オッサン転生 ~イケメン勇者だが腰は痛い~

中岡 始

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龍司の決意 – それでも戦う理由

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 龍司は拳を握りしめたまま、魔王を睨みつけていた。

 この世界はループしている。

 勇者と魔王の戦いは、決して終わらない。

 この真実を知った今、自分の戦いに意味があるのか――そう問いかけずにはいられなかった。

 魔王を倒しても、新たな魔王が生まれ、次の勇者が召喚される。

 ならば、自分の努力は、仲間たちとの戦いは、ただの繰り返しに過ぎないのか?

 この異世界に召喚されて以来、龍司はただ生き抜くことに必死だった。

 だが、王都を守るうちに、仲間とともに戦ううちに、次第に自分の「戦う意味」を見出していた。

 それが――単なる「決められた運命」だったとしたら?

 龍司は、かすかに拳を震わせた。

 戦い続けることに意味がないのなら、何のためにここまで来た?

 何のために、異世界で生きてきた?

 この手で助けた人々は――仲間たちは――

 「……」

 しかし、その迷いも一瞬だった。

 龍司は顔を上げ、魔王をまっすぐに見据えた。

 「それでも……俺は今、ここに生きている人たちのために戦う」

 その声は、迷いを吹き飛ばすように響いた。

 魔王は目を細める。

 「ループの真実を知った今でも、戦うというのか?」

 「そうだ」

 龍司は強く頷いた。

 「たとえこの戦いが繰り返されていたとしても、今ここにいる仲間たちは、今この世界に生きている人々は、紛れもなく本物だ」

 「彼らが苦しんでいるのを見て、手を差し伸べない理由はない」

 「それが勇者だから、じゃない」

 「俺が、そうしたいからだ」

 魔王はゆっくりと口角を上げた。

 「なるほど……」

 「ならば、お前がこの世界の歴史を変えられるか、試させてもらおう」

 次の瞬間、魔王の周囲に黒い霧が渦巻き、圧倒的な魔力が場を満たした。

 龍司は剣を構え、ゆっくりと息を吐く。

 ループする異世界の真実。

 それでも、自分はこの世界にいる人々のために戦う。

 王都を守るために。

 仲間たちを生かすために。

 そして、異世界の仕組みを打破するために。

 この戦いは、単なる魔王討伐ではない。

 この世界を、本当に救うための戦いだ。

 「行くぜ、魔王」

 龍司は一歩踏み出し、最終決戦へと挑んでいった。
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