天才中学生高過ぎる知力で理不尽をぶっ飛ばす！

第53話 正しい選択

『エマ！！』
『任せて！【リザレクション】！！』

女の意識が戻る。何が起きたのか分からない。辺りを見渡す。
『わ、私、生きてるの？！どうして？』
『あんた、名前は？』パルが聞く。
『え、、セシルです。』　
パルはため息をつき優しく話す。
『セシル、あんたは一度死んだわ。だけどエマは死にたてホヤホヤなら蘇生出来るの。
これで奴隷の契約は切れたわ。ただ奴隷紋は消えない。野良奴隷だね。』

セシルはポカンとしている。
『な、なぜ？どうして？』
『あんたはチャンスを掴んだのよ！選択を間違えなかった。
私達は鬼じゃないのよ！理不尽な奴には容赦はしないけど、過ちを悔い改めようと努力する人には手を差し伸べるのよ。』

セシルは安堵する。
『ありがとう。私はもう駄目かと・・』

鬼畜の殺人集団と思っていたとは口が裂けても言えないセシルだった・・・。

『さあ、中に入ってお風呂に入ったら？
ドラゴンの涎でベトベトよ！』
パルが、笑いながら案内する。

パルが紅茶を飲みながら聞く。
『ゲランド帝国の目的は何なの？』
『はい。ゲランド帝国は優秀な人材を攫って奴隷にするのが目的なんです。
今回の王都のスタンビートで活躍した【英雄】とその弟子達に白羽の矢が立ったんです。』

『何だそのクズ的な考え方は？！人を育てようとはしないのか？！』
ギエンが憤る。

『ゲランド皇帝は効率良く軍隊を作る事を目的にしているんです。
だから育てるのはお金も時間も掛かるので無駄だと言います。』

『これはファイデル王に報告した方がいいな。』　ジンが呟く。　

『その方が良いと思います。今回、帝国の主力が無くなった事でちょっかいをかけて来ると思います。』

『分かったわ！ありがとう。
ところでセシルはこれからどうするの？』

『まだ、分からないわ。帝国には戻りたくないのは確かだけど・・・。』

パルはセシルの手を取り
『行く所がないなら暫くここに居たら？
ゆっくり今後の事を考えればいいわ！』
『えっ！良いんですか？！私なんかを・・』
パルが微笑んで
『言ったでしょう！手を差し伸べるって！
それに、エマが試したい事があるんだって！』
セシルは一気不安になる。
『私は何をすれば良いんでしょうか・・・』

エマがセシルの肩に手を置き
『心配しないで！その奴隷紋を消すのよ！』
『えっ？！これは付けた本人しか消せないんですよね？！』
『そう言われているだけよ！
師匠は3人同時に奴隷紋を消したわよ！』

『そ，そんな・・・そんな事が・・・今までの常識が覆る！』

『さて早速試させて！師匠は簡単にやってたけど、私は気合いがいるわね！！』

エマは後ろからセシルの両肩に手を置き、首の後ろの奴隷紋を見据える。

『【パーフェクトヒール】！！』
セシルの身体が魔力に包まれる！
『いいわね！？いくわよ！！』
エマが出力を上げていく！！
『ハァァァァァ！クッ、これくらいぃぃ！！
出来なきゃあぁぁぁ！！』
エマの気合いが入る！
物凄い勢いで魔力が削られていく！

『もう少しよ！！気合いよ！』
パルが拳を握る！！
皆んなも手に汗握る！
エマの額に汗が滲む！魔力コントロールに全神経を投入する！

『ハァァァァァ！！消えてぇぇぇ！！』

すると奴隷紋が消えていく！だんだん薄くなっていく。そして完全に見えなくなった。
『き、き、消えた！！消えたよ！エマ！
もう大丈夫！！』
パルが叫ぶ！！

エマはその声を聞いて手を離し座り込む。
『ハァ、ハァ、ハァ、、、出来た！・・出来たぁぁぁぁ！！！』
余程ギリギリだったのか、エマの渾身のガッツポーズが出る！

『スゲェぞ！！エマ！！さすがだよ！！』
ギエンが興奮して拍手で称える！
皆んなも拍手喝采である！

エマが立ち上がり、呆然としているセシルの両肩に手を置いて
『貴方はこれで自由よ！！好きに生きればいいわ！！』

セシルは嬉しいのと凄いのと訳が分からなかった。どんな顔をして良いのかも分からなかった。
でも素直に思った気持ちを口にする。

『ありがとう！貴方達が凄すぎて、まだ混乱してるわ！でも本当にありがとう！！』
目尻に溜まった涙を拭いながら頭を下げた。