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第123話 竜神タウロの仇

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『ロウ様ここが封印の剣の祭壇です。』
村の中央に小さな祭壇が作られ中に剣が突き立っている。

『村長さん避難してください。ここは僕達が戦います。』

村長はゆっくり首を振る。
『ロウ様、わしもご一緒させてください。
わしも見届けたいのです。』

(やっぱりそう来たか・・・まぁ、気持ちは分かるけど・・・)

『いいでしょう。アイラ、村長さんと下がっていてね。いくよ!』

アイラと村長は石造りの壁の向こうへ隠れる。
ロウはそれを見届けて封印の剣に手を掛けて一気に抜き去る!!

『よっと!さあ!出てこい!!』

封印の剣が抜かれた祭壇から黒いモヤが立ち登る!!
すると巨大な影が形成され銀色のドラゴン、エンペラードラゴンが現れる!

『ぐろぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!』

『おお!!まさしく〈竜人タウロ〉のエンペラードラゴンじゃぁぁ!!
久しぶりじゃのう!!』

村長が両手を広げて喜ぶ。

ロウはエンペラードラゴンを見上げ語りかける。
『綺麗なドラゴンだね!友達にならないか?』

するとエンペラードラゴンはロウを見て少し下がり顎を地面につける。

『ぐるぅぅぅぅ。』

ロウはエンペラードラゴンを撫でながら語りかける。
『大変だったね、辛かったよね、今日から自由に生きれば良いからね。』

そしてもう一つの影が形成されると2mほどの体格の良い色黒の男が現れる。

『ふう、やっと出れたか!酷い目に遭ったぜ!』
軽口を叩き肩を回している。

『ふん!エンペラードラゴンも復活したか!
よし肩慣らしにこの村を吹き飛ばs・・・』

ずごぉぉぉぉぉん!!!

『ぐがぁぁぁぁぁ!!!!』

エンペラードラゴンが尻尾で男を吹き飛ばす!

『がはっ!ぐふっ!何故だ・・・何故俺を攻撃出来るんだ?!』

男はよろよろと起き上がりエンペラードラゴンを睨みつける。
そしてその先にいるロウの気配に気付く。

『何だ?!この気配は・・・貴様!何者だ?!』

『僕はファイデル王国〈英雄ハヤト〉の弟子が1人!〈竜神のロウ〉だ!!
お前は〈竜王イグナ〉だな?』

イグナはロウの威圧感に後ずさる。
『竜神・・・だと?!ま、まさか?!』
イグナがエンペラードラゴンを見ると牙を剥き威嚇している。

『そ、そう言う事か・・・タウロとか言う奴の仇討ちか・・・その雰囲気・・・太刀打ち出来そうも無いな・・だが!悪足掻きさせてもらうぞ!!
出てこい!竜騎三人衆!!』

ロウが焦る!
『しまった!アイラさん!!気を付けて!』

その瞬間!アイラと村長の前に男2人女1人の
人型の竜人が現れる。

イグナは表情を曇らせる。
『竜王としてはこんな事はしたくは無いが竜神が相手ならこれぐらいしなくては勝てないからな・・・。
さあどうする竜神?!あいつらはレベル1200を越えているぞ!?大人しく俺に殺されるならあいつらを助けてやるぞ?!』

しかしロウは焦る事なく言い放つ!!
『ふっ!レベル1200?!その程度で〈竜神〉の弟子を何とか出来ると思っているのか?!
〈竜王イグナ〉!!〈竜神〉の弟子を舐めるなよ!!』

ロウはアイラに叫ぶ!

『アイラ!!僕を信じろ!!剣を抜け!!そして願え!!目の前の理不尽をぶっ飛ばすんだ!!』

『はい!師匠!信じます!!』

アイラはロウの言葉を自然に受け止め剣を抜き構える!目の前の脅威を見据える!やらなきゃやられる!!
するとアイラの頭に言葉が流れ込んでくる!
『【竜神装】!!!】』
アイラは無意識に叫んでいた。

ロウから渡された剣が光り出しアイラの身体を包み込む!
頭には竜の頭を象った兜、身体には竜の鱗を模した鎧を纏い、目の前の〈竜人〉達を圧倒する程の存在感を醸し出しながら立ちはだかる!

『す、凄い力が溢れてくる!これからいけるわ!!』

竜騎三人衆が焦る。
『何だと?!なんだこの存在感!?さっきまでの雰囲気とまるで違うぞ!?』

『き、貴様・・・何をした?!〈竜神〉の弟子だと聞こえたぞ?!』

『まずいわよ?!油断は禁物よ!3人でかからないと!』

その瞬間、竜騎三人衆の懐にアイラが現れる!

『なっ?!は、速い!!』

『遅いわよ!!やあぁぁぁ!!!』
アイラは横一閃に薙ぐ!
すると先頭にいた男の両腕が肘から落ちて転がる・・・。
その後から身体の真ん中からずれて崩れ落ちる。

『ライノ!!貴様ぁぁぁぁ!!!』

しかしアイラは剣を鞘に収め始める。

『あんた達も既に死んでいるわ!』

『な、なに?!』

アイラが剣を完全に鞘に収める。

・・・チン!

鍔が鳴ると残りの2人も身体の真ん中からずれて崩れ落ちる。

『ば、ば・か・な・・・』

どさっ・・・

竜騎三人衆は何も出来ないままアイラの前に倒れた。

『ふう、助かった・・・』
アイラが安堵すると【竜神装】が解除される。
その瞬間!力の反動が身体を襲う!
『いだっ!!いだだだだだだっっ!!!!
師匠ぉぉぉぉ!!身体中がいだいですぅぅぅぅ!!!』
アイラがのたうち回ってもがいている。

『まあ、そのレベルで〈竜神〉の力を使ったんだからそうなるよね・・・後でポーションで直してあげるよ。』
ロウは頭を掻きながら言う。
そして〈竜王イグナ〉と対峙する。

『さあ、どうする?まだ続けるの?』
ロウはイグナにゆっくりと近づく。

イグナは後ずさり背中に翼が生えて飛び立つ!
『俺も命は惜しいからな!!逃げるz・・』

その時!エンペラードラゴンのブレスが炸裂する!!

『ぐごおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!』

『ぐがぁぁぁぁぁぁぁ!!!』
イグナはブレスの直撃を受けて落ちてきた。

どざぁぁぁぁ!!!

『あぐっ!!!ぐはっ!!』

『エンペラードラゴンがお前は逃さないってさ!』
ロウが肩をすくめる。
気付くと村長もロウの側まで来ていた。

『〈竜神タウロ〉の仇じゃ!!』

エンペラードラゴンは村長の言葉を理解したのか村長に頷いた様に見えた。
そして〈竜王イグナ〉に向けて全力で息を吸い込みドラゴンブレスを見舞う!!

『た、助けt・・・』

どごおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!

『ぎぃやぁぁぁぁぁぁ!!!』

〈竜王イグナ〉は断末魔の叫びと共に跡形もなく消え去ったのだった・・・。

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