7 / 8
02
打ち明けた素性
しおりを挟む
腹ごしらえをした私たちは、服をどうにかしようと思って近くの街に繰り出した……っていう展開が理想だったんだけど、そうも行かない。
「ほら、大丈夫だから」
「やー、やー!」
「キュートくん、他の人には見えないって!」
「やー!!」
キュートくんは、見た目に反してとても重い。
この大きさなら重さ軽減魔法を使えば抱っこできると思ったのに、持ち上げることすらできないのよ。しかも、本人が誰かに見られたくないのかなんなのか、暴れるから余計持ちにくい。
先ほどから、何度も何度も「私の魔法で、貴方の姿は他の人に見えない」という説明を100回は……言い過ぎね。でも、少なくとも5回はしたはず。
なのに、キュートくんは頑なに「やー!」と言って動いてくれないの。
だから、未だに先ほどお魚を獲った川のほとりに居る。
「もう、用心深いんだから」
「うー……」
「そもそも、貴方はどこから来たの? 私の過去には、居なかったでしょう。どこをどうして、湧き出てきたのよ」
「……?」
「あ、ごめんなさい。貴方は、なんだか特別って気がするから話すけど、私は転生者なの。わかる? 転生者」
「???」
まあ、急に言われたってわからないわよね。
わかってた、わかってた。理解した方が不自然だもん。わかってる。
キュートくんは、嫌がっていた態度から一変して私を疑いの目で見てきた。
言わない方が良かったかな。でも、言っちゃったから仕方ない。巻き戻しの魔法も、忘却の魔法も、私は使えないもの。とりあえず変質者ではないことを伝えましょう。
「信じられないかもしれないけど、私はこの世界で死んでもまた生き返るの。もう4回死んでるのよ」
「う? ……う?」
「そうよね、信じられないわよね。じゃあ、景気付けにいっちょここで死んでみまし「う!? う!!!!!」」
魔法で出した短剣を首元に当てると、なぜかキュートくんが全力で止めに来た。
短剣を持った方の手を掴んで、全力で首を振っている。その力は私が想像していたものよりも強い。この小さな身体に、なんて力が込められてるの? さっきの体重と言い、キュートくんは謎すぎるわ。こんな可愛い見た目なのに。
変質者でないことは、伝わったかな。それなら、目的は達成しているから死ななくても良いでしょう。
私は、キュートくんを傷つけないようゆっくりと短剣を消した。そして、彼の頭をゆっくりと撫でる。
「死にたいわけじゃないわ。あれ、結構痛いのよ。4回とも、全部痛みは覚えてるの」
「……うー」
「心配してくれてるの? 優しい子ね。でも、そのおかげでこれから何が起きるのか何となくわかるから良いかなって。でも、貴方が来たのはこれで初めてなの。だから、ちょっと戸惑ってるって感じ。わかった?」
「う……」
何とか、わかってくれたみたい。
キュートくんは、なぜか私の身体をぎゅっと抱きしめてきた。その腕からは、「離すもんか!」という意志が垣間見える。
これは、信頼されたと思って良いのかしら?
これからこの子をどうするのかわからないけど、できる限り助けたいなとは思ってる。私に事情があるように、きっと彼にも事情がある。そんな気がしてならないの。
じゃなければ、私のような怪しい人の側に居ないでしょう?
「と言うことで、街に行きます!」
「うう!? う、う!」
「行きます! ここに居ても、仕方ないでしょう?」
「うう……う、う」
「私が全力で隠すから。もし見つかったらそうね……切腹するわ。どう?」
「う!? う! う!」
「ふふ、冗談よ。私の魔術を甘く見ないでね。何と言っても、フラウンスの術を開花させてあるんですもの」
「!?」
川を見ながら背伸びをしていた私は、気づかなかった。
その後ろで、私を見ながら驚きの表情をしているキュートくんに。
全く気づかずに、「さあ、街に行きましょう!」と元気良く発言したの。
「ほら、大丈夫だから」
「やー、やー!」
「キュートくん、他の人には見えないって!」
「やー!!」
キュートくんは、見た目に反してとても重い。
この大きさなら重さ軽減魔法を使えば抱っこできると思ったのに、持ち上げることすらできないのよ。しかも、本人が誰かに見られたくないのかなんなのか、暴れるから余計持ちにくい。
先ほどから、何度も何度も「私の魔法で、貴方の姿は他の人に見えない」という説明を100回は……言い過ぎね。でも、少なくとも5回はしたはず。
なのに、キュートくんは頑なに「やー!」と言って動いてくれないの。
だから、未だに先ほどお魚を獲った川のほとりに居る。
「もう、用心深いんだから」
「うー……」
「そもそも、貴方はどこから来たの? 私の過去には、居なかったでしょう。どこをどうして、湧き出てきたのよ」
「……?」
「あ、ごめんなさい。貴方は、なんだか特別って気がするから話すけど、私は転生者なの。わかる? 転生者」
「???」
まあ、急に言われたってわからないわよね。
わかってた、わかってた。理解した方が不自然だもん。わかってる。
キュートくんは、嫌がっていた態度から一変して私を疑いの目で見てきた。
言わない方が良かったかな。でも、言っちゃったから仕方ない。巻き戻しの魔法も、忘却の魔法も、私は使えないもの。とりあえず変質者ではないことを伝えましょう。
「信じられないかもしれないけど、私はこの世界で死んでもまた生き返るの。もう4回死んでるのよ」
「う? ……う?」
「そうよね、信じられないわよね。じゃあ、景気付けにいっちょここで死んでみまし「う!? う!!!!!」」
魔法で出した短剣を首元に当てると、なぜかキュートくんが全力で止めに来た。
短剣を持った方の手を掴んで、全力で首を振っている。その力は私が想像していたものよりも強い。この小さな身体に、なんて力が込められてるの? さっきの体重と言い、キュートくんは謎すぎるわ。こんな可愛い見た目なのに。
変質者でないことは、伝わったかな。それなら、目的は達成しているから死ななくても良いでしょう。
私は、キュートくんを傷つけないようゆっくりと短剣を消した。そして、彼の頭をゆっくりと撫でる。
「死にたいわけじゃないわ。あれ、結構痛いのよ。4回とも、全部痛みは覚えてるの」
「……うー」
「心配してくれてるの? 優しい子ね。でも、そのおかげでこれから何が起きるのか何となくわかるから良いかなって。でも、貴方が来たのはこれで初めてなの。だから、ちょっと戸惑ってるって感じ。わかった?」
「う……」
何とか、わかってくれたみたい。
キュートくんは、なぜか私の身体をぎゅっと抱きしめてきた。その腕からは、「離すもんか!」という意志が垣間見える。
これは、信頼されたと思って良いのかしら?
これからこの子をどうするのかわからないけど、できる限り助けたいなとは思ってる。私に事情があるように、きっと彼にも事情がある。そんな気がしてならないの。
じゃなければ、私のような怪しい人の側に居ないでしょう?
「と言うことで、街に行きます!」
「うう!? う、う!」
「行きます! ここに居ても、仕方ないでしょう?」
「うう……う、う」
「私が全力で隠すから。もし見つかったらそうね……切腹するわ。どう?」
「う!? う! う!」
「ふふ、冗談よ。私の魔術を甘く見ないでね。何と言っても、フラウンスの術を開花させてあるんですもの」
「!?」
川を見ながら背伸びをしていた私は、気づかなかった。
その後ろで、私を見ながら驚きの表情をしているキュートくんに。
全く気づかずに、「さあ、街に行きましょう!」と元気良く発言したの。
0
あなたにおすすめの小説
公爵家の養女
透明
恋愛
リーナ・フォン・ヴァンディリア
彼女はヴァンディリア公爵家の養女である。
見目麗しいその姿を見て、人々は〝公爵家に咲く一輪の白薔薇〟と評した。
彼女は良くも悪くも常に社交界の中心にいた。
そんな彼女ももう時期、結婚をする。
数多の名家の若い男が彼女に思いを寄せている中、選ばれたのはとある伯爵家の息子だった。
美しき公爵家の白薔薇も、いよいよ人の者になる。
国中ではその話題で持ちきり、彼女に思いを寄せていた男たちは皆、胸を痛める中「リーナ・フォン・ヴァンディリア公女が、盗賊に襲われ逝去された」と伝令が響き渡る。
リーナの死は、貴族たちの関係を大いに揺るがし、一日にして国中を混乱と悲しみに包み込んだ。
そんな事も知らず何故か森で殺された彼女は、自身の寝室のベッドの上で目を覚ましたのだった。
愛に憎悪、帝国の闇
回帰した直後のリーナは、それらが自身の運命に絡んでくると言うことは、この時はまだ、夢にも思っていなかったのだった――
※月曜にから毎週、月、水曜日の朝8:10、金曜日の夜22:00投稿です。
小説家になろう様でも掲載しております。
好感度0になるまで終われません。
チョコパイ
恋愛
土屋千鶴子(享年98歳)
子供や孫、ひ孫に囲まれての大往生。
愛され続けて4度目の転生。
そろそろ……愛されるのに疲れたのですが…
登場人物の好感度0にならない限り終わらない溺愛の日々。
5度目の転生先は娘が遊んでいた乙女ゲームの世界。
いつもと違う展開に今度こそ永久の眠りにつける。
そう信じ、好きなことを、好きなようにやりたい放題…
自覚なし愛され公女と執着一途皇太子のすれ違いラブロマンス。
で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?
Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。
簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。
一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。
ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。
そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。
オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。
オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。
「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」
「はい?」
ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。
*--*--*
覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾
★全31話7時19時更新で、全話予約投稿済みです。
★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓
このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。
第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」
第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」
第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」
どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ
もしよかったら宜しくお願いしますね!
幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない
ラム猫
恋愛
幼い頃に、セレフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セレフィアはそれを喜んで受け入れた。
その後、十年以上彼と再会することはなかった。
三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セレフィアはその場を離れた。
しかし治療師として働いているセレフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。
それどころか、シルヴァードはセレフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。
「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」
「お願い、セレフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」
※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。
※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。
蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。
これで、貴方も私も自由です。
……だから、もういいですよね?
私も、自由にして……。
5年後。
私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、
親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、
今日も幸せに子育てをしています。
だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。
私のことは忘れて……。
これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。
はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる