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第一章
推しの尊さを感じた時、人は手を合わせてしまうものである
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どうやらルークは朝に滅法弱いらしい。起きたとしても不機嫌で、しばらくベッドの上で胡座を組みうとうととしている。
ここもイメージとは違った。ルークはこういった隙なんて誰にも見せないと思っていたからだ。もしかしたら一部の人はイメージと違うと落胆するかもしれないが、オレは違う。
非常にありがたいと心から思っていた。
推しの人間らしさ、助かる。
「朝飯できてるぞ。ツナマヨサンドと、あと昨日の残りのスープ。食えそう?」
「ああ」
まだ眠そうに船を漕いでいる姿を見ながらオレはルークの髪に手を伸ばした。
短くなった黒髪は元々寝癖など付かないタイプらしいが、それでも寝起きはボサボサだ。
「触るな」
整えようとしたら鋭い目がオレを睨む。すぐさま手を下げ、何もしてませんよとアピールしながら一歩下がった。
「じゃあオレ先に行ってるわ。ちゃんと飯食えよ」
「わかった」
短いやり取りをしてから部屋を出てキッチンに戻る。
火を消してスープを器に入れて、そのままキッチンで食事を摂る。もちろんルークの分は皿に持ってテーブルに置くに決まっている。
だが自分が食べるものなんて適当でいいのだ。どれだけ生活が規則的になったとはいえ、朝は忙しいものだ。
サンドイッチをスープで流し込むように食べて咀嚼も終わらないまま皿を洗う。
リビングの脇にある階段から店に降りる前に口を開けた。
「飯食うんだぞー!」
返事はない。けれどオレはこの数日で理解しているのだ。ルークは出されたものはちゃんと食べるということを。
空になっている皿を想像して少し嬉しくなりながら階段を降りて調合室に入る。壁に埋め込んである黒板には、今日の予約商品の伝票がずらりと貼られていた。
「さて、確認からはじめるかー」
ルークと暮らしはじめて数日が経過した。
はじめはどうなるかと思った生活も、日を追うごとに慣れていっている。思った以上に穏やかな生活にオレも、そして多分ルークも驚いていた。
多分オレたちは一緒に暮らすにあたって相性がよかったのだろう。
ルークは干渉されるのを嫌う。オレは心配はするけど干渉はしない。
他にも意外だったのは、ルークはちゃんとお礼が言える。そんなことと思うかもしれないが、これはとても大切なことだとオレは思うのだ。
洗濯や掃除、料理やその他諸々、日常で当たり前に発生する物事だとしても労力は掛かる。それに対して何か一言あれば嬉しいものなのだなと、オレは今世にしてようやく理解した。
「……推しの感謝って、健康にいいよな」
「気持ちの悪いことを言うな」
調合室から店に出て予約品の整理をしていると声がした。
それに振り返り、髪の乱れも服装の乱れもないいつものルークの姿に思わず頬が緩む。
「おはようルーク。飯食ったか?」
「……食べた。感謝する」
「美味かった?」
「そこそこだな」
「おっけ、また今度作るな」
この数日でわかったこと、ルークはツンデレである。
基本的に素直ではない。感謝や感想を伝えるとき彼は言葉が鋭くなりがちだ。
どれだけゲームをプレイしていても、オレはルーク・ディベットという人物のことを表面しか知らなかったのだ。
推しの新たな一面が知れる喜び。これを幸せと呼ばずしてなんと呼べばいいのだろうか。
「……祈るな」
「あ、悪い。尊さが爆発して思わず拝んでたわ」
「……」
「得体の知れないものを見る目やめろ」
こんな感じでルークとの日々はなんとなく順調だ。
「今日はどの素材が必要なんだ」
「昨日よりは少ないぞ。でもちょっと難易度高い素材あってさ、これは昼からオレも一緒に着いていくわ」
