天才中学生高過ぎる知力で理不尽をぶっ飛ばす!

yoshikazu

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第120話 ヒューラン王のトラウマ

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獣王国ヒューランの上空に飛び交う数百のドラゴンを唖然としながら見入る。

『な、何あれ・・・何が起きているの・・・
あれ?・・お城の先端が・・・無い?!』


『おいおいおい!!!何だよあれは?!
あそこに何があるってんだよ!?
それにしても・・・城の先っぽが・・無いぞ?!』


『な、な、なんと・・・こ、こ、これ程とは・・・。』
王を始め重臣達や文官達がへたり込む。
ログも目を見開いたまま空を仰ぐばかりだ。

『おい!愚王!僕はこれでも手加減したんだぞ!?
僕と同じ事を出来る人間が少なくとも後5人いるぞ?!
それ以上の事が出来るのが〈英雄ハヤト〉だ!!僕なんか師匠の足元にも及ばない!
それでもファイデル王国に喧嘩を売るのか?!臆病者の我儘で国を滅ぼすのか?!
これが最後だ!!答えろヒューラン王!!』

ヒューラン王は諦めた様に肩を落とし語り出す。
『わしは・・・昔、仲間10人と邪竜討伐へ向かったのだ・・・。
しかし、邪竜の強さは強大じゃった・・・
。また1人、また1人と無惨に殺されていった・・・。わしらは覚悟を決めて封印の魔道を使い【五芒星の陣】を発動したのじゃ。
【五芒星の陣】は成功した。
しかし封印される直前に邪竜が最後の力でわしに向かってブレスを吐いたのじゃ!
そ、それを・・・事もあろうに4人の仲間がわしを庇って受けてしまったのじゃ・・・。
邪竜は封印出来たが・・・わしには何も残っていなかった・・・大切な仲間を失ったのじゃ・・・何かを憎まなければ生きて行けなかった・・・そうじゃ、わしは臆病者なのだ・・・。』

王は空を見上げて想いを馳せ、ロウとログを見据える。

『王であるわしが不甲斐ないばっかりに、すまぬ事をした・・・。お主の一撃で目が覚めた。
誰かに喝を入れて欲しかったのかも知れんな・・・ログよ、お主にも礼を言うぞ。』

ログが跪く。
『私こそ王への暴言をお許しください。』
『うむ。良い。』

王は立ち上がり声を上げる!

『これよりテイマー禁止令は撤廃する!!
わしが追放してしまった者達をここへ連れて来てくれ!補償と謝罪をしよう。』

『それとロウ殿、ファイデル王の事すまなかった。許してくれ。』
ヒューラン王が頭を下げる。

ロウも肩の力を抜いてため息をつく。
『王様、分かってもらえばそれで良いです。
辛い経験を乗り越えれば自らの糧になると師匠が言っていました。
僕はラージンさんと約束があるのでこれで失礼します・・・』

ロウが手を挙げるとドラゴン達は自分の住処へと帰って行った。

(ついカッとなってやっちゃったから早くこの場から退散したい!)

謁見の間を出ようとするとログも後ろから小走りでついて来る。

(俺も行くぜ!!)


(やっぱりアイツはただ者じゃなかったわね・・・あのヒューラン王をやり込めるなんて・・・ちょっと興味出てきたかも・・。)


(何だよアイツは?!俺がやろうとしてた事を先にやりやがって!!
俺の努力は何だったんだ?!
でも・・・正直俺ではあそこまでは出来なかった・・・・。アイツは一体何者なんだ!?)


謁見の間を出るとラージンが慌てた様子で待っていた。
『な、何があったんだ?!大騒ぎだぞ?!
城の屋根は無くなるわ、ドラゴンの群れが押し寄せるわで大混乱だぞ?!』

ログがラージンの肩に手を置き口元を緩めながら言う。
『まあ、ここでは何だから飯でも食いながら話をしようじゃ無いか。』

ロウは苦笑いをしながら頭を掻いてログの後について歩いて行くのだった。


『ほほう!!ヒューラン王が折れたのか?!
凄いな!!さすがハヤト殿の弟子だな!!
わっはっはっはっ!!!!』

ロウの肩を叩きながら大笑いする。

『ところで王様が言っていた邪竜はどこに封印されているんですか?』

ロウが興味津々で聞くとラージンが急に真面目な顔になる。

『それなんだが、ここから馬車で1時間くらい行った所に〈ミラフ村〉って所があるんだ。
噂では邪竜が封印された【五芒星の陣】の真上に作られた村らしいんだ。』

(あの村にはそんな秘密が・・・だからドラゴン達が気に入ったのか・・・。
村の人達は長年あそこに住んで何が目的なんだろう?
もう一度行ってみようかな。)

『ロウ殿!!一手指南を頼みたいのだが良いか?』
突然ラージンがテーブルに手を付いて立ち上がる!!

(やっぱりこうなるか・・このまま帰してくれそうも無いかな・・。)

ロウは笑顔を作る。
『少しだけなら良いですよ。でも師匠の様に上手く手加減が出来ないので死なないでくださいね!』

ラージンが汗を垂らしながら頷く。
『お、おう・・・お手柔らかにな・・・』

この後ラージンは3日間動けなくなったが、レベルが15も上がりニヤつきながらベッドでミイラの様に包帯を巻かれて寝ていたのだった。
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