14 / 201
第14話 追手
しおりを挟む
アンリルは小さくガッツポーズを取りながら馬車に乗り込む。
定期的にソフィア達の近状報告をする事で研究費の援助を取り付けたのだった。
ふっふっふっ・・・付いて来て正解だったわ。これで研究も捗るわ・・・。
『ふふ。アンリルさん良かったわね。まんまと利用されたわね・・・』
ソフィアが意地悪く呟くとアンリルはミハエルを気にしながら慌てて座り直す。
『い、いや、つ、ついでですよ!護衛兼雑用のついでに・・。こんなチャンス中々ないからね・・・はは・・』
ミハエルはソフィアに見えない様に肩をすくめてアンリルに目線を送る。
まあ、最初からこれが目的だったのは分かっていたからいいけど・・・それより悪意の塊が後ろから・・付かず離れずついて来てるね・・・前にも居るのか・・狙いは母さんと僕か・・そうすると差し金は・・ミランド・・母さんと僕を捨てた奴・・・最初で最後の挨拶をしてやるか・・・。
馬車が街中を抜けて郊外へ出ると前方に馬車が見えて来る。
つけて来た馬車も速度を上げて迫って来た。
来たね・・・だけど母さんを巻き込みたく無いんだよ。屋敷に着くまで大人しくしてもらおうかな・・・。
ミハエルは寝たふりをしながら呟く。
『〈パラライズ〉・・・』
しかしアンリルは聞き逃さなかった。
ギョッとした顔をしてそっと馬車の窓から後ろを見ると近づこうとした馬車が急に速度を落として離れて行く。
前に止まった馬車の横を何事も無く通り過ぎて行った。
ミハエルはチラリと片目を開けるとアンリルと目が合ったので薄っすらと笑い目を閉じるのだった。
『おい!野郎共!仕事は簡単だ!あの馬車に乗っている女と子供を攫ってボスの元へ届ける!分かったな?!
一緒に乗っている護衛のアンリルは厄介だがこっちには〈神の使人〉のバイザックが居るから問題ない。
街中を抜けたら行動開始だ!!』
『おう!!!』
しかしバイザックは前の馬車から今まで感じた事のない力と魔力を感じて不安に襲われていた。
な、何だこの力は・・魔力は賢者アンリルとして・・この力はもう1人の女か・・・これは侮れんぞ・・・
〈豪剣士〉バイザックは無意識に剣の柄を握りしめるのだった。
『お前ら!!行くぞ!準備しろ!馬車のスピードを上げろ!!』
馬車の速度が上がり前の馬車に近付いたその時!
『ぐっ!!』『がっ!!』『うぐっ!』
どさっ!どさっ!ごとっ!
突然馬車の中の10人の男達と運転士が声も出せず身動きも出来ない状態で床に転がった。
ど、どうしたんだ?!身体が・・・動かん!
何が起こっている?!
こ、これは・・・魔法か・・・知らん魔法だ・・既に俺達の事はバレていたのか・・・それにしてもこの人数を・・あの距離で一瞬で拘束するのか・・・
バイザックは床にこめかみを付けながら戦慄を覚えるのであった。
アンリルが馬車の窓から遠ざかって行く馬車を眺める。
追手がいたのね・・・さすがミハエル君ね・・古代魔法〈パラライズ〉か・・・本気になれば全滅出来たのに・・・・なるほどね・・・ソフィアさんを屋敷に届けてからが本番って事ね・・・。
ふとミハエルを見ると薄っすらと開いた片目を閉じて口元を緩ますのであった。
屋敷に到着して敷地内に入るとミハエルはソフィアの脚にしがみ付く。
『お母さん!お庭で遊んでいい?』
ソフィアはミハエルの頭を撫でる。
『お庭だったら良いわよ。でも気を付けてね。』
『はーーい!!』
ミハエルは元気に返事をするとアンリルに目配せをして門へと歩いて行く。
ミハエル君・・・お母さんは任せたって事ね・・・だけど・・お馬鹿な奴等ね・・・自分達が襲おうとしている相手がとんでもない化け物だとは知らずに・・・
アンリルはミハエルの小さな背中を見送り屋敷の入り口に陣取った。
あいつら懲りずに追って来たな・・・18人
か・・・1人まあまあ強い奴が居るね・・・まあ、問題ないけど。
さてとミランドの逆恨みを蹴散らしてやろうかな。
