Aegis~裏切りに報いる影の正義

中岡 始

文字の大きさ
84 / 84
終章

次なるAegis(イージス)のターゲット

しおりを挟む
Aegisイージスの会議室には、薄暗い照明がわずかに灯り、各メンバーが静かに次のターゲット候補の情報を精査していた。スクリーンには、映し出されたSNSのプロフィール画面が並ぶ。新たなターゲットとなる人物を見極めるために、涼、怜、そして忍が集まり、目を光らせている。

「今回は、『いただき女子』か」

涼が画面に映し出されたプロフィール写真に目を落としながら静かに呟いた。そこには、ラグジュアリーホテルや高級ディナー、ブランド品で埋め尽くされた女性のSNS投稿が次々と表示されている。彼女たちは、他人の財力を利用し、まるで自分のものであるかのように写真に収めている姿が目立つ。

怜が隣で小さく鼻を鳴らした。

「すごいわね、この見せびらかし。自分で稼いで買っているわけじゃないのに、こうやって平気な顔で投稿できるなんて」

「そうだな。彼女は相手にさせる負担を何とも思っていない」

涼が冷静に続ける。

「いただき女子は、まるで与えられるのが当然だと信じ込んでいる。人の懐を狙って、財産を奪っても、罪悪感なんて感じやしない」

忍が淡々とスクリーンに映る情報を分析し始める。

「いくつか候補がいるが、特に興味深いのはこの女性だ」

忍が指さしたのは、SNSで特定の男性たちをターゲットにして贅沢なディナーや旅行、ブランド品を次々と手に入れている女性のアカウントだった。表向きは華やかな生活を装っているが、投稿の間には無数の男性が登場し、それぞれが彼女に何かしらのプレゼントを渡している。

「この子はなかなかのやり手ね。定期的にアカウントを新しくして、あらゆる都市で『スポンサー』を探しているみたい」

怜がスクリーンを見つめながら言った。

「彼女のプロフィールを見る限り、贈り物を要求する技術も相当なものよ」

「ターゲットとしては完璧だな」

涼が冷静な口調で言い、彼女の行動パターンをじっくりと観察していた。

「彼女はただ奪うだけじゃなく、被害者に深く入り込んでくる。自分が得られることを前提に、相手に幻想を抱かせている」

忍がキーボードを打ちながら、さらなる情報を収集し始めた。

「彼女の過去のターゲットたちも、全員が少しずつ搾取されている。最初は些細なプレゼントから始まり、次第に高額なものへと要求がエスカレートしているんだ」

涼がふと微笑み、「これは面白いターゲットになるな」と言った。

「彼女が信じる『当然の権利』を、逆手に取るチャンスだ。彼女が今まで男性たちにしてきたこと、私たちが彼女に返してやろう」

怜もその計画に興味津々で、

「じゃあ、今回も慎重に仕掛けていくとしましょう。彼女が夢中になるような、彼女の理想の男性像を準備してね」

と提案した。涼は一瞬目を細めながら頷き、今回のターゲットを手中に収めるためのシナリオを練り始める。

「ターゲットの信頼を得るところから始めよう。忍、彼女がどのような言葉に弱いのか、その傾向を徹底的に調べてくれ」

忍が涼に向かって無言で頷き、すぐにスクリーン上で膨大な情報を集積し始める。過去のメッセージや投稿、彼女が興味を示しているブランド、好みの食事や旅行先まで、全てがAegisのデータとして蓄積されていく。怜はふと、淡い笑みを浮かべながら一言つぶやいた。

「次はどんな物語になるのかしら。いただき女子も、結局は彼女たちの幻想の中に生きているだけ」

こうして、Aegisの次なるターゲットが決まった瞬間だった。新たな罠の計画が、暗い部屋の中で静かに練られ始める。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

あやかし警察おとり捜査課

紫音みけ🐾書籍発売中
キャラ文芸
※第7回キャラ文芸大賞にて奨励賞を受賞しました。応援してくださった皆様、ありがとうございました。 【あらすじ】  二十三歳にして童顔・低身長で小中学生に見間違われる青年・栗丘みつきは、出世の見込みのない落ちこぼれ警察官。  しかしその小さな身に秘められた身体能力と、この世ならざるもの(=あやかし)を認知する霊視能力を買われた彼は、あやかし退治を主とする部署・特例災害対策室に任命され、あやかしを誘き寄せるための囮捜査に挑む。  反りが合わない年下エリートの相棒と、狐面を被った怪しい上司と共に繰り広げる退魔ファンタジー。  

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

もし石田三成が島津義弘の意見に耳を傾けていたら

俣彦
歴史・時代
慶長5年9月14日。 赤坂に到着した徳川家康を狙うべく夜襲を提案する宇喜多秀家と島津義弘。 史実では、これを退けた石田三成でありましたが……。 もしここで彼らの意見に耳を傾けていたら……。

処理中です...