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第69話 ベラント破滅の扉

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今、弟子達を部屋に集めて作戦会議中だ。

『そこのテーブルの上に置いてある夜食と飲み物には眠り薬が仕込まれている。
だから、奴らは今夜動く。
皆んな!なるべく殺すなよ!
奴らには後悔する時間をたっぷりと与えなければならない!!頼んだぞ!』

『はい!!!!!!』

『俺もイライラしてた所だからな、気を付けないと殺してしまいそうだ・・・』
ギエンが拳を握る。

ジンもギエンに頷いて無言で拳を握る。

パルとエマも悪い顔で
『そうね。私も同感!手加減出来るかしら?フフフッ・・・』

『私は大丈夫よ。死んでも生き返らせて・・
何度も、何度も、フフフッ・・・』

『エルも殺さない様に頑張る!』

カルメン、サーシャ、デンバーは冷や汗を垂らしながら、悪の組織が目の前で会議を行っている錯覚に陥った。
そしてこの面々を敵に回したゲランド帝国を不憫に思うのだった。


政治参謀ベラントが号令をかける。
『今晩、奴らが寝静まったら予定通り決行する!!
奴隷紋部隊30名!護衛部隊60名で手分けする。
最初にファイデル王国の奴らから始める!
奴らは手練れと聞く!
寝ているとは言え油断するな!!
そこには大貴族達も参加するので気を付けろ!
『はっ!!』

『おい!ベラント!本当に【英雄の弟子】は手に入るんだろうな?!』

『【英雄】は皇帝に譲るとして俺はサーシャとか言う女にするぞ!』

『ふん!勝手に決めないで!!早い者勝ちよ!!』

『皆様、お静かに!奴らは薬で寝て居ます。心配はありません。
もし、直ぐに奴隷にしたいのなら、ついて来てもよろしいですよ。

『おお!そうか!俺は行くぞ!!』

『そうね!早い者勝ちだもね。私も行くわ!』
『待ちなさいよ!!私もいくわ!!』

結局大貴族達は全員死地に赴く事となった・・・。
自分達がこれからどうなるのかも知らずに・・・・。

『報告します。
ファイデル王国以外はまだ騒いでいます。
寝る気配すら有りません。』

ベラントは首を傾げる。
何だと、、、、?!あれだけ眠り薬を入れたのにまだ効かないのか・・・?
ま、まぁいい。ファイデルの奴らには効いているんだ。そのうち効いてくる筈だ!

『よし、全員でファイデル確保に向かう!
皆を集めろ!!』

どんどんハヤトの思惑通りに進んでいく。
政治参謀ベラントは破滅へ向かっているとは思いもせず突き進むのであった。

『10人同時に行くぞ!
各部屋に奴隷紋部隊3人護衛部隊6人で行く!
大貴族の方々も後に続いてください。
それでは・・・行け!!』

『はっ!』
皆が頷き、各地獄の扉を開けて中へ入ってい
く・・・。
そして扉が閉まる・・・

ドン!バタン!ガタガタ!ドンドンドン!!

『ぐふっ!』『ごぶぁぁ!!』『た、助け・・』『腕が!!』『足が!!』『ヒイィィ!!』『俺を誰だと・・ぐぶっ!!』『きゃあぁぁぁ!!やめてぇぇぇぇ!!』

各部屋が様々な物音と悲鳴が暫く続き、静けさが戻る・・・。

『な、な、何だ・・・ど、どうした・・・ほ、ほ、報告し、しろぉぉ・・へ、返事をしろぉぉ、、、へ、返事をしてくれぇぇぇ、、、』

ベラントは暫く呆然とし肩を震わせ、震える声で独り言の様に呟き・・・へたり込む。

するとゆっくりと各部屋の扉が開くのだった・・・。
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