「お前が? 戦えないだろう」
「おう。だから守ってくれ」
「……」
眉間に皺が寄った。それに笑いつつ、開店準備を進めていった。
ここもイメージとは違った。ルークはこういった隙なんて誰にも見せないと思っていたからだ。もしかしたら一部の人はイメージと違うと落胆するかもしれないが、オレは違う。
非常にありがたいと心から思っていた。
推しの人間らしさ、助かる。
「朝飯できてるぞ。ツナマヨサンドと、あと昨日の残りのスープ。食えそう?」
「ああ」
まだ眠そうに船を漕いでいる姿を見ながらオレはルークの髪に手を伸ばした。
短くなった黒髪は元々寝癖など付かないタイプらしいが、それでも寝起きはボサボサだ。
「触るな」
整えようとしたら鋭い目がオレを睨む。すぐさま手を下げ、何もしてませんよとアピールしながら一歩下がった。
「じゃあオレ先に行ってるわ。ちゃんと飯食えよ」
「わかった」
短いやり取りをしてから部屋を出てキッチンに戻る。
火を消してスープを器に入れて、そのままキッチンで食事を摂る。もちろんルークの分は皿に持ってテーブルに置くに決まっている。
だが自分が食べるものなんて適当でいいのだ。どれだけ生活が規則的になったとはいえ、朝は忙しいものだ。
サンドイッチをスープで流し込むように食べて咀嚼も終わらないまま皿を洗う。
リビングの脇にある階段から店に降りる前に口を開けた。
「飯食うんだぞー!」
返事はない。けれどオレはこの数日で理解しているのだ。ルークは出されたものはちゃんと食べるということを。
空になっている皿を想像して少し嬉しくなりながら階段を降りて調合室に入る。壁に埋め込んである黒板には、今日の予約商品の伝票がずらりと貼られていた。
「さて、確認からはじめるかー」
ルークと暮らしはじめて数日が経過した。
はじめはどうなるかと思った生活も、日を追うごとに慣れていっている。思った以上に穏やかな生活にオレも、そして多分ルークも驚いていた。
多分オレたちは一緒に暮らすにあたって相性がよかったのだろう。
ルークは干渉されるのを嫌う。オレは心配はするけど干渉はしない。
他にも意外だったのは、ルークはちゃんとお礼が言える。そんなことと思うかもしれないが、これはとても大切なことだとオレは思うのだ。
洗濯や掃除、料理やその他諸々、日常で当たり前に発生する物事だとしても労力は掛かる。それに対して何か一言あれば嬉しいものなのだなと、オレは今世にしてようやく理解した。
「……推しの感謝って、健康にいいよな」
「気持ちの悪いことを言うな」
調合室から店に出て予約品の整理をしていると声がした。
それに振り返り、髪の乱れも服装の乱れもないいつものルークの姿に思わず頬が緩む。
「おはようルーク。飯食ったか?」
「……食べた。感謝する」
「美味かった?」
「そこそこだな」
「おっけ、また今度作るな」
この数日でわかったこと、ルークはツンデレである。
基本的に素直ではない。感謝や感想を伝えるとき彼は言葉が鋭くなりがちだ。
どれだけゲームをプレイしていても、オレはルーク・ディベットという人物のことを表面しか知らなかったのだ。
推しの新たな一面が知れる喜び。これを幸せと呼ばずしてなんと呼べばいいのだろうか。
「……祈るな」
「あ、悪い。尊さが爆発して思わず拝んでたわ」
「……」
「得体の知れないものを見る目やめろ」
こんな感じでルークとの日々はなんとなく順調だ。
「今日はどの素材が必要なんだ」
「昨日よりは少ないぞ。でもちょっと難易度高い素材あってさ、これは昼からオレも一緒に着いていくわ」
「お前が? 戦えないだろう」
「おう。だから守ってくれ」
「……」
眉間に皺が寄った。それに笑いつつ、開店準備を進めていった。
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