤリと笑い、テーブルを指で軽く叩く。  

「なら、その態度を改める機会をやるぜ」  

「どういう意味ですか?」  

「すぐ分かるさ」  

 グレンは肩をすくめ、そのままダリオの後を追った。  

 レオンは彼らの背中を見送りながら、静かに息を吐いた。  

(…新人潰し、ってところか)  

 あからさまに敵意を向けられるのは初めてではないが、今回の相手は厄介そうだった。  

 ルミナスは華やかな世界だが、その裏では熾烈な競争が繰り広げられている。  

 その中で生き残るためには、ただ接客がうまいだけでは不十分だった。  

(俺を潰そうとしているのは分かった。でも、やられるつもりはない)  

 ブラック企業で培ったしぶとさは、こういう場面でこそ発揮されるものだ。  

 レオンはゆっくりとグラスを置いた。  

 これから先、どんな手を使われるのかは分からない。  

 だが、どんな状況でも冷静に対処し、成長の糧にする。  

 そう決めた以上、臆するつもりはなかった。  
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