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第62話 ゲランド帝国へ

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『手筈通りメル、マリ、エリ、チェイス、
フェンで屋敷を頼む!
後、裏にはドラゴンが待機してるし騎士団長のハザンが屋敷の防衛に来てくれた。これで屋敷は大丈夫だ!!』

皆の顔を見渡す。
『よし!行こうか!屋敷は頼んだぞ!!』
『お気を付けて!』
メル・マリ・エリが頭を下げる。

馬車は3台。騎士団からはカルメンとサーシャが参加している。

『ハヤト殿武闘大会の詳しい内容は分からないんだよな?』
カルメンが心配そうに聞く。

『あぁ、基本的に奴隷化が目的だから内容はどうでもいいのさ。
行き当たりばったりで決めるんだろう。』

すると【索敵】に40人程の反応が出る。
『気付いたか?』カルメンを見る。
『あぁ、街道を外れて進んでいるな。だが、襲ってくる気配はないか。』

俺はため息をつき
『おそらく奴らがよく使う交渉材料の確保だろうな。こちらの予想通りに動いてくれるな。本当に馬鹿な奴らだ。わざわざ地獄へ出向くんだからな!』


ゲランド帝国謁見の間
『ゲインよ、お主には武闘大会に出て欲しいのだかどうだ?金と女は用意するぞ?』

『あーん?武闘大会だぁ?俺がぶっちぎりで勝って終わりじゃねーか?!
もちろん賞金は別なんだろうな?!』

『もちろん賞金は別だ。やってくれるか?』

『ふん!やってやるよ!暇だしストレス発散で弱い奴らを蹴散らしてやるよ!!』

(ふん!馬鹿は扱い易いわい。)


メル達の【索敵】に反応がある。
『ハヤト様の読み通り来たわね!庭を汚さない様に外で迎撃しましょう!』
メルが作戦を立てる。
『ハザンさん!チェイスさん!行きますよ!』 
『お、おう。』
『はい。』
5人が門を出ると丁度馬車が止まり、男達が出て来る。

『貴方達、こんなに大勢で何の御用ですか?』
メルがジト目で聞く。

『俺達が来るのは読まれていたって事か。
だが、この人数をたった5人でどうする?
大人しく付いて来た方が身の為だぞ?』
リーダーの男がいやらしく笑う。

『何を言ってるの?
付いて行っても結果は同じでしょう?』
マリがうんざりした顔で言い放つ。

『それにあんた達は勘違いしてるわ!
たった40人で私達に勝てると思っているの?』
エリがリーダーの男を挑発する。

『なんだと?!調子に乗りやがって!
お前らに何が出来るんだ?!メチャクチャにされて終わりだろうが!!』

メルがニヤリと笑う。
『私達に何が出来るかって?何を勘違いしてるの?私達は何もしないわよ。その代わりに
貴方達の相手を紹介するわ!
おいで!!ご飯の時間よ!!』
メルが手を挙げる!!

すると2体のドラゴンがメル達の両脇にゆっくりと降り立つ!
ブルードラゴンとレッドドラゴンである。

ハザンとチェイスは顔を見合わせる。お互い肩をすくめて自分達の出番はないと武器を納める。

今まで威勢の良かった男達がドラゴンを見上げて腰を抜かす!

『な、なんだ、なんだ、なんだ!!お前らが戦うんじゃないのか!?ずるいぞお前ら!!ひ、卑怯だぞ!!!』

マリがレッドドラゴンを撫でながらニヤリと笑う。
『何を子供みたいな事言っているの?女の子は護られるものなのよ!』

エリがブルードラゴンを撫でながらニヤリと笑う。
『私達をメチャクチャにするつもりだった癖に都合の良い事言わないで!』

『ま、待て!待ってくれ!!お俺達が悪かった!!この通りだ!!!全員で土下座する。』

メルがジト目で睨み言い放つ!!
『今更遅い!!私達に力が無かったら貴方達にメチャクチャにされていたのよ?
自分達が不利になったらそれは帳消し?
私達はハヤト様に貴方達の様な理不尽をぶっ飛ばす力を頂いたの!!
ドラゴンのお腹の中で後悔しなさい!!』

『さあ、朝ご飯よ!!』
メルは男達に手を振り降ろす!
その瞬間男達にドラゴンが襲いかかる!

男達の悲鳴、懺悔、後悔、命乞いが入り乱れ
阿鼻叫喚の地獄絵図である。

自ら地獄へ踏み込んだ男達はドラゴン達の朝ご飯になったのだった。


ハヤト達がお昼で休憩しているとレッドドラゴンが降りてくる。
ロウが撫でながら話しをする。

『師匠!読み通り屋敷を襲いに来たけど、
全員朝ごはんになったんだって!』

『フフッ!メル達は上手いこと立ち回ったんだな!頼もしくなったな!
お土産でも買っていってやろう。』


【神様の部屋】
『弟子達も段々とハヤトに染まってきたな!
そう言えば転生者のゲインとか言う奴はどんな奴だ?』

『転生前は、橘 翔也(タチバナ ショウヤ)だったかな。
交通事故で死んで、まぁまぁステータスが良かったから呼んだけど、態度が悪くてね。
【剣技・中】と【経験値増加・中】だけ付けて平民に転生させたのよ。』

『でも性格は変わらなかったんだね・・・。
転生してもチャンスを掴めなかったか・・』

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