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第一章
周りが放っておきませんな
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祭りに飛び込んでそれなりに時間が経過してから、オレは思った。見通しが甘かったな、と。
「顔がいいってのも、考えものだな」
甘かった。祭りという状況を甘く見積りすぎていた。
だがしかし同時に誇らしくもあった。オレの推しの魅力はやはり眼鏡ひとつで隠し通せるものではなかったのだと。あと普通にルークの背が高すぎるのもあった。前世でいう自販機くらいは普通にある。
「顔を隠す道具を今すぐ開発してくれ」
「残念ながら専門外です」
オレとルークは今、祭りの喧騒から少し離れた場所のベンチに座っている。
周りには同じように祭りに少し疲れて休憩している人が多く、遠くから聞こえる演奏の音が心地いい。
「でも真面目に考えねえとなー。いやさすがオレの推し。周りが放っときませんな」
「茶化すな」
疲れ果てたルークの声が隣から聞こえた。
祭りに突入してしばらくは満喫できていた。
珍しいものを食べ、アイテムを見て、そして音楽も楽しんだ。ルークの表情はあまり変わらなかったが、それでも雰囲気でなんとなく楽しんでいるのが伝わった。
それだけでも祭りに来た甲斐があったと思ったが、問題はそこからだった。
喉が渇いたからと、ドリンクを売っている店で順番を待っていたらルークが話し掛けられた。
内容は「お一人ですか?」だ。オレの存在が見えなかったらしい。
仕方がない。ルークという輝きを前に俺が見えなくなるのは当然のことだ。けれどそれが複数人続くと話は変わってくる。
オレは別にいいのだ、どう思われようが。けれど問題はルークだ。
始めは慣れたようにあしらっていたが、段々とイラついているのがわかった。ようやくドリンクを購入し、店から離れようとした際に再度話し掛けられて、もう限界だなと悟った。
ルークがその人の存在ごと無視を始めたからだ。
それに慌ててルークを喧騒から連れ出して、今に至る。
「……やはりこの顔は災厄だ」
「そんなこと言うなよ。オレは好きだぞ」
いくつかの果実を漬けて作ったらしいドリンクは飲み口がとても爽やかだ。渇いていた喉も潤うし、糖分を求めていた体にも染み渡っていくようだった。
「ルーク、これすげえ美味い」
「家でも作れそうだぞ」
「作るのオレじゃん。まあ多分できるけど」
「材料があればできるのか?」
「多分」
ルークが心なしか嬉しそうに見える。どうやらこのドリンクを気に入ったようだ。
ならば作るしかあるまい、オタクとして。オレは一人覚悟を決めて、頭の中でドリンクに使われているであろう果物を弾き出していく。
問題なくできそうだなと一人頷くと、ルークの視線を感じて隣を見る。
「どうした?」
「まだここに用があるのか」
「祭りにってこと? オレはもう特にないけど」
「そうか。じゃあ帰るぞ」
ルークが立ち上がるとオレのバランスが崩れた。何事だと原因を探ると、手を握られているのがわかった。
先程まで、オレの手はフリーだったはずだ。
何が起きたかわからないままでいると「早く立て」と言われて大人しく立ち上がる。
オレがきちんと立ったのを確認したルークがそのまま歩きだした。そのままというのは、オレの手を握ったままということだ。
「る、ルークっ?」
「顔がいいってのも、考えものだな」
甘かった。祭りという状況を甘く見積りすぎていた。
だがしかし同時に誇らしくもあった。オレの推しの魅力はやはり眼鏡ひとつで隠し通せるものではなかったのだと。あと普通にルークの背が高すぎるのもあった。前世でいう自販機くらいは普通にある。
「顔を隠す道具を今すぐ開発してくれ」
「残念ながら専門外です」
オレとルークは今、祭りの喧騒から少し離れた場所のベンチに座っている。
周りには同じように祭りに少し疲れて休憩している人が多く、遠くから聞こえる演奏の音が心地いい。
「でも真面目に考えねえとなー。いやさすがオレの推し。周りが放っときませんな」
「茶化すな」
疲れ果てたルークの声が隣から聞こえた。
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それだけでも祭りに来た甲斐があったと思ったが、問題はそこからだった。
喉が渇いたからと、ドリンクを売っている店で順番を待っていたらルークが話し掛けられた。
内容は「お一人ですか?」だ。オレの存在が見えなかったらしい。
仕方がない。ルークという輝きを前に俺が見えなくなるのは当然のことだ。けれどそれが複数人続くと話は変わってくる。
オレは別にいいのだ、どう思われようが。けれど問題はルークだ。
始めは慣れたようにあしらっていたが、段々とイラついているのがわかった。ようやくドリンクを購入し、店から離れようとした際に再度話し掛けられて、もう限界だなと悟った。
ルークがその人の存在ごと無視を始めたからだ。
それに慌ててルークを喧騒から連れ出して、今に至る。
「……やはりこの顔は災厄だ」
「そんなこと言うなよ。オレは好きだぞ」
いくつかの果実を漬けて作ったらしいドリンクは飲み口がとても爽やかだ。渇いていた喉も潤うし、糖分を求めていた体にも染み渡っていくようだった。
「ルーク、これすげえ美味い」
「家でも作れそうだぞ」
「作るのオレじゃん。まあ多分できるけど」
「材料があればできるのか?」
「多分」
ルークが心なしか嬉しそうに見える。どうやらこのドリンクを気に入ったようだ。
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「どうした?」
「まだここに用があるのか」
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先程まで、オレの手はフリーだったはずだ。
何が起きたかわからないままでいると「早く立て」と言われて大人しく立ち上がる。
オレがきちんと立ったのを確認したルークがそのまま歩きだした。そのままというのは、オレの手を握ったままということだ。
「る、ルークっ?」
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