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……逃がさねぇよ?
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温泉から戻ったあと、2人は布団に横になり、並んで天井を見上げていた。
部屋の明かりはすでに落とされ、障子越しに月の光がぼんやりと差し込んでいる。
「……眠い?」
玲央が低く囁く。
「いや」
「なら、まだ寝なくていいよな?」
真尋が反応する間もなく、玲央がゆっくりと体を預けてきた。
浴衣の前が少しはだけ、素肌が触れ合う。
「……真尋、さっき風呂で俺のこと避けてただろ?」
「別に避けてねぇし」
「嘘。目、全然合わせなかった」
「……っ」
玲央の指が真尋の頬に触れる。
指先が熱を持っている気がして、真尋は思わず息を呑んだ。
「……気のせいだろ」
「ふーん」
玲央は意地悪く笑うと、真尋の髪を軽く指に絡める。
「じゃあ、今は俺のこと見れる?」
そう言われて、真尋は仕方なく玲央の目を見た。
……とたんに、喉が鳴る。
暗がりの中でも、玲央の瞳はじっと真尋を捉えて離さない。
潤んだ光を宿して、まるで獲物を逃がさないとでも言うように。
(……ずりぃ)
ただ見つめられているだけで、心臓が跳ねる。
それを悟られまいと視線を逸らしかけた瞬間、玲央がそっと唇を落とした。
軽く触れるだけのキス。
けれど、そこに込められた熱は、確実に真尋の意識を攫っていく。
「……真尋」
喉の奥で転がるような声が、浴衣の襟元をなぞる指が、ゆっくりと焦らすように肌をなぞる感触が、すべてを支配していく。
「お前、俺にもっと甘えてもいいんだぞ?」
「……」
「俺は真尋のこと、どうしようもなく好きなんだから」
それは、玲央の独占欲と執着が絡まった告白。
何度も聞いてきたはずなのに、何度も言われるたびに、心臓が締めつけられる。
「……俺も」
「ん?」
「俺も、玲央のこと好きすぎる」
玲央がゆるく笑う。
「知ってる」
そのまま、深く唇を塞がれた。
肌を重ねるほどに、温泉で温まった体がさらに熱を持つ。
玲央の指が真尋の手を絡め取る。
指先が震えているのが自分のものなのか、玲央のものなのか、もうよくわからなかった。
「……もう逃がさねぇよ?」
玲央の低い声が耳元に落ちる。
そんなこと、わかってる。
でも、今さら逃げる気なんて、もうとっくになかった。
静かな温泉宿の夜に、どこか熱を帯びた吐息が溶けていった――
部屋の明かりはすでに落とされ、障子越しに月の光がぼんやりと差し込んでいる。
「……眠い?」
玲央が低く囁く。
「いや」
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「別に避けてねぇし」
「嘘。目、全然合わせなかった」
「……っ」
玲央の指が真尋の頬に触れる。
指先が熱を持っている気がして、真尋は思わず息を呑んだ。
「……気のせいだろ」
「ふーん」
玲央は意地悪く笑うと、真尋の髪を軽く指に絡める。
「じゃあ、今は俺のこと見れる?」
そう言われて、真尋は仕方なく玲央の目を見た。
……とたんに、喉が鳴る。
暗がりの中でも、玲央の瞳はじっと真尋を捉えて離さない。
潤んだ光を宿して、まるで獲物を逃がさないとでも言うように。
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ただ見つめられているだけで、心臓が跳ねる。
それを悟られまいと視線を逸らしかけた瞬間、玲央がそっと唇を落とした。
軽く触れるだけのキス。
けれど、そこに込められた熱は、確実に真尋の意識を攫っていく。
「……真尋」
喉の奥で転がるような声が、浴衣の襟元をなぞる指が、ゆっくりと焦らすように肌をなぞる感触が、すべてを支配していく。
「お前、俺にもっと甘えてもいいんだぞ?」
「……」
「俺は真尋のこと、どうしようもなく好きなんだから」
それは、玲央の独占欲と執着が絡まった告白。
何度も聞いてきたはずなのに、何度も言われるたびに、心臓が締めつけられる。
「……俺も」
「ん?」
「俺も、玲央のこと好きすぎる」
玲央がゆるく笑う。
「知ってる」
そのまま、深く唇を塞がれた。
肌を重ねるほどに、温泉で温まった体がさらに熱を持つ。
玲央の指が真尋の手を絡め取る。
指先が震えているのが自分のものなのか、玲央のものなのか、もうよくわからなかった。
「……もう逃がさねぇよ?」
玲央の低い声が耳元に落ちる。
そんなこと、わかってる。
でも、今さら逃げる気なんて、もうとっくになかった。
静かな温泉宿の夜に、どこか熱を帯びた吐息が溶けていった――
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