騎士とお嬢様。

奏 -sou-

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第四章

08

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騎士に連れらた食堂までの道

ひたすら長く目的地まで遠い廊下
誰一人と合わずにいた。

そしてやっとついた食堂のドアを騎士が開けてくれた。メイドは本当にいないの?

食堂の中は何十人で食卓をするつもりなのかと思う程縦に細長いテーブルとクローゼット同様に凝っている木彫の椅子がバランスよく並べられており、この部屋の広さが私の国よりも数十倍あるように感じる。

一番端の中央には少しサイズの違う椅子が二つ並び、椅子の造りも他のよりも豪勢で金箔と赤いカシミアの生地で作り込まれていた。

二つ椅子が並んでるということは、王様と妃様の席になるのよね。どこに座ればいいのかしら?と席を見ていれば騎士が王の席に私を横抱きのまま座る。

自然と騎士の膝の上に座ることになり

「騎士、他の席に座るわ」
と、焦って退こうとすれば

「何を言っている?退く必要など無い。…今日ぐらい俺の膝の上にいてくれ。」

いつもの私なら、力を絞ってでも退くところだけれど力が思ったように入らない今、その言葉に抵抗することを止めた。

ただ、足は下ろさせてと騎士の片足にちょこんと座るかたちになり腰を抱かれる状態で落ち着いた。

「さぁ、食べよう。」

目の前にはフルーツの盛り合わせとスープとパンが並べられていた。

豪勢な部屋の造りに目が行き過ぎて、本来の目的である朝食が目に入っていなかっただなんて…私やっぱり疲れているのね。

「サフィ、何が食べたい?」
「…スープを飲みたいわ」

腰を抱いていない方の手で、ゆっくりスープを取ってくれた騎士の手から受け取ろうとしたら、スープ皿を両手で持っている私の手の上から腰に回していた片手で覆い被さるように下から持ってくる騎士

もう片手でスプーンを取り、一口目は自分で飲んだかと思えば、二口目からは熱を冷ましながら私の口へと運んでくれる。

久々にスープを飲んで、ちょうどいい温かさでもあり胃がほわっと温かくなるのを感じながらゆっくり飲み込む。

お腹空いたと感じていたはずなのに、数口目で満たされたように感じ騎士に「もういらない。」と伝える。

「…美味しくなかったか?」
「いいえ、美味しかったわ。…久々に口に入れたからお腹がいっぱいに感じるの」
「そうか、…なら果物はどうだ?」

マスカットを1つ房からちぎって口に持ってきてくれた、そのマスカットがとても魅力的に感じて、ぱくりと口の中へプツリと皮から実と果汁が溢れてその甘さに幸せを感じる。

「おいしいわ。騎士も食べて」
「あぁ、なら良かった。これなら食べれるか?」

そう言って、もう1つ口に持ってきてくれたが

「ごめんなさい、今日はもう満足なの。…せっかく用意して頂いたのに残してしまったわ」

食べれそうにもなく、謝る。

騎士がそのまま自分の口へとマスカットを入れるのを見て、「おいしいでしょ?」と問えば

「あぁ、サフィと食べる朝食はどれも美味しい。」

なんて、少しズレた返事が返ってきた。
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