Aegis~裏切りに報いる影の正義

中岡 始

文字の大きさ
9 / 84
第1幕

発見

しおりを挟む
優子は、静まり返った部屋の中でスマートフォンを手にしていた。大谷が姿を消してからというもの、日常がすっかり変わってしまった。これまで信じていたものすべてが崩れ去り、優子は孤独と絶望の中で、かすかな救いを求めていた。

「誰かに、助けてほしい……」

そんな願いを込めて、彼女は画面に「結婚詐欺 被害者 相談」などと入力した。次々に表示されるリンクの中には、詐欺被害に関する情報や相談先がいくつもあったが、どこか心に響くものがない。ただ単に「弁護士に相談を」「警察へ通報を」といった冷たいアドバイスが羅列されるページばかりだった。

何度もページをスクロールし、画面をタップしては戻り、また検索しては別のリンクを開く。もしかしたら、彼の行方を捜せる何かが見つかるかもしれない。少しでも自分の気持ちに寄り添ってくれる人がいるかもしれない――そんな淡い期待と不安が、優子の心を支えていた。

そんな時、ふと彼女の目に「リーガルアシスタンスネットワーク(LAN)」という名前が飛び込んできた。見たことのない名前だったが、何か引き寄せられるように、そのリンクをタップした。

---

画面が切り替わると、そこには柔らかな色合いの背景と、優しいフォントで綴られた言葉が並んでいた。どこか温かさを感じさせるデザインで、目に痛くない柔らかなトーンが優子の心を少し和らげた。

「ひとりじゃない。あなたの声に、真心で応えます」

その言葉が画面の冒頭に大きく表示されていて、優子の視線はそこに釘付けになった。

「ひとりじゃない……」

その言葉はまるで彼女の心に直接語りかけてくるかのようで、涙が自然と目に滲み始めた。ずっと一人で抱え込んでいた痛みが、少しだけ軽くなったような気がした。これまで誰にも話せなかった苦しみや不安を、この場所なら聞いてもらえるかもしれないという期待が、彼女の心の中でふくらんでいく。

LANのサイトには、被害者支援や法的サポートの詳細が丁寧に記載されていた。通常の法律相談だけでなく、カウンセリングや心理的なサポートも提供していることがわかり、優子はこのサイトに対してどんどん信頼感を抱いていった。 

「ここなら相談できるかもしれない……」

そう思いながら、優子はさらにページを読み進めていった。ページの至るところに「あなたの苦しみを共に受け止めます」「法的救済が難しいケースにも対応します」といった言葉が並び、自分の心が少しずつほどけていくのを感じた。今まで感じたことのない「救われるかもしれない」という感覚が、彼女の胸に芽生えていた。

さらにサイトを読み進めると、LANが依頼者一人ひとりに寄り添い、問題解決に向けた包括的な支援を行っていることがわかってきた。これまでの検索結果とは違い、LANのサイトはどこか人間味があり、「私たちはここにいます」というメッセージが優子の心に深く届いた。

彼女はしばらくの間、画面を見つめたまま考え込んでいた。ここまで寄り添ってくれる場所が本当にあるのか、半信半疑ではあったが、「ひとりじゃない」という言葉が彼女の中で大きくなり、自然とスマートフォンを握る手に力が入った。

「ここなら、話せるかもしれない……」

自分にそう言い聞かせるように、優子はついに「相談予約」のページへ進んだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

あやかし警察おとり捜査課

紫音みけ🐾書籍発売中
キャラ文芸
※第7回キャラ文芸大賞にて奨励賞を受賞しました。応援してくださった皆様、ありがとうございました。 【あらすじ】  二十三歳にして童顔・低身長で小中学生に見間違われる青年・栗丘みつきは、出世の見込みのない落ちこぼれ警察官。  しかしその小さな身に秘められた身体能力と、この世ならざるもの(=あやかし)を認知する霊視能力を買われた彼は、あやかし退治を主とする部署・特例災害対策室に任命され、あやかしを誘き寄せるための囮捜査に挑む。  反りが合わない年下エリートの相棒と、狐面を被った怪しい上司と共に繰り広げる退魔ファンタジー。  

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

もし石田三成が島津義弘の意見に耳を傾けていたら

俣彦
歴史・時代
慶長5年9月14日。 赤坂に到着した徳川家康を狙うべく夜襲を提案する宇喜多秀家と島津義弘。 史実では、これを退けた石田三成でありましたが……。 もしここで彼らの意見に耳を傾けていたら……。

処理中です...