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第172話 試練のダンジョン(ボス戦)5

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『さあ!!〈エンシェントドラゴン〉を助けるよ!!!
アイラ!シルビィの加勢に行くよ!』

『は、はい師匠!!!』
何やらニヤついていたアイラが焦る。

『シルビィ!お待たせ!!〈エンシェント・ドラゴン〉を地上に降ろすよ!!』

『ぐるぉぉぉぉぉぉぉ!!!』

〈エンシェントドラゴン〉が目の前に現れたロウ達にブレスを連発する!!
それを躱しながら近づいて行く!!

『ごめんね!!後で治してあげるからね!!
アイラ!!翼を狙うんだ!!【竜撃砲】!!』

『はい!!【竜撃砲】!!!!』

2人は威力を抑えて闘気の塊を翼に向けて撃ち続ける!
〈エンシェント・ドラゴン〉は目の前の2人に気を取られて必死に抵抗する。

『シルビィ!!今だぁぁ!!』
『ぐらぁぁぁぁぁぁぁ!!!』

ロウが叫ぶとシルビィは全体重を〈エンシェント・ドラゴン〉の背中に預ける!!

『ぐげぁぁぁぁぁぁ!!』

いきなりの事で〈エンシェント・ドラゴン〉はパニックを起こし必死にもがくがシルビィの体重に抗えずにそのまま地面に激突する!

ずどぉぉぉぉぉん!!!

しかし〈エンシェント・ドラゴン〉はダメージはあるものの、もがき続けてシルビィを跳ね除ける!!

『ここです!!カルノーさん!!お願いします!!!』

『分かっておる!!!【ダークバインド】!!』
カルノーの足元から闇が広がり〈エンシェント・ドラゴン〉に絡み付き地面に縫い付ける!!

『むう!!凄い力じゃ!!ロウよ!!長くは持たんぞ!!急ぐのじゃ!!』
カルノーが眉間に皺を寄せて魔力を込める!

『ありがとうございます!!アイラ!!行くよ!!!』

『はい!!』

『『【鎧魔闘衣】解放!!』』

ロウとアイラが魔力と闘気を変換出来る【鎧魔闘衣】に装備を変える!!
そして〈エンシェント・ドラゴン〉の前に降り立つ!!

『アイラ!始めるよ!!』
ロウがアイラの背中に両手を置く!

『はい!!約束忘れないでくださいね!!』
『分かったよ!!行くよ!!』

ロウがハヤトに念話で合図する!!
『師匠!!今です!!!』
『おう!!受け取れぇぇぇぇぇ!!!』
ハヤトが必要な魔力をロウに送る!!

そしてハヤトの魔力がロウに流れ込む!
『ぐはっ!!!さ、さすが・・・師匠の魔力・・・超強力だ・・・よ、よし!アイラ!!今だ!!』

ロウはハヤトの魔力を受け止め魔力を闘気に変換してアイラに送る!!

『は、はい!!あうっ!!す、凄い闘気・・・で、でも・・ご褒美の為にぃぃぃぃぃ!!!
【パーフェクトヒール】!!!!!!!』

アイラが背筋を伸ばし〈エンシェント・ドラゴン〉に手をかざす!!!

ロウは【スキルリンク】で【パーフェクトヒール】が使えると思ったが、自分達の魔力では出力が弱い事と魔力コントロールが難しいと考えて得意な闘気コントロールで魔力を使えないか考えたのだ。
そして最後の【パーフェクトヒール】の魔力コントロールをハヤトに委ねたのだ!!

〈エンシェント・ドラゴン〉を金色の魔力が包み込む!!

ロウとアイラは全身を震わせ額からは汗が噴き出る!!
『くぅぅぅ!!!負けるもんか!!〈エンシェント・ドラゴン〉を助けるんだ!!!!』

『な、何のこれしきぃぃぃ!!!!ご褒美・・ご褒美・・ご褒美・・ご褒美・・ご褒美ぃぃぃぃぃ!!!!!』

すると〈エンシェント・ドラゴン〉の表情が穏やかになって行く。
荒かった呼吸も穏やかになり目の色が元に戻った。

するとハヤトから念話が来る。
『ロウ!アイラ!もう大丈夫だぞ!!よく頑張ったな!!また後で会おう!!』

ハヤトの声を聞いて一気に力が抜ける!
『ぶはぁぁぁぁぁぁ!!!』
『あふぅぅぅぅぅぅ!!!』

2人は同時に仰向けで倒れた。

『はぁ、はぁ、何とか、出来た・・・さすが師匠だよ・・・』

『ふう・・・もの凄い闘気だった・・・やっぱり凄い人なんですね・・・』

2人共大の字で空を見上げてハヤトを讃える。

するとカルノーもへたり込む。
『ふぅむ・・何を言っておる・・・お主の作戦があっての結果じゃぞ?!皆んなお主の言う通りに動いただけじゃ!
それにしても・・・本当に神の支配を打ち破ったのじゃな・・・ふっ・・大した男じゃ・・・』

カルノーは頬を緩ませ空を見上げる。

『〈竜神王〉様・・・この度はありがとうございました。』

〈エンシェント・ドラゴン〉が地面に顎を付ける。

ロウは身体を起こして座り込む。
『いいさ!友達を助けるのは当然さ!!それにいい経験も出来たしね!!』

するとシルビィが小さくなって飛んでくる。
『主~!!』
ロウがびっくりして目を丸くする。
『あれ?シルビィ・・言葉が喋れるのか?!』

『主よ、彼奴にも迷惑をかけた。だから【言語理解】のコツを教えてやったのです。
我々ドラゴンはあるレベルを越えれば言葉を理解して話せる様になるのです。』

『そうか!ありがとう!』
『主~!喋れるよー!』
シルビィがパタパタと羽根を羽ばたかせてロウの肩に着地する。

『さてと!出口を探そうか!』
ロウは立ち上がり伸びをする。

すると後ろから声がする。
『し・しょ・お!ご褒美がまだですよ!!』
『えっ?!』
振り向くとアイラがもじもじとしている。

カルノーの口元が綻ぶ。
『・・・やはり・・・さあ、どうする?』

ロウが首を傾げる。
『え?!一体何が欲しいの?』

アイラはニヤリと笑いそのままロウの胸に飛び込む!!
『私は!師匠が欲しいのぉぉぉ!!!結婚してぇぇぇ!!!!!』

『ええっ?!・・・』
ロウは固まったまま理解が追いつかずに立ち尽くすのであった・・・。


『馬鹿な!馬鹿な!馬鹿な!馬鹿なぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!
人間如きが神の支配を破るだとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!
そんな事がある訳が無いのだ!!それにアイツらは魔法使いじゃ無いぞ?!
くそぉぉぉぉぉぉ!!!!!どう言う事だ?!奴等は何をしたんだ?!分からん・・・神の力を越える力等・・・認めんぞ・・』

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