Aegis~裏切りに報いる影の正義

中岡 始

文字の大きさ
51 / 84
第5幕

大谷の期待

しおりを挟む
怜から「工藤さんが会ってもいいとおっしゃっています」というメッセージが届いた瞬間、大谷は思わず心の中でガッツポーズを取った。半月もの間、じりじりと彼女からの連絡を待っていた焦燥感が一気に消え去り、胸が高鳴るのを感じた。今まで待った甲斐があった、この先に特別な機会がある、と大谷は期待に満ちた思いでいっぱいになった。

「ありがとう、本当に嬉しい。工藤さんの話をぜひ聞いてみたい」

彼はすぐさま返信を打ち込み、その言葉からは興奮を隠せない様子が表れていた。彼の心の中で、工藤の話が自分をさらなる成功へ導いてくれるに違いないという確信が広がっていた。怜からの次のメッセージを待つ間にも、大谷は心躍らせ、頭の中で次々と疑問や期待を膨らませていく。

しばらくして、怜から返事が届いた。

「こちらこそです。お会いしたときに、工藤さんから直接聞いてくださいね」

この控えめで淡々としたメッセージが、大谷の興奮をさらに煽る。すぐにでも詳細を知りたい気持ちが強まるが、怜があえて答えを先延ばしにしていることで、彼は「工藤」という人物がとても重要で特別な存在であると再認識する。

そこで彼は質問を重ねることにした。「どんなビジネスの話なのか?」「リターンはどのくらい期待できるのか?」と、具体的な数字や内容を引き出そうとする。少しでも工藤の投資案件について詳しく知り、自分の中で計画を立てておきたいというのが大谷の本音だった。

しかし、怜からの返答は予想通りに控えめで、

「まだ私も詳しく聞いていないので、会ったときにしっかり聞いてみますね」

とだけ返ってきた。その言葉に、大谷はますます好奇心を掻き立てられる。

「わかりました。楽しみにしています」と再び返信しつつ、彼は頭の中で工藤と会った時のシナリオを思い描き始めた。怜が信頼を寄せる存在であり、彼女の家族も親しく接している工藤ならば、きっと信頼できる人物に違いない。半月間待たされたこともあり、大谷の中ではその期待が膨らみ、会う前から投資に対する意欲が高まっていた。

このメッセージのやり取りのあと、怜から

「工藤さんの投資話が聞けるなんて、私も少し緊張しちゃいます」

と送られてきた。その言葉には、彼女が期待と不安を抱えているような控えめなトーンが感じられ、大谷の中でさらに彼女を「守りたい」「助けたい」という思いが強まる。彼は怜に対して「大丈夫だよ、僕も一緒だから」と返信し、彼女を支える存在であることをアピールした。

大谷の頭の中では、工藤から直接話を聞き、それに賛同する形で怜を支えることで、二人で一緒にこの投資に成功するという未来が描かれていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

あやかし警察おとり捜査課

紫音みけ🐾書籍発売中
キャラ文芸
※第7回キャラ文芸大賞にて奨励賞を受賞しました。応援してくださった皆様、ありがとうございました。 【あらすじ】  二十三歳にして童顔・低身長で小中学生に見間違われる青年・栗丘みつきは、出世の見込みのない落ちこぼれ警察官。  しかしその小さな身に秘められた身体能力と、この世ならざるもの(=あやかし)を認知する霊視能力を買われた彼は、あやかし退治を主とする部署・特例災害対策室に任命され、あやかしを誘き寄せるための囮捜査に挑む。  反りが合わない年下エリートの相棒と、狐面を被った怪しい上司と共に繰り広げる退魔ファンタジー。  

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

もし石田三成が島津義弘の意見に耳を傾けていたら

俣彦
歴史・時代
慶長5年9月14日。 赤坂に到着した徳川家康を狙うべく夜襲を提案する宇喜多秀家と島津義弘。 史実では、これを退けた石田三成でありましたが……。 もしここで彼らの意見に耳を傾けていたら……。

処理中です...