定期的にソフィア達の近状報告をする事で研究費の援助を取り付けたのだった。
ふっふっふっ・・・付いて来て正解だったわ。これで研究も捗るわ・・・。
『ふふ。アンリルさん良かったわね。まんまと利用されたわね・・・』
ソフィアが意地悪く呟くとアンリルはミハエルを気にしながら慌てて座り直す。
『い、いや、つ、ついでですよ!護衛兼雑用のついでに・・。こんなチャンス中々ないからね・・・はは・・』
ミハエルはソフィアに見えない様に肩をすくめてアンリルに目線を送る。
まあ、最初からこれが目的だったのは分かっていたからいいけど・・・それより悪意の塊が後ろから・・付かず離れずついて来てるね・・・前にも居るのか・・狙いは母さんと僕か・・そうすると差し金は・・ミランド・・母さんと僕を捨てた奴・・・最初で最後の挨拶をしてやるか・・・。
馬車が街中を抜けて郊外へ出ると前方に馬車が見えて来る。
つけて来た馬車も速度を上げて迫って来た。
来たね・・・だけど母さんを巻き込みたく無いんだよ。屋敷に着くまで大人しくしてもらおうかな・・・。
ミハエルは寝たふりをしながら呟く。
『〈パラライズ〉・・・』
しかしアンリルは聞き逃さなかった。
ギョッとした顔をしてそっと馬車の窓から後ろを見ると近づこうとした馬車が急に速度を落として離れて行く。
前に止まった馬車の横を何事も無く通り過ぎて行った。
ミハエルはチラリと片目を開けるとアンリルと目が合ったので薄っすらと笑い目を閉じるのだった。
『おい!野郎共!仕事は簡単だ!あの馬車に乗っている女と子供を攫ってボスの元へ届ける!分かったな?!
一緒に乗っている護衛のアンリルは厄介だがこっちには〈神の使人〉のバイザックが居るから問題ない。
街中を抜けたら行動開始だ!!』
『おう!!!』
しかしバイザックは前の馬車から今まで感じた事のない力と魔力を感じて不安に襲われていた。
な、何だこの力は・・魔力は賢者アンリルとして・・この力はもう1人の女か・・・これは侮れんぞ・・・
〈豪剣士〉バイザックは無意識に剣の柄を握りしめるのだった。
『お前ら!!行くぞ!準備しろ!馬車のスピードを上げろ!!』
馬車の速度が上がり前の馬車に近付いたその時!
『ぐっ!!』『がっ!!』『うぐっ!』
どさっ!どさっ!ごとっ!
突然馬車の中の10人の男達と運転士が声も出せず身動きも出来ない状態で床に転がった。
ど、どうしたんだ?!身体が・・・動かん!
何が起こっている?!
こ、これは・・・魔法か・・・知らん魔法だ・・既に俺達の事はバレていたのか・・・それにしてもこの人数を・・あの距離で一瞬で拘束するのか・・・
バイザックは床にこめかみを付けながら戦慄を覚えるのであった。
アンリルが馬車の窓から遠ざかって行く馬車を眺める。
追手がいたのね・・・さすがミハエル君ね・・古代魔法〈パラライズ〉か・・・本気になれば全滅出来たのに・・・・なるほどね・・・ソフィアさんを屋敷に届けてからが本番って事ね・・・。
ふとミハエルを見ると薄っすらと開いた片目を閉じて口元を緩ますのであった。
屋敷に到着して敷地内に入るとミハエルはソフィアの脚にしがみ付く。
『お母さん!お庭で遊んでいい?』
ソフィアはミハエルの頭を撫でる。
『お庭だったら良いわよ。でも気を付けてね。』
『はーーい!!』
ミハエルは元気に返事をするとアンリルに目配せをして門へと歩いて行く。
ミハエル君・・・お母さんは任せたって事ね・・・だけど・・お馬鹿な奴等ね・・・自分達が襲おうとしている相手がとんでもない化け物だとは知らずに・・・
アンリルはミハエルの小さな背中を見送り屋敷の入り口に陣取った。
あいつら懲りずに追って来たな・・・18人
か・・・1人まあまあ強い奴が居るね・・・まあ、問題ないけど。
さてとミランドの逆恨みを蹴散らしてやろうかな。
190
あなたにおすすめの小説
神様の人選ミスで死んじゃった!? 異世界で授けられた万能ボックスでいざスローライフ冒険!
さかき原枝都は
ファンタジー
光と影が交錯する世界で、希望と調和を求めて進む冒険者たちの物語
会社員として平凡な日々を送っていた七樹陽介は、神様のミスによって突然の死を迎える。そして異世界で新たな人生を送ることを提案された彼は、万能アイテムボックスという特別な力を手に冒険を始める。 平穏な村で新たな絆を築きながら、自分の居場所を見つける陽介。しかし、彼の前には隠された力や使命、そして未知なる冒険が待ち受ける! 「万能ボックス」の謎と仲間たちとの絆が交差するこの物語は、笑いあり、感動ありの異世界スローライフファンタジー。陽介が紡ぐ第二の人生、その行く先には何が待っているのか——?
前世は最強の宝の持ち腐れ!?二度目の人生は創造神が書き換えた神級スキルで気ままに冒険者します!!
yoshikazu
ファンタジー
主人公クレイは幼い頃に両親を盗賊に殺され物心付いた時には孤児院にいた。このライリー孤児院は子供達に客の依頼仕事をさせ手間賃を稼ぐ商売を生業にしていた。しかしクレイは仕事も遅く何をやっても上手く出来なかった。そしてある日の夜、無実の罪で雪が積もる極寒の夜へと放り出されてしまう。そしてクレイは極寒の中一人寂しく路地裏で生涯を閉じた。
だがクレイの中には創造神アルフェリアが創造した神の称号とスキルが眠っていた。しかし創造神アルフェリアの手違いで神のスキルが使いたくても使えなかったのだ。
創造神アルフェリアはクレイの魂を呼び寄せお詫びに神の称号とスキルを書き換える。それは経験したスキルを自分のものに出来るものであった。
そしてクレイは元居た世界に転生しゼノアとして二度目の人生を始める。ここから前世での惨めな人生を振り払うように神級スキルを引っ提げて冒険者として突き進む少年ゼノアの物語が始まる。
転生特典〈無限スキルポイント〉で無制限にスキルを取得して異世界無双!?
スピカ・メロディアス
ファンタジー
目が覚めたら展開にいた主人公・凸守優斗。
女神様に死後の案内をしてもらえるということで思春期男子高生夢のチートを貰って異世界転生!と思ったものの強すぎるチートはもらえない!?
ならば程々のチートをうまく使って夢にまで見た異世界ライフを楽しもうではないか!
これは、只人の少年が繰り広げる異世界物語である。
無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す
紅月シン
ファンタジー
七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。
才能限界0。
それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。
レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。
つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。
だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。
その結果として実家の公爵家を追放されたことも。
同日に前世の記憶を思い出したことも。
一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。
その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。
スキル。
そして、自らのスキルである限界突破。
やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。
※小説家になろう様にも投稿しています
S級スキル『剣聖』を授かった俺はスキルを奪われてから人生が一変しました
白崎なまず
ファンタジー
この世界の人間の多くは生まれてきたときにスキルを持っている。スキルの力は強大で、強力なスキルを持つ者が貧弱なスキルしか持たない者を支配する。
そんな世界に生まれた主人公アレスは大昔の英雄が所持していたとされるSランク『剣聖』を持っていたことが明らかになり一気に成り上がっていく。
王族になり、裕福な暮らしをし、将来は王女との結婚も約束され盤石な人生を歩むアレス。
しかし物事がうまくいっている時こそ人生の落とし穴には気付けないものだ。
突如現れた謎の老人に剣聖のスキルを奪われてしまったアレス。
スキルのおかげで手に入れた立場は当然スキルがなければ維持することが出来ない。
王族から下民へと落ちたアレスはこの世に絶望し、生きる気力を失いかけてしまう。
そんなアレスに手を差し伸べたのはとある教会のシスターだった。
Sランクスキルを失い、この世はスキルが全てじゃないと知ったアレス。
スキルがない自分でも前向きに生きていこうと冒険者の道へ進むことになったアレスだったのだが――
なんと、そんなアレスの元に剣聖のスキルが舞い戻ってきたのだ。
スキルを奪われたと王族から追放されたアレスが剣聖のスキルが戻ったことを隠しながら冒険者になるために学園に通う。
スキルの優劣がものを言う世界でのアレスと仲間たちの学園ファンタジー物語。
この作品は小説家になろうに投稿されている作品の重複投稿になります
異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?
よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ!
こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ!
これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・
どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。
周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ?
俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ?
それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ!
よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・
え?俺様チート持ちだって?チートって何だ?
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる