俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件～転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード

もしかして、こいつ…

旅館の部屋に戻り、悠真は布団に横になった。  

昼間の観光、自由時間の散策、そして夕食後の温泉。  

すべての行程を終えて、ようやく一息つける時間だった。  

部屋の明かりはすでに落とされ、隣の布団からはクラスメイトたちの寝息が聞こえる。  

かすかに響く虫の声を聞きながら、悠真は天井を見つめた。  

（……今日も色々あったな）  

修学旅行が始まってから、ずっとこんな調子だ。  

どこへ行っても女子たちに囲まれ、誰かが悠真の予定を押さえようとしてくる。  

それを、颯斗が当然のようにフォローしてきた。  

颯斗は、今日も何度も悠真を助けてくれた。  

観光中の人混みでは腕を引かれ、自由時間では女子たちの囲い込みから救い出され、旅館に戻れば自然と隣の布団を確保されていた。  

そういえば、肩を揉まれたこともあった。  

（……いや、あれは疲れてるのを見かねたってことだろう）  

悠真は、目を閉じながら小さく息を吐いた。  

けれど――  

（それにしても、妙に距離が近くないか？）  

普通の友人関係で、ここまで自然に接触するものなのか。  

「悠真、そろそろ休めよ」  

「お前、女子相手だと気遣いすぎるからな」  

「こっち行くぞ」  

ふと、今日一日を振り返ると、颯斗が言っていた言葉が次々と蘇る。  

どれも特におかしなことは言っていない。  

けれど、それを言いながら悠真の腕を引いたり、肩を軽く叩いたり、時には無言で手を添えてきたり。  

颯斗の動きは、まるで「それが当たり前」かのように自然だった。  

（……もしかして、こいつ…）  

悠真の思考が、そこで一瞬止まる。  

すぐに「いやいや、そんなわけがない」と否定した。  

颯斗はただ、悠真のことを友人として気にかけているだけだろう。  

それに、悠真がこうしてフォローされているのも、異常なほど女子たちに絡まれる状況のせいだ。  

それだけの話だ。  

「……いや、考えすぎだろ」  

悠真は、自分にそう言い聞かせるように、目を閉じた。  

それなのに、心のどこかに違和感が残ったまま、なかなか眠りにつくことができなかった。