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第四章 想い
今しかない
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休日が来て、僕はまた旧校舎に向かい、フェリルと過ごした。
だんだんと日差しが暖かくなり、気を抜くと寝てしまいそうになる。
いつも通り、昼近くなるとフェリルは準備室を出ていった。
一人きりになると、僕はまたフェリルの席に移動する。
彼がいつも何を見て、何を感じてここに座っているのか。
僕はそれが知りたくて、同じ場所に座ってみる。
僕の座る席より少し暖かく、窓の外の木漏れ日がよく見える。
芽吹く木々を目にして、いつの間にか春が近付いてきていたことを知る。
フェリルも、そう感じたのだろうか。
彼が自然を愛する人なのかどうか、僕にはよくわからない。
鳥の声にも反応しない人だから、季節の移り変わりを楽しむことはないのか。
こんなに近くに居ても、わからないことは多い。
僕は席を立ち、再び元の席に戻って、勉強し始める。
今日は、水魔法の座学の復習と、火魔法の実践のレポートにあてた。
まったく適性のない火魔法だが、協力して事に当たる時には必要な知識だ。
僕は、座学の復習を終わらせ、ハーヴェイの実技を思い返しながら、レポートを書き始める。彼の魔法は鮮烈で、記憶から消え去ることはない。だからこそ、レポートには最適と言える。
まとめているうちに少しずつ手元が暗くなり、足先が冷え出して、時の経過に気付いた。
つい勉強に夢中になってしまっていたようだ。
窓から外を見ると、すっかり日が落ちている。
このままだと、寮に戻る前に真っ暗になりそうだ。
今日はランタンを持ってきていない。
僕は急いで本とノートをまとめ、準備室を後にした。
寮への近道を通ろうと、水魔法の練習用のプールに差し掛かる。
すると、水面が揺れて、空高く水飛沫が上がった。
だが、そのまま水は宙に浮かび、落ちてくることはない。
1秒、2秒……10秒まで数えても、浮遊したままだ。
これだけの量の水を空に浮かび上がらせて、一粒も滴らせることがない。
相当の使い手に違いないとプールサイドを見ると、シャツの腕をまくり、魔法を使っている人の姿が見えた。肘まで見える腕は白く、だが細くはない。程よく筋肉のついた片腕を頭上に翳し、唇を動かして静かに詠唱を続けている。
彼に、ここまでの力があるなんて思っていなかった。
しかも、休日のこの時間に、人目につかないプールで一人練習をするだなんて。
もしかしたら、昼食の後、ずっとここにいたのだろうか。
金網越しに見ていたが、もっとよく見たくて、僕はふらりとプールに近付いた。
プールサイドに立って、空を見上げていると、相手は僕に気付いたようだ。
詠唱を止めたことで、水が一気にプールに降り注ぎ、ざあざあと音を立てる。
まるで雨が降ってきたように絶え間なく降る、それほどの水量だ。
「ごめんなさい。……邪魔をしてしまいました」
僕は謝り、フェリルの方へと一歩進んだ。その瞬間。
「うわっ」
空が見え、僕は自分が仰向けに倒れ込もうとしているのだとわかった。
こちらに駆け寄るフェリルが見えて、僕はその姿に見惚れそうになる。
彼は僕に向かって手を差し伸べ、僕もその手に手を伸ばす。
「……くっ」
僕の手を掴み、手前に引いてバランスを取ろうとしたのだろうが間に合わず、そのまま二人でプールの中に落ちた。ざぶんと沈み込み、そこで水深が足がつかないほどにあるのだと知る。頭上に水面が見えて、キラキラとオレンジ色に光っている。ぼんやりと見ているうちに、ツンと鼻が痛くなり、息苦しさを覚えた。
腰に腕が回り、身体が水面に向かって浮かび上がっていく。
「げほっ……は……っ」
いきなり肺に空気が入り込み、僕は激しく噎せ返る。
温かい手が僕の背中を撫でて落ち着かせ、腰を抱いたままプールの梯子へと導く。
「ここから上がれ」
命じられるままに梯子に掴まって、僕はプールの外に出た。
フェリルは、梯子を使わずにプールから上がり、ベンチにかけてあったタオルを手にする。
そして、寒さに震える僕の身体に掛け、ふうと一つ息を吐く。
「私の部屋に来い。バスルームを貸すから」
一瞬、何を言われているのかわからない。
どうしていきなりと思って、この格好でオヴィス寮に帰れば目立つからだと気付く。
「で、でも……」
フェリルの部屋に、こんな濡れた格好で行くなんてと返したかったが、ガチガチと歯の根が合わなくなって言葉にならない。
「行くぞ。風邪を引く」
僕の手首を掴み、フェリルは寮に向かって歩き出す。
幸い周囲に人影はなく、目撃されることはなさそうだったが、僕は混乱していて視界が左右に揺れていた。
「ここだ、入れ」
フェリルの暮らすアルバ寮に入るのは、これが初めてだ。
中央階段ではなく、直接部屋に向かう階段を使って2階に上がり、僕はフェリルの部屋の中に入った。
中は温かく、フェリルの香りがする。
いつもつけている香水なのか。それともルームポプリの香りか。
まるで、フェリルの腕に包まれているかのようだ。
「バスルームはそこだ。今、着替えを用意する」
クローゼットを開けて、フェリルは僕の着替えやタオルを出してくれた。
そして、バスルームへと連れて行き、ドアを閉めようとする。
慌ててドアを押さえ、僕は告げた。
「僕だけじゃなく、フェリル先輩も温まってください」
「私は水魔法が使えるから、冷たさは感じない。先に使え」
フェリルほどの水魔法の能力者は、そこまで使えるようになるのか。
僕は、急いで服を脱いで身体を温めた。
プールの水のことを考えて、手早く身体を洗い、用意されていた服に着替えて出る。
それでも、15分はかかってしまった。
「どうぞ」
窓辺に立っていたフェリルは頷いて、僕と入れ替わりにバスルームに入る。
僕は、フェリルが立っていた場所に行き、窓の外を見る。
彼がいつも目にしている光景を眺め、汗が引いて落ち着いてきたところで、ぐるりと部屋の中を見回した
ここが、フェリルの部屋なのか。
余計なものが一切ない。生活感のない部屋だ。
物に触ってはいけないと思っても、机に触れてみたくなる。
ここに座って、勉学に勤しみ、思索に耽っているのか。
本棚にある書籍を見たり、テーブルに並んだティーセットを眺めたりしていると、バスルームの扉が開く。
フェリルは、髪を拭きながら出てきて、僕に視線を寄越した。
「セオドフには使いを出したから、朝までここで休むといい。幸いベッドは二つある」
朝まで休むということは──。
ここに、泊まる?
どくんと心臓が跳ね、喉が干上がる心地がした。
「勉強ができなくなるのが気になるか?」
そんな心配はしていない。
フェリルのこと以外、何も考えられない。
「そこに座れ。紅茶でも用意する」
「あの、僕が──」
「いいから、座っていろ」
僕は命じられた通りテーブルに着き、紅茶を入れるフェリルを見ていた。
手慣れた様子で紅茶を入れて、ポットごと僕の方へ持ってくる。
紅茶ができるまで少し待ってから、僕の目の前に置いたカップに注ぎ入れる。
「美味しい」
熱い紅茶を飲むと、胃の中まで温まった。
ホッと息を吐き、もう一度フェリルを見る。
立ったままこちらの様子を覗っていたフェリルは、顔を上げて自分を見てきた僕に訊ねた。
「何か食べるか?」
フェリルが僕のことを気遣い、話しかけてくれている。
その空気感に胸が締め付けられる。
言うとしたら今しかない。
この状況下でなければ。
きっと二度と、こんなチャンスは巡ってこない。
僕を窺う蒼い双眸に心が焦れる。話しを振ろうとタイミングを見計らっていると、フェリルは僕に背中を向けて歩き出した。僕は思わず立ち上がり、フェリルの背中を──そのシャツをつい掴んでしまう。フェリルは肩越しに振り返り、僕の顔を見下ろしてきた。
「フェリル、先輩。僕は……」
今だ。
このタイミングじゃなければ、想いは伝えられない。
あの夜のことを僕が思い出したこと。その謝罪をしたいこと。
今ここで、言うんだ。
だが、口から飛び出たのは、違う言葉だった。
「あなたのことが、好きです」
言ってしまってから、僕は自分に驚いた。
違う、そうじゃない。
僕が言いたかったのは、謝罪とお礼じゃなかったのか。
それなのに、どうして。
混乱する僕に、先輩は溜息を一つ吐いてから応える。
「もう君は休んだ方がいい。右側のベッドを使ってくれ」
「……っ」
唇が戦慄き、声が出てこない。
呆然としている僕をそのままに、フェリルは離れて机に向かう。
僕はその横顔に、あまりに落ち着いた美しい姿に、胸が苦しくなる。
「……おやすみ、なさい」
言えたのはそれだけだ。
これ以上留まれば、泣き出してしまいそうだ。
僕は急いで隣の部屋に入り、扉を閉めた。
途端に涙が溢れて、肩に掛けていたタオルで顔を拭う。
それでも涙は止まらなくて、僕は顔を覆った。
しばらく立ったまま泣き、少し落ち着いたところでベッドルームを見回す。
簡素なベッドが二つあり、言われた通りに右側のベッドに入った。
