天才中学生高過ぎる知力で理不尽をぶっ飛ばす!

yoshikazu

文字の大きさ
85 / 183

第84話 クライ・レイモンドの凶行

しおりを挟む
『クソォォォ!!力で勝てないなら嫌がらせの1つでもしてやる!!!』

クライは街の路地へと入っていく。
出た所は歓楽街である。
更に路地へと入っていくと男が2人立っている。
クライが近付くと男達が行手を阻む。

『何の用だ?ここから先は立ち入り禁止だ!』
男がドスの効いた声で脅すように言う。

クライは少し怯えながら
『レ、レイモンド伯爵家のクライだ。・・・人を貸して欲しい。金はある。』
金貨の入った袋を見せる。

男達は目で会話をして頷く。
『通れ。突き当たって右だ。』

クライはホッとして路地を進み右手の扉をあける。
すると中は眩い程の装飾が施された壁と天井。
中央に金色の豪華な長いテーブルが置かれている。
そのテーブルの先に男が座りワインを嗜んでいる。
男はクライを見ると半笑いで口を開く。
『レイモンド伯爵の所の馬鹿息子がなんと様だ!?』

クライは顔をしかめる。
『クッ!まぁいい、4、5人貸してくれ!
金はある。』
テーブルに袋を置く。

男はクライを見据えて少し考える。
『メーランド公爵家の一件か?仕返しでもする気なのか?』

図星を突かれて言葉に詰まる。
『そ、そうだ!!でも一泡吹かせるのは俺の邪魔をしたハヤトとか言う奴だ!!』

男のグラスを持つ手が止まり、口元が小刻みに震える。
『・・・ハ、ハヤト?!英雄ハヤトか?!』

『そ、そうだ!!だかr・・・』

『失せろぉぉぉぉぉぉ!!!!』
男は立ち上がりワイングラスを投げつける!

びっくりしたクライの足元でワイングラスが砕け散る。

『俺は金輪際奴らには手を出さねぇんだよ!
あんな化け物共に喧嘩を売りたきゃ1人でやって勝手に死ね!!
とっとと出て行けぇぇぇぇぇ!!!!』

クライは訳も分からず用心棒に捕まり外へ乱暴に叩き出される。

全身擦り傷だらけで地面に転がるクライ。
取り敢えず身体を起こし座り込み、拳を地面に何度も叩きつける。

『何なんだ!!どうしてだ!!英雄ハヤトが何だってんだ!!!
アイツさえ居なければ全て上手く行ったんだ!!
俺がこんなに惨めなのは全て奴のせいだぁぁぁぁぁぁ!!!』
くそぉぉぉぉ!!!!見てろよぉぉぉぉぉ!!!思い知らせてやる!!!』


街の飲み屋のカウンターで頭を掻きむしりイラついているクライの姿があった。

どうする?!どうしたらいい?!奴に復讐出来るならどんな事でも・・・待てよ・・・先祖代々守ってるもの・・・親父が良く言ってたな・・・。確か・・・墓地の最奥・・・祭壇の剣・・・だったか。
なんだか知らないが行ってみるか。


墓地の入り口は大きく質素な門で閉められているが鍵は掛かっていない。
クライは意を決して門を押し開け墓地へと入って行く。

墓地は意外とひんやりした空気が漂い静かだ。
しかし誰かに見られている様な気がする。

クライはキョロキョロと周りを確認しながら墓地の最奥を目指す。

『ここか・・・』

崖を大きく切り取った中に祭壇が作られていた。
祭壇の中央には魔法陣が敷かれ、その中心に古びた剣が突き立てられている。

祭壇の前には鉄の柵が取り付けられ入れない様になっている。

鉄の柵を握り恐る恐る覗く。
『あの剣を守っているのか・・・ふん!どうせ俺は勘当されたんだ。知った事か!!』

クライは鉄柵の留め金を落ちていた石で叩き壊してしまう。

クライは剣を掴み抜こうとする。
『ぐっ・・・!ふんっ!どおぉぉぉりやぁぁぁ・・・!!・・・うわっっ!!』

ずざぁぁぁぁーー!!

急に剣が軽くなり勢いで後ろに転がる。
そして手にはボロボロの剣が握られていた。

『こんな剣が?!ふん!所詮、先祖代々なんてのは迷信か・・・・んっ?!』

クライが顔を上げると魔法陣の中心から黒い霧が吹き出していた。

腰を抜かして座ったまま後ずさる。
『な、なんだ!!どうした・・・まさか、
守るって・・・剣じゃない・・・?』

黒い霧は一箇所に集まり、段々と人の形になっていく。
そしてスタイルの良い女性の姿になった。
黒く長い髪、胸元が開いた黒いドレス姿でク
ライを見る。

『礼を言う。500年ぶりの外界・・・。
お主、妾を何故解放した?』

目を見開き呆然としていたクライが我に返る。
『お前は、なんだ!?何者なんだ?!何故こんな所に?!』

女は目を細める。
『そうか、何も知らずに解放したか・・・。
妾は不死王カルノー
500年前に不覚にもこの地に封印されたのだ。
お主、何か理由があったのであろう?
礼代わりに聞いてやろう。言うてみよ。』

クライはニヤリと笑う。
『復讐したい奴がいる!!手を貸せ!!』

カルノーは軽く笑い
『いいだろう・・・手を貸そう。』

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作) 異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

『希望の実』拾い食いから始まる逆転ダンジョン生活!

IXA
ファンタジー
30年ほど前、地球に突如として現れたダンジョン。  無限に湧く資源、そしてレベルアップの圧倒的な恩恵に目をつけた人類は、日々ダンジョンの研究へ傾倒していた。  一方特にそれは関係なく、生きる金に困った私、結城フォリアはバイトをするため、最低限の体力を手に入れようとダンジョンへ乗り込んだ。  甘い考えで潜ったダンジョン、しかし笑顔で寄ってきた者達による裏切り、体のいい使い捨てが私を待っていた。  しかし深い絶望の果てに、私は最強のユニークスキルである《スキル累乗》を獲得する--  これは金も境遇も、何もかもが最底辺だった少女が泥臭く苦しみながらダンジョンを探索し、知恵とスキルを駆使し、地べたを這いずり回って頂点へと登り、世界の真実を紐解く話  複数箇所での保存のため、カクヨム様とハーメルン様でも投稿しています

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?

嘉神かろ
ファンタジー
【Hotランキング3位】  ゼネコンで働くアラフォーのおっさん、多田野雄三は、ある日気がつくと、異世界にいた。  見覚えのあるその世界は、雄三が大学時代にやり込んだVR型MMOアクションRPGの世界で、当時のキャラの能力をそのまま使えるらしい。  大賢者という最高位職にある彼のやりたいことは、ただ一つ。スローライフ!  神獣たちや気がついたらできていた弟子たちと共に、おっさんは異世界で好き勝手に暮らす。 「なんだか妙に忙しい気もするねぇ。まあ、楽しいからいいんだけど」

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

処理中です...