俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード

中岡 始

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なんでこいつ、こんなに自然なんだ?

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修学旅行最終日。  

二泊三日の行程も終わりに近づき、悠真はさすがに疲れを感じていた。  

それでも、まだ予定は残っている。  

最後の観光地を巡り、昼食を済ませたら、バスで学校へ戻る流れだ。  

朝、部屋を出るときから、悠真は若干ぼんやりしていた。  

連日の移動と、人付き合いによる気疲れがじわじわと溜まっている。  

そんな悠真の様子を察したのか、颯斗がさりげなく手を伸ばした。  

「お前、手塞がってるだろ」  

気づけば、颯斗が悠真の荷物を持っていた。  

「いや、大丈夫だって」  

「重くねえし、気にすんな」  

颯斗は特に気にした様子もなく、そのまま悠真の荷物を片手で持って歩き出した。  

悠真は、小さく息を吐いた。  

(……まあ、助かるからいいか)  

颯斗が自然に手を貸してくれることには、もう慣れてしまった。  

だが、それに甘えすぎている気もする。  

「悠真、集合時間ギリギリだぞ」  

観光地でお土産を見ていたときも、颯斗が腕を軽く引いた。  

「あ、やばいか?」  

「ほら、急げ」  

颯斗の言う通り、すでに集合時間が近づいていた。  

悠真は、慌ててレジを済ませ、颯斗とともに集合場所へ向かう。  

颯斗のペースに合わせて歩いていると、不思議と焦りが和らいだ。  

(……こいつ、こういうとこ無駄に頼りになるんだよな)  

昼食を終え、バスに乗り込む頃には、悠真の疲労はピークに達していた。  

座席に座ると、瞼が自然と重くなる。  

(……少しだけ、寝るか)  

意識が落ちかけたとき、不意に肩が支えられた。  

「寝るならこっち寄れよ」  

ぼんやりとした頭で、悠真は隣の颯斗を見る。  

「……?」  

「そのまま寝たら、首痛くなるだろ」  

颯斗は、特に気にすることもなく、悠真の頭を自分の肩へと誘導した。  

「あー…悪い」  

悠真は、深く考えずに力を抜いた。  

確かに、座席のヘッドレストにもたれるより、こうしたほうが楽だ。  

颯斗の肩は程よく安定感があり、眠気が強まっていく。  

しかし、半分意識が落ちかけたところで、悠真はふと気づいた。  

(……待てよ)  

こういう状況、今まで何度かあったはずだ。  

颯斗は、いつも当たり前のように悠真をフォローしてくれる。  

それはいい。  

けれど――  

(こいつ、なんでこんなに自然に触れてくるんだ?)  

手を引かれるのも、肩を叩かれるのも、荷物を持たれるのも。  

颯斗にされると、まるでそれが当然かのように感じてしまう。  

(……俺、もしかしてこいつに甘やかされすぎてるのでは?)  

それを考えた途端、悠真の意識は完全に覚醒した。  

途端に、肩にかかる温もりが気になり始める。  

男子同士なのに、こんなに近くても平気なのか。  

いや、本当に「平気」なのか?  

考えれば考えるほど、違和感が募る。  

悠真は、ゆっくりと体を起こし、軽く咳払いをした。  

「……やっぱ、寝るのやめとくわ」  

「そうか?」  

颯斗は特に気にする様子もなく、視線を前に向けたままだった。  

その無頓着さが、余計に悠真の中の違和感を膨らませる。  

(なんだ、この落ち着かない感じは)  

バスは静かに走り続ける。  

悠真は、自分でも説明のつかない気持ちを抱えたまま、窓の外をぼんやりと眺めていた。
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