【完結】推しを死亡フラグから救済したら溺愛ルートに入りました⁉︎

白(しろ)

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第一章

初めてのおでかけ

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 午前で店を閉めて、昼からはルークと街の外に出た。
 この世界には魔物と呼ばれる存在が出現する。ゲームでよくあるやつだ。
 それらを倒して経験値を得ると、レベルが上がって新しい技と魔法を覚えるというのがゲームのシステムだが、現実はそうもいかない。
 トレーニングを続ければ筋肉が付くように、新しい技も魔法も積み重ねで覚えていくしかないのである。冒険者って大変だな、と聖女の旅に付き纏い始めた日々を思い出して若干遠くを見てしまう。

「余所見をするな」
「おわあ!」

 オレの目の前で剣が振り下ろされ、魔物が一つ倒された。
 ゲームだと倒されたら透明処理されていたけれど、今はもちろんそうじゃない。

「ありがとうルーク。ちょっと素材取るから待っててくれ」

 倒れた魔物に手を合わせ、素材になる爪と牙を抜く。
 もっと余裕があれば肉ごと持って帰るのだが、生憎今日の目的はこんな野良の処理ではない。

「取れたか」
「おう。じゃあもっと奥行くか」

 魔物はそのまま放置して森の奥へと進む。ここは王都から少し離れた森だ。
 ゲームだと中盤以降から入ることのできるダンジョンで、魔物のレベルもそこそこだ。オレ一人なら間違いなく入ることはないが、今日はルークがいる。

「どんな素材を取るんだ」
「花」
「花?」
「うん。水晶花って知ってるか? 水晶でできた花なんだけどさ、それの群生地がここの一番奥にあるんだよ」
「それも素材になるのか」
「なるよ。水晶花は万能だからな」

 水晶でできた六枚の花弁とその中央にある虹色に光る種子。およそ自然物とは思えないものがこの世界にはたくさんある。

「……それはお前の前世とやらにもあるのか」

 先を歩くルークの言葉に目を瞬かせ、首を振る。

「ない。そもそも魔物もいねえし、剣とか使わねえし、魔法もない」
「そんな世界でどうやって暮らすんだ」
「案外不自由なく暮らしてたよ。遠いとこに住んでる人と話せる道具もあったし、やろうと思えば一人で世界中どこでも行けたしな」
「その世界に戦いはないのか」

 今日は質問が多いなと思った。そんな気分なのだろうか。

「あったよ。個人間の喧嘩から、国家間の戦争まで色々。オレの住んでた国は戦争なかったけどね。オレ自身一回も戦ったことねえし」
「だから頼りない体をしているのか、お前は」
「はい悪口―。今日の晩ご飯はお前の嫌いな緑の豆のスープですー」
「…………」

 あからさまにルークのテンションが下がっている。オレからは背中しか見えないのがそれがありありとわかってしまう。その姿が妙に面白くて笑いそうになるが、必死に堪える。
 ここで笑ってしまったらきっとルークは拗ねる。それは避けなくてはならない。

 すっかり無口になってしまったルークの前に魔物が現れる。
 未だに若干怯えてしまうオレに比べて、ルークは微動だにしない。一瞬で魔物を切り捨て、それからさっきオレがやったように素材を取る。

「……あの豆はやめろ」

 まるで賄賂のように渡された素材と、心底嫌そうなルークの顔に俺は堪えきれず吹き出した。ギャップがとどまることを知らない。

「ちが、違うぞ、これはルークがおかしいとかじゃなくて」
「精々迷子にならないよう気を付けろ」
「待って待って待って! 足! 長さ! お前股下何メートルあると思ってんだ待ってええ!」

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