天才中学生高過ぎる知力で理不尽をぶっ飛ばす!

yoshikazu

文字の大きさ
112 / 183

第110話 エルフォン王国の命運

しおりを挟む
『これでこの子達の服を見繕って!
下着は1週間分あればいいわ!』
店主に金貨5枚を渡す。

『は、はい!!!ありがとうございます!!すぐに取り掛かります!!』
金貨5枚にテンションが上がる。

『ジルバ、ギルドに行って来るから子供達を頼むわよ。』

『はっ!かしこまりました。』
ジルバ達が切れの良いおじぎをする。


エマが直したばかりの扉を開けてギルドに入ると、ギルドマスターのバーニンが駆け寄って来る。

『エマ殿!聞きたい事があるから、中に来てくれないか?』

(もう耳に入ったのね・・・仕方ないか。)


エマは部屋に入りソファに身体を預ける。

バーニンが緊張な面持ちで切り出した。
『ネルバの屋敷が崩壊していたんだ。あれはエマ殿が関わっているのか?』

(やっぱりその件よね・・)

『そうよ。子供達を奴隷にして売り捌いていたのよ!
だからぶっ飛ばしてやったわ!』

『そ、そうだったのか。所でネルバはどうなったんだ?』

『あいつは3年前に魔人を復活させて奴隷にしていたの!
その魔人に殺されたわ!』

バーニンが目を見開く!
『な、な、なんだってぇぇぇぇ!!魔人を?!国家クラスの問題だぞ!!!
で、ま、魔人は?!魔人はどうしたんだ?!』

エマは紅茶を一口啜る。
(どうしようかしら・・・魔人を連れているなんて事は言えないし・・・でも悪さをしなければ良いのよね・・・)

『魔人はもう悪さはしないわ。悪さをしない条件で奴隷紋を消してあげたの。
また悪さをするなら私が何とかするわ。』

エマは本当の事を言いながら肝心な事をあやふやにする。

『魔人を?!魔人を解放したのか?!
王に何と説明をすれば良いんだ?!』
バーニンが頭を抱える。

(まあ、予定が狂うけど仕方ないわね、、)

『王様には私が説明してあげるわ。それに言いたい事もあるしね・・・』
カップを持つ手に力が入る。

『それと監禁されていた13人の子供達の保護をお願いするわ!』

バーニンは最初からそのつもりだった様で表情が明るくなる。

『そうか!そうしてくれると助かる。子供達の件は王都で保護してもらおうと思うのだがどうだ?』

『そうね、そうするわ。大きくて良い馬車にしてね。』

『あぁ、分かった。明日の朝ここに来てくれ。用意しておく。』

『じゃあ!よろしくね!』
エマは手を振りながら部屋を出て行き部屋の扉が閉まるとバーニンは大きなため息をつき肩の力を抜く。

(目の前にいるだけで凄い圧迫感だ・・・恐らく魔人も・・・)


エマが戻って来ると子供達が待っていた。
『あ!エマお姉ちゃんおかえり!!』
子供達がエマにしがみつく。

ジルバ達は羨ましそうに子供達を見ている。
(くっ!俺も子供になりたい・・・)

エマは頬を綻ばせる。
『ジルバ、子供達の事ありがとう。
明日、皆んなで王都へ行く事になったら子供達の護衛をよろしくね。』

ジルバ達はエマの役に立てる事が嬉しくてたまらないのだ。

『はっ!お任せください!全身全霊でお守りします!!』

ジルバ達は至極の表情を浮かべる。
(あぁ、エマ様からの労いの言葉・・・何と心地よい・・・)

『さあ!皆んな!宿に行ってお風呂に入るわよ!!』

『やったぁ!!!!』
『お風呂!お風呂!』

子供達がはしゃいで喜ぶ。
エマは子供達の元気な姿を見ながら少し安心する。
辛い経験をすると心に傷を負う事があるからだ。


エマが子供達を1人づつ洗っている。皆嬉しそうだ。皆ではしゃいで楽しそうに笑い走り回っている。

これが子供の本来の姿なんだと。この姿を取り上げる者はたとえ王族であっても許さないと改めて思うのであった。

夜、子供達は疲れて寝静まる。
エマは子供達の寝顔を見て思う。
この子達は運が良かった。
これまでどれだけの子供達が無理矢理売られて行ったのだろう、酷い目にあったのだろう、ひもじい思いをしたのだろうと思うとやり切れない気持ちになる。

明日の王様の言葉次第でエルフォン王国の命運が左右されるのであった。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作) 異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

『希望の実』拾い食いから始まる逆転ダンジョン生活!

IXA
ファンタジー
30年ほど前、地球に突如として現れたダンジョン。  無限に湧く資源、そしてレベルアップの圧倒的な恩恵に目をつけた人類は、日々ダンジョンの研究へ傾倒していた。  一方特にそれは関係なく、生きる金に困った私、結城フォリアはバイトをするため、最低限の体力を手に入れようとダンジョンへ乗り込んだ。  甘い考えで潜ったダンジョン、しかし笑顔で寄ってきた者達による裏切り、体のいい使い捨てが私を待っていた。  しかし深い絶望の果てに、私は最強のユニークスキルである《スキル累乗》を獲得する--  これは金も境遇も、何もかもが最底辺だった少女が泥臭く苦しみながらダンジョンを探索し、知恵とスキルを駆使し、地べたを這いずり回って頂点へと登り、世界の真実を紐解く話  複数箇所での保存のため、カクヨム様とハーメルン様でも投稿しています

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?

嘉神かろ
ファンタジー
【Hotランキング3位】  ゼネコンで働くアラフォーのおっさん、多田野雄三は、ある日気がつくと、異世界にいた。  見覚えのあるその世界は、雄三が大学時代にやり込んだVR型MMOアクションRPGの世界で、当時のキャラの能力をそのまま使えるらしい。  大賢者という最高位職にある彼のやりたいことは、ただ一つ。スローライフ!  神獣たちや気がついたらできていた弟子たちと共に、おっさんは異世界で好き勝手に暮らす。 「なんだか妙に忙しい気もするねぇ。まあ、楽しいからいいんだけど」

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

処理中です...