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第13話 クラインド王
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『セイルさん・・大丈夫ですか?』
ソフィアが二日酔いでソファに横になっているセイルを覗き込む。
『あぁ、・・何とか生きているよ・・。
今日は・・・ルイドを呼んであるから、一緒に行くといい・・・うぶっ!!』
そう言い残すとセイルは込み上げる物を押さえてトイレへ走って行った。
セイルさんも相変わらずね。ちっとも変わらないわね。
ソフィアは微笑みながらミハエルの隣に座る。
すると慌しくノックの音が響くとすぐに扉が開いてルイドが飛び込んで来る!
『おお!!ソフィア様!!よくぞご無事で!!!
ミハエル様もこんなに大きくなられて・・・うぅ・・・お辛かったでしょう・・・』
ルイドは目頭を押さえて肩を震わす。
この光景・・昨日も見たな・・。あまり詳しい事は知らないけど、母さんは行方不明になっていたんだな・・。
それにしても嬉しく思う人ばかりではないと言う事か・・・。
ミハエルは窓の外を眺めて呟いた。
『ルイド、心配掛けましたね。』
『いいえ、あんな事があったのです。仕方ありません。お気持ちお察し致します。
さあ、クラインド王がお待ちです。参りましょうか。』
ルイドの案内でエントランスまで来るとアンリルが頭を抱えて待っていた。
『あいたたた・・・昨日は飲み過ぎたわ・・・でも王宮には私も行くわよ。
私は護衛兼雑用だからね・・・』
『えぇ、お願いしますね。』
ソフィアはフフッとアンリルの赤い顔を見て笑いながら馬車に乗り込み出発するのだった。
すると大きな木の陰からミランドが顔を出す。
『噂は本当だったのか・・・ソフィアめ・・貴様のせいで俺は・・・絶対に許さんぞ・・・』
謁見の間の大きな扉が開かれ赤い絨毯に沿って進んで行く。
絨毯の切れ目で立ち止まり跪こうとするとクラインド王が目頭を熱くして玉座から降りてソフィアの手を取る。
『ソフィア!無事で良かった!!心配したぞ!!
わしがくだらぬ気を回したせいで、また辛い思いをさせてしまったな・・・。本当にすまなかったな・・・お主に何かあったらハイド殿に顔向け出来ぬからの。』
『王様、私の方こそ今までありがとうございました。私は王様のお陰で何不自由無く生きて来れました。
今日はその御礼の為に参りました。』
ソフィアは深々と頭を下げる。
『良いのだ。ハイド殿が居なければわしはここにはおらんのだ。
わしのせめてもの恩返しだ。難しく考えないで欲しいのだ。
・・それはそうと・・その子がミハエルか?』
クラインド王がミハエルに目を落とす。
『そうです。この子が息子のミハエルです。心優しく真っ直ぐな子です。』
ソフィアがミハエルの頭を撫でる。
クラインド王はミハエルの目線に合わせるように身を屈める。
『こんなに大きくなって・・・お主にも辛い思いをさせてしまったのう・・・すまなかったな・・・』
クラインド王は目尻に光るものを溜めてミハエルの頭に手を置く。
うーん。この状況3回目だな・・・まぁいいか・・・
するとクラインド王は自分の顎を撫でながら首を傾げる。
『ん?ミランドは称号も無く魔力も無いと言っていたが・・・なんだこの溢れる・・魔力・・?いや、何かが違う・・・とにかく・・この子は無能などでは無いぞ・・・』
『さすがクラインド王。ミハエル君の凄さに気付きましたね。』
アンリルが痛い頭を押さえてながら声を上げる。
『ん?お主は何者だ?』
『私は護衛兼雑用の〈真実の剣〉のアンリルです。お見知り置きを。』
『おぉ!あのS級パーティーの〈賢者アンリル〉か!!凄い護衛を付けたものだな!』
クラインド王が立ち上がりテンションが上がる。
だがアンリルは気にせず続ける。
『王様の言う通りミハエル君は無能などではありません。
ミハエル君はつい最近覚醒したのです。
私は〈鑑定〉が使えます。今から見せる内容は内密にしてください。いいですね?』
クラインド王は興味に駆られて頷く。
『・・・うむ。分かった。』
アンリルはクラインド王の返事を確認して鑑定結果のメモを差し出す。
クラインド王はそれを受け取り目を落とすと目が落ちんばかりに見開きメモを持った手が震える。
『な、な、なんと・・・こ、これが・・ミハエルのステータスか?!
こ、これでレベル1なのか?!このスキルの数・・・加護が・・2つも・・これは・・・もはや神の申し子と言っても過言では無いな・・・ミランドも馬鹿な奴だ・・・』
『えぇ、本当に馬鹿な人です・・・』
ミハエルの頭を撫でながら呟くのだった。
(ククッ見ていろ。思い知らせてやるぞ。)
ミランドは細い路地裏を進んで突き当たりにいる男に話しかける。
『依頼だ!』
金貨を男に向かって指で弾く。
男は無表情でそれを受け取ると扉を開けて顎で入れと指示する。
中へ入ると先程の裏路地とは打って変わって高級ホテルを思わせるような煌びやかな扉が左右に幾つもあり魔石を利用したランプが幾つも並んでいた。
男が通路の突き当たりまで行き壁を規則正しくノックすると目の前の壁が扉の様に開いた。
男に顎で入れと促されてミランドが中へ入って行くと野太い声を掛けられる。
『これは、これはミランドさん。今日はどの様な依頼ですか?』
身なりの良い筋肉質な男が机に脚を投げ出してニヤついている。
この男は裏稼業専門に扱う裏ギルドマスターのロゼルド。
金さえ貰えば何でもやる裏稼業では有名な男である。
『ふん!相変わらず礼儀を知らんな・・・まぁいい。懲らしめたい奴が居る!』
ガシャッ!
ミランドは金貨の入った袋を机の上に放り投げる。
男は脚を下ろして袋を確認する。
『いいだろう。狙いは追い出した奥様と息子か?』
『ふん!分かっているなら話しが早い!あいつらのせいで侯爵から男爵まで引き摺り降ろされたんだ!
お前らの好きにしろ!!その後に高みの見物に行ってやる!』
『ふう・・・悪い人だ。・・まあ、それで俺が良い思いが出来て儲かるんだから良いけどな・・。』
ソフィアめ・・・待っていろよ!無能なガキ共々めちゃくちゃにしてやるぞ・・・クククッ・・・
ソフィアが二日酔いでソファに横になっているセイルを覗き込む。
『あぁ、・・何とか生きているよ・・。
今日は・・・ルイドを呼んであるから、一緒に行くといい・・・うぶっ!!』
そう言い残すとセイルは込み上げる物を押さえてトイレへ走って行った。
セイルさんも相変わらずね。ちっとも変わらないわね。
ソフィアは微笑みながらミハエルの隣に座る。
すると慌しくノックの音が響くとすぐに扉が開いてルイドが飛び込んで来る!
『おお!!ソフィア様!!よくぞご無事で!!!
ミハエル様もこんなに大きくなられて・・・うぅ・・・お辛かったでしょう・・・』
ルイドは目頭を押さえて肩を震わす。
この光景・・昨日も見たな・・。あまり詳しい事は知らないけど、母さんは行方不明になっていたんだな・・。
それにしても嬉しく思う人ばかりではないと言う事か・・・。
ミハエルは窓の外を眺めて呟いた。
『ルイド、心配掛けましたね。』
『いいえ、あんな事があったのです。仕方ありません。お気持ちお察し致します。
さあ、クラインド王がお待ちです。参りましょうか。』
ルイドの案内でエントランスまで来るとアンリルが頭を抱えて待っていた。
『あいたたた・・・昨日は飲み過ぎたわ・・・でも王宮には私も行くわよ。
私は護衛兼雑用だからね・・・』
『えぇ、お願いしますね。』
ソフィアはフフッとアンリルの赤い顔を見て笑いながら馬車に乗り込み出発するのだった。
すると大きな木の陰からミランドが顔を出す。
『噂は本当だったのか・・・ソフィアめ・・貴様のせいで俺は・・・絶対に許さんぞ・・・』
謁見の間の大きな扉が開かれ赤い絨毯に沿って進んで行く。
絨毯の切れ目で立ち止まり跪こうとするとクラインド王が目頭を熱くして玉座から降りてソフィアの手を取る。
『ソフィア!無事で良かった!!心配したぞ!!
わしがくだらぬ気を回したせいで、また辛い思いをさせてしまったな・・・。本当にすまなかったな・・・お主に何かあったらハイド殿に顔向け出来ぬからの。』
『王様、私の方こそ今までありがとうございました。私は王様のお陰で何不自由無く生きて来れました。
今日はその御礼の為に参りました。』
ソフィアは深々と頭を下げる。
『良いのだ。ハイド殿が居なければわしはここにはおらんのだ。
わしのせめてもの恩返しだ。難しく考えないで欲しいのだ。
・・それはそうと・・その子がミハエルか?』
クラインド王がミハエルに目を落とす。
『そうです。この子が息子のミハエルです。心優しく真っ直ぐな子です。』
ソフィアがミハエルの頭を撫でる。
クラインド王はミハエルの目線に合わせるように身を屈める。
『こんなに大きくなって・・・お主にも辛い思いをさせてしまったのう・・・すまなかったな・・・』
クラインド王は目尻に光るものを溜めてミハエルの頭に手を置く。
うーん。この状況3回目だな・・・まぁいいか・・・
するとクラインド王は自分の顎を撫でながら首を傾げる。
『ん?ミランドは称号も無く魔力も無いと言っていたが・・・なんだこの溢れる・・魔力・・?いや、何かが違う・・・とにかく・・この子は無能などでは無いぞ・・・』
『さすがクラインド王。ミハエル君の凄さに気付きましたね。』
アンリルが痛い頭を押さえてながら声を上げる。
『ん?お主は何者だ?』
『私は護衛兼雑用の〈真実の剣〉のアンリルです。お見知り置きを。』
『おぉ!あのS級パーティーの〈賢者アンリル〉か!!凄い護衛を付けたものだな!』
クラインド王が立ち上がりテンションが上がる。
だがアンリルは気にせず続ける。
『王様の言う通りミハエル君は無能などではありません。
ミハエル君はつい最近覚醒したのです。
私は〈鑑定〉が使えます。今から見せる内容は内密にしてください。いいですね?』
クラインド王は興味に駆られて頷く。
『・・・うむ。分かった。』
アンリルはクラインド王の返事を確認して鑑定結果のメモを差し出す。
クラインド王はそれを受け取り目を落とすと目が落ちんばかりに見開きメモを持った手が震える。
『な、な、なんと・・・こ、これが・・ミハエルのステータスか?!
こ、これでレベル1なのか?!このスキルの数・・・加護が・・2つも・・これは・・・もはや神の申し子と言っても過言では無いな・・・ミランドも馬鹿な奴だ・・・』
『えぇ、本当に馬鹿な人です・・・』
ミハエルの頭を撫でながら呟くのだった。
(ククッ見ていろ。思い知らせてやるぞ。)
ミランドは細い路地裏を進んで突き当たりにいる男に話しかける。
『依頼だ!』
金貨を男に向かって指で弾く。
男は無表情でそれを受け取ると扉を開けて顎で入れと指示する。
中へ入ると先程の裏路地とは打って変わって高級ホテルを思わせるような煌びやかな扉が左右に幾つもあり魔石を利用したランプが幾つも並んでいた。
男が通路の突き当たりまで行き壁を規則正しくノックすると目の前の壁が扉の様に開いた。
男に顎で入れと促されてミランドが中へ入って行くと野太い声を掛けられる。
『これは、これはミランドさん。今日はどの様な依頼ですか?』
身なりの良い筋肉質な男が机に脚を投げ出してニヤついている。
この男は裏稼業専門に扱う裏ギルドマスターのロゼルド。
金さえ貰えば何でもやる裏稼業では有名な男である。
『ふん!相変わらず礼儀を知らんな・・・まぁいい。懲らしめたい奴が居る!』
ガシャッ!
ミランドは金貨の入った袋を机の上に放り投げる。
男は脚を下ろして袋を確認する。
『いいだろう。狙いは追い出した奥様と息子か?』
『ふん!分かっているなら話しが早い!あいつらのせいで侯爵から男爵まで引き摺り降ろされたんだ!
お前らの好きにしろ!!その後に高みの見物に行ってやる!』
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