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翌日、榊を見舞うために部屋を訪れる
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仕事を終えた陽翔は、まっすぐ帰るつもりだった。
だが、ふとスマホの画面を見つめ、躊躇う。
昨日、風邪でダウンしていた榊。
「もう大丈夫なんですか?」
そんな短いメッセージを送ると、数分後に返事が来た。
「もうだいぶマシやで」
なんとも素っ気ない返信だった。
(……本当に大丈夫なのか?)
昨日の様子を思い出す。
熱でふらつき、ろくに歩くこともできなかった榊が、たった一日で回復するものなのか。
(まあ、課長のことだから、無理してる可能性もあるよな)
それに、昨日はろくに飯も食えていなかったはずだ。
気づけば、陽翔はそのままコンビニへ足を向けていた。
適当にスポーツドリンクとゼリー飲料、軽く食べられそうな弁当を手に取る。
(……別に、大したことじゃない。ただの見舞いだ)
そう自分に言い聞かせながら、榊のマンションへ向かった。
インターホンを押すと、数秒後に扉が開いた。
「お、橘。わざわざ来てくれたんか」
(……なんで普通に立ってるんだ?)
思っていたよりもずっと元気そうな榊がそこにいた。
昨日のぐったりとした姿とは違い、いつも通りの気だるげな雰囲気で、だが明らかに調子は戻っている。
「もう大丈夫なんですか?」
陽翔が少し疑うように聞くと、榊は軽く肩をすくめた。
「ああ、ほぼ回復やな。昨日ゆっくり寝たし」
確かに、顔色は悪くない。
熱も下がったのか、どこか余裕のある笑みまで浮かべている。
「はあ、そうですか」
少し拍子抜けしながら、手に持っていた袋を差し出す。
「一応、スポドリとか買ってきたんで。食欲なかったらゼリーだけでも飲んでください」
「あー、すまんな。助かるわ」
榊は袋を受け取りながら、「ちょっと上がるか?」と部屋の中を指さす。
(もう大丈夫なら帰るつもりだったんだけどな)
そんなことを思いながらも、ここまで来て「いや、帰ります」と言うのも不自然な気がして、結局靴を脱ぐことにした。
部屋の中は、昨日よりも片付いていた。
榊なりに少しは整理したのだろうか、テーブルの上に散乱していた書類もきちんと揃えられているし、脱ぎっぱなしだったジャケットもハンガーにかけられていた。
ソファに腰を下ろしながら、陽翔は改めて榊の顔を見た。
本当に、昨日のあの状態から一日で回復したのかと思うほど、いつも通りだ。
「それにしても、課長、昨日は死にそうな顔してたのに、一日で復活するなんて、タフですよね」
「まあな。俺、意外と丈夫やから」
「丈夫なやつは、そもそも風邪ひかないんですよ」
「それはそうやな」
軽く笑う榊に、陽翔は「ほんとに大丈夫なんだな」と思いながらも、なんとなく帰るタイミングを失ってしまう。
せっかく来たんだし、少し話をしていくか――
そんな風に考えながら、陽翔はソファに深く腰を沈めた。
何気ない会話の中で、だんだんとリラックスした雰囲気が流れ始める。
しかし、このあと、思いがけない展開が待っていることを、陽翔はまだ知らなかった。
だが、ふとスマホの画面を見つめ、躊躇う。
昨日、風邪でダウンしていた榊。
「もう大丈夫なんですか?」
そんな短いメッセージを送ると、数分後に返事が来た。
「もうだいぶマシやで」
なんとも素っ気ない返信だった。
(……本当に大丈夫なのか?)
昨日の様子を思い出す。
熱でふらつき、ろくに歩くこともできなかった榊が、たった一日で回復するものなのか。
(まあ、課長のことだから、無理してる可能性もあるよな)
それに、昨日はろくに飯も食えていなかったはずだ。
気づけば、陽翔はそのままコンビニへ足を向けていた。
適当にスポーツドリンクとゼリー飲料、軽く食べられそうな弁当を手に取る。
(……別に、大したことじゃない。ただの見舞いだ)
そう自分に言い聞かせながら、榊のマンションへ向かった。
インターホンを押すと、数秒後に扉が開いた。
「お、橘。わざわざ来てくれたんか」
(……なんで普通に立ってるんだ?)
思っていたよりもずっと元気そうな榊がそこにいた。
昨日のぐったりとした姿とは違い、いつも通りの気だるげな雰囲気で、だが明らかに調子は戻っている。
「もう大丈夫なんですか?」
陽翔が少し疑うように聞くと、榊は軽く肩をすくめた。
「ああ、ほぼ回復やな。昨日ゆっくり寝たし」
確かに、顔色は悪くない。
熱も下がったのか、どこか余裕のある笑みまで浮かべている。
「はあ、そうですか」
少し拍子抜けしながら、手に持っていた袋を差し出す。
「一応、スポドリとか買ってきたんで。食欲なかったらゼリーだけでも飲んでください」
「あー、すまんな。助かるわ」
榊は袋を受け取りながら、「ちょっと上がるか?」と部屋の中を指さす。
(もう大丈夫なら帰るつもりだったんだけどな)
そんなことを思いながらも、ここまで来て「いや、帰ります」と言うのも不自然な気がして、結局靴を脱ぐことにした。
部屋の中は、昨日よりも片付いていた。
榊なりに少しは整理したのだろうか、テーブルの上に散乱していた書類もきちんと揃えられているし、脱ぎっぱなしだったジャケットもハンガーにかけられていた。
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本当に、昨日のあの状態から一日で回復したのかと思うほど、いつも通りだ。
「それにしても、課長、昨日は死にそうな顔してたのに、一日で復活するなんて、タフですよね」
「まあな。俺、意外と丈夫やから」
「丈夫なやつは、そもそも風邪ひかないんですよ」
「それはそうやな」
軽く笑う榊に、陽翔は「ほんとに大丈夫なんだな」と思いながらも、なんとなく帰るタイミングを失ってしまう。
せっかく来たんだし、少し話をしていくか――
そんな風に考えながら、陽翔はソファに深く腰を沈めた。
何気ない会話の中で、だんだんとリラックスした雰囲気が流れ始める。
しかし、このあと、思いがけない展開が待っていることを、陽翔はまだ知らなかった。
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