Aegis~裏切りに報いる影の正義

中岡 始

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終章

因果応報

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怜や工藤を刑事告発するという考えが、大谷の頭をよぎった。彼らを法のもとで裁かせ、少しでも失ったものを取り返したいという思いが湧いてくる。しかし、次の瞬間、現実が彼を引き戻した。告発をすれば、当然のことながら、自分がこの投資に関わるきっかけとなった行動や、これまでやってきた悪行もまた白日のもとにさらされることになるだろう。

「いや、そんなことはできない…」

大谷は、声にならない声でそう呟いた。今更、すべてを公にしてしまえば、彼自身がそれまで築いてきたわずかな社会的地位や信用さえも失いかねない。それは自分が一番よく理解していた。訴え出ることができない自分に気づくと、怒りや悔しさはやがて、どこか諦めに似た感情へと変わっていった。

「結局、因果応報ってことなのかもしれないな…」

自嘲するように、大谷は苦い笑みを浮かべた。自分が他人を利用し、操ってきたように、今度は自分が操られ、利用されたに過ぎないのだと感じた。かつて怜や工藤に語ってきた「信頼」や「特別な関係」といった言葉も、結局は自分が他者を操るために使ってきたものだった。

振り返ってみれば、何もかもが偽りの上に成り立っていた。自分が手に入れたものは、真実の関係ではなかった。そして、最終的に自分が信じたものは、自分と同じように偽りの姿をした者たちによって作り出された虚構でしかなかったのだ。

大谷は、全ての資金が自分の手元から消えた現実を前にして、もう抵抗する気力すら失っていた。因果応報という言葉が頭を離れず、次第に自分にとってこの結末は避けられなかったものだと感じるようになっていった。
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