寝具からも微かにフェリルの香りがして、僕は声を殺して泣き続けた。
だんだんと日差しが暖かくなり、気を抜くと寝てしまいそうになる。
いつも通り、昼近くなるとフェリルは準備室を出ていった。
一人きりになると、僕はまたフェリルの席に移動する。
彼がいつも何を見て、何を感じてここに座っているのか。
僕はそれが知りたくて、同じ場所に座ってみる。
僕の座る席より少し暖かく、窓の外の木漏れ日がよく見える。
芽吹く木々を目にして、いつの間にか春が近付いてきていたことを知る。
フェリルも、そう感じたのだろうか。
彼が自然を愛する人なのかどうか、僕にはよくわからない。
鳥の声にも反応しない人だから、季節の移り変わりを楽しむことはないのか。
こんなに近くに居ても、わからないことは多い。
僕は席を立ち、再び元の席に戻って、勉強し始める。
今日は、水魔法の座学の復習と、火魔法の実践のレポートにあてた。
まったく適性のない火魔法だが、協力して事に当たる時には必要な知識だ。
僕は、座学の復習を終わらせ、ハーヴェイの実技を思い返しながら、レポートを書き始める。彼の魔法は鮮烈で、記憶から消え去ることはない。だからこそ、レポートには最適と言える。
まとめているうちに少しずつ手元が暗くなり、足先が冷え出して、時の経過に気付いた。
つい勉強に夢中になってしまっていたようだ。
窓から外を見ると、すっかり日が落ちている。
このままだと、寮に戻る前に真っ暗になりそうだ。
今日はランタンを持ってきていない。
僕は急いで本とノートをまとめ、準備室を後にした。
寮への近道を通ろうと、水魔法の練習用のプールに差し掛かる。
すると、水面が揺れて、空高く水飛沫が上がった。
だが、そのまま水は宙に浮かび、落ちてくることはない。
1秒、2秒……10秒まで数えても、浮遊したままだ。
これだけの量の水を空に浮かび上がらせて、一粒も滴らせることがない。
相当の使い手に違いないとプールサイドを見ると、シャツの腕をまくり、魔法を使っている人の姿が見えた。肘まで見える腕は白く、だが細くはない。程よく筋肉のついた片腕を頭上に翳し、唇を動かして静かに詠唱を続けている。
彼に、ここまでの力があるなんて思っていなかった。
しかも、休日のこの時間に、人目につかないプールで一人練習をするだなんて。
もしかしたら、昼食の後、ずっとここにいたのだろうか。
金網越しに見ていたが、もっとよく見たくて、僕はふらりとプールに近付いた。
プールサイドに立って、空を見上げていると、相手は僕に気付いたようだ。
詠唱を止めたことで、水が一気にプールに降り注ぎ、ざあざあと音を立てる。
まるで雨が降ってきたように絶え間なく降る、それほどの水量だ。
「ごめんなさい。……邪魔をしてしまいました」
僕は謝り、フェリルの方へと一歩進んだ。その瞬間。
「うわっ」
空が見え、僕は自分が仰向けに倒れ込もうとしているのだとわかった。
こちらに駆け寄るフェリルが見えて、僕はその姿に見惚れそうになる。
彼は僕に向かって手を差し伸べ、僕もその手に手を伸ばす。
「……くっ」
僕の手を掴み、手前に引いてバランスを取ろうとしたのだろうが間に合わず、そのまま二人でプールの中に落ちた。ざぶんと沈み込み、そこで水深が足がつかないほどにあるのだと知る。頭上に水面が見えて、キラキラとオレンジ色に光っている。ぼんやりと見ているうちに、ツンと鼻が痛くなり、息苦しさを覚えた。
腰に腕が回り、身体が水面に向かって浮かび上がっていく。
「げほっ……は……っ」
いきなり肺に空気が入り込み、僕は激しく噎せ返る。
温かい手が僕の背中を撫でて落ち着かせ、腰を抱いたままプールの梯子へと導く。
「ここから上がれ」
命じられるままに梯子に掴まって、僕はプールの外に出た。
フェリルは、梯子を使わずにプールから上がり、ベンチにかけてあったタオルを手にする。
そして、寒さに震える僕の身体に掛け、ふうと一つ息を吐く。
「私の部屋に来い。バスルームを貸すから」
一瞬、何を言われているのかわからない。
どうしていきなりと思って、この格好でオヴィス寮に帰れば目立つからだと気付く。
「で、でも……」
フェリルの部屋に、こんな濡れた格好で行くなんてと返したかったが、ガチガチと歯の根が合わなくなって言葉にならない。
「行くぞ。風邪を引く」
僕の手首を掴み、フェリルは寮に向かって歩き出す。
幸い周囲に人影はなく、目撃されることはなさそうだったが、僕は混乱していて視界が左右に揺れていた。
「ここだ、入れ」
フェリルの暮らすアルバ寮に入るのは、これが初めてだ。
中央階段ではなく、直接部屋に向かう階段を使って2階に上がり、僕はフェリルの部屋の中に入った。
中は温かく、フェリルの香りがする。
いつもつけている香水なのか。それともルームポプリの香りか。
まるで、フェリルの腕に包まれているかのようだ。
「バスルームはそこだ。今、着替えを用意する」
クローゼットを開けて、フェリルは僕の着替えやタオルを出してくれた。
そして、バスルームへと連れて行き、ドアを閉めようとする。
慌ててドアを押さえ、僕は告げた。
「僕だけじゃなく、フェリル先輩も温まってください」
「私は水魔法が使えるから、冷たさは感じない。先に使え」
フェリルほどの水魔法の能力者は、そこまで使えるようになるのか。
僕は、急いで服を脱いで身体を温めた。
プールの水のことを考えて、手早く身体を洗い、用意されていた服に着替えて出る。
それでも、15分はかかってしまった。
「どうぞ」
窓辺に立っていたフェリルは頷いて、僕と入れ替わりにバスルームに入る。
僕は、フェリルが立っていた場所に行き、窓の外を見る。
彼がいつも目にしている光景を眺め、汗が引いて落ち着いてきたところで、ぐるりと部屋の中を見回した
ここが、フェリルの部屋なのか。
余計なものが一切ない。生活感のない部屋だ。
物に触ってはいけないと思っても、机に触れてみたくなる。
ここに座って、勉学に勤しみ、思索に耽っているのか。
本棚にある書籍を見たり、テーブルに並んだティーセットを眺めたりしていると、バスルームの扉が開く。
フェリルは、髪を拭きながら出てきて、僕に視線を寄越した。
「セオドフには使いを出したから、朝までここで休むといい。幸いベッドは二つある」
朝まで休むということは──。
ここに、泊まる?
どくんと心臓が跳ね、喉が干上がる心地がした。
「勉強ができなくなるのが気になるか?」
そんな心配はしていない。
フェリルのこと以外、何も考えられない。
「そこに座れ。紅茶でも用意する」
「あの、僕が──」
「いいから、座っていろ」
僕は命じられた通りテーブルに着き、紅茶を入れるフェリルを見ていた。
手慣れた様子で紅茶を入れて、ポットごと僕の方へ持ってくる。
紅茶ができるまで少し待ってから、僕の目の前に置いたカップに注ぎ入れる。
「美味しい」
熱い紅茶を飲むと、胃の中まで温まった。
ホッと息を吐き、もう一度フェリルを見る。
立ったままこちらの様子を覗っていたフェリルは、顔を上げて自分を見てきた僕に訊ねた。
「何か食べるか?」
フェリルが僕のことを気遣い、話しかけてくれている。
その空気感に胸が締め付けられる。
言うとしたら今しかない。
この状況下でなければ。
きっと二度と、こんなチャンスは巡ってこない。
僕を窺う蒼い双眸に心が焦れる。話しを振ろうとタイミングを見計らっていると、フェリルは僕に背中を向けて歩き出した。僕は思わず立ち上がり、フェリルの背中を──そのシャツをつい掴んでしまう。フェリルは肩越しに振り返り、僕の顔を見下ろしてきた。
「フェリル、先輩。僕は……」
今だ。
このタイミングじゃなければ、想いは伝えられない。
あの夜のことを僕が思い出したこと。その謝罪をしたいこと。
今ここで、言うんだ。
だが、口から飛び出たのは、違う言葉だった。
「あなたのことが、好きです」
言ってしまってから、僕は自分に驚いた。
違う、そうじゃない。
僕が言いたかったのは、謝罪とお礼じゃなかったのか。
それなのに、どうして。
混乱する僕に、先輩は溜息を一つ吐いてから応える。
「もう君は休んだ方がいい。右側のベッドを使ってくれ」
「……っ」
唇が戦慄き、声が出てこない。
呆然としている僕をそのままに、フェリルは離れて机に向かう。
僕はその横顔に、あまりに落ち着いた美しい姿に、胸が苦しくなる。
「……おやすみ、なさい」
言えたのはそれだけだ。
これ以上留まれば、泣き出してしまいそうだ。
僕は急いで隣の部屋に入り、扉を閉めた。
途端に涙が溢れて、肩に掛けていたタオルで顔を拭う。
それでも涙は止まらなくて、僕は顔を覆った。
しばらく立ったまま泣き、少し落ち着いたところでベッドルームを見回す。
簡素なベッドが二つあり、言われた通りに右側のベッドに入った。
寝具からも微かにフェリルの香りがして、僕は声を殺して泣き続けた